対話の力⑧:「沈黙」を埋めない勇気
会議や1on1の最中、ふいに会話が途切れ、場がシーンとなる瞬間。 オンライン会議であれば「あれ、回線が落ちたかな?」と不安になり、対面であれば空調の音だけがやけに大きく聞こえる、あの時間。私たちの多くは、この「沈黙」に耐えられません。 心拍数が上がり、「何か言わなきゃ」「場を回さなきゃ」という焦燥感に駆られ、咄嗟に思いついた言葉でその隙間を埋めてしまいます。ビジネスの現場において、沈黙はしばしば「停滞」や「無駄」、あるいはファシリテーターの「手際が悪い」証拠だとみなされがちです。しかし、本当に対話において沈黙は「悪」なのでしょうか?今回は、対話の質を深めるために避けては通れない「沈黙の正体」について考えてみたいと思います。1.「沈黙」には2種類ある以前、本連載の『対話の力③:『曖昧さ耐性』という概念(https://coconala.com/blogs/4320447/625025)』で「ネガティブ・ケイパビリティ(答えの出ない事態に耐えうる能力)」について触れました。性急に解決策を求めず、モヤモヤした状態に留まり続ける力のことです。この能力が最も試されるのが、まさに「沈黙」の瞬間です。 実は、一見同じように見える沈黙にも、学術的・心理的な側面から見ると、明確に異なる2つの質が存在します。一つは、「防衛的な沈黙(Defensive Silence)」です。 これは「心理的安全性」が低い場で起こります。「余計なことを言って批判されたくない」「どうせ言っても無駄だ」という諦めや恐怖から、口を閉ざしてしまう状態です。これは確かに対話を阻害するものであり、解消すべき課題です。しかし、も
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