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junction ~わたしの人生を変えたこと⑭~

~⑬からのつづき~林先生が処方した内服薬を前に、わたしは言葉を失いました。カウンターの向こうでは、お薬の説明書きをもとに薬剤師さんが説明を続けています。わたしはつい数週間前まで病院でナースとして勤務していました。時には関節リウマチの患者さんの診察に同席することがあります。『関節リウマチ』と初めて診断された方にリウマチの治療について医師から説明がおこなわれていました。いく度となくそうした説明を聞いていたわたしは、エコー検査後に関節リウマチと聞いてから、自分が処方される薬について予想ができていたのです。関節リウマチの治療薬は、メトトレキサートが国際的な標準治療薬として使われています。米国においてはそれが第一選択薬として推奨されています。しかし、目の前に出された薬を見るとそれは、メトトレキサートではありません。林先生がわたしに処方した薬はリウマチの治療薬ではあるのですが、通常処方される半分の量しかありませんでした。つまり、成人1000mg/1日とされている薬が、わたしには500mg/1日で処方してあったのです。”なぜ、こうも林先生は痛めつけるようなことをするのだろうか…。”患者の立場で医師の処方に意見して、とおる道理はありませんから…。ただ黙って薬を受け取りました。今にも破裂しそうな心を抱えて病院を出ようとすると、バッグの中でスマホがマナーモードで着信を知らせていました。いそいで病院の建物を出てスマホを見ると、それは父からのものでした。20日も入院していて一度も会うことのなかった主治医の林先生は、外来でも信じられない態度であったこと。処方された薬は、種類も量も納得いかないものであるこ
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junction ~わたしの人生を変えたこと⑧~

~⑦からのつづき~入院室のとなりの建物は、外来診療や検査室を備えていました。その外来まで徒歩で移動して精神科の診察を受けてきたのです。大学病院は広いとはいえ、強い倦怠感のある身体での移動は気が遠くなるほどの距離とも思えました。各診療科をつなぐ書類【ご高診依頼書】に目を通しながら、いくつかの質問をした精神科の医師は、「じゃあ、病棟の先生にお返事を書いておきますね。」5分にも満たないで診察は終了しました。数時間後に、安西先生が病室に入ってきました。「松本さん、精神科の先生からのお返事を読みました。いま、松本さんの身体に起きたことは、うつ病による妄想との診断でした。」「妄想…?うつ病ですか?あの、すみません、よくわからないのですが…。」「今夜から精神科のお薬が始まります。数日間は副作用の様子をみたいので、このまま入院していただいて、来週あたりにご家族にも説明をして、退院してもらいます。」「あの…関節や筋肉の痛みは…?目も口もすごく乾いてしまって…。血痰は?あの、ほかにも...」「ですから、主治医の林先生とも相談して、そう決まりましたから。いろんな症状は精神科の治療の経過を診て、また考えましょう。」その時に、はじめて気が付きました。主治医の林先生には一度もお会いしていない。林先生がどんな方なのか、顔すら知らない。足早に立ち去る安西先生の白い背中が見えなくなると、あらためて自分のベッドネームを確認しました。 【  松本 かよ 様  】 【主治医 林   担当医  安西 】わたしは林先生を知らないのに、林先生はわたしの何を知っているのだろうか。痛む指すら触らず、血痰の止まらない胸の聴診すら
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junction  ~わたしの人生を変えたこと②~

~①からのつづき~痛みや炎症、倦怠感から始まった異変…。ほどなくして呼吸器からの出血が始まり、どうにもならない不安が全身を包みました。「わたしの体に、何かが起きている。」内科、整形外科、耳鼻科、内分泌代謝科、呼吸器科いったい、何件の医院/病院を訪ねたでしょうか。自分の足で受診できたのはじめの一ヶ月。日を追うごとに悪化して、しまいには脇からグイっと抱えられてようやく歩行ができるほどにまで体調が悪くなっていました。そんな時、地元の大きな呼吸器外科で珍しい血液検査項目が異常値を示している事を知ります。調べるとそこには、自己免疫疾患、呼吸器出血、膠原病などのワードがならんでいます。膠原病…。そうか、やっぱり。造影CTをしないと、他院への紹介ができないという担当の先生。すでに、食欲低下、嘔吐、下痢によってひどい脱水の状態で造影剤が投与できません。予定していた検査が中止になり、明らかに不機嫌な態度の先生。だるい、だるい。と座っていることもできない私に担当の医師は言いました。「患者はあなただけじゃないんです。いそがしいんです。ご主人、ちょっと。」廊下に呼び出した夫に「奥さんのことは、診れないから。ほかに行って下さい。」そう告げてすぐにその場を立ち去ってしまったそうです。(私はこの事実を数年後に知りました。)紹介状もなく、レントゲン写真も貸し出されず。ほかと言われても、どこに相談に行けばいいのかも分からないままに放り出されてしまった…。歩くこともままならなくなってしまった私を連れて、途方に暮れてしまったと。夫は、当時を振り返って言いました。見えない大きな力で、どんどんと悪い方向に誘導されている
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junction ~わたしの人生を変えたこと⑬~

~⑫からのつづき~女性医師に起こしてもらったあとで、エコー検査の結果を聞きました。・エコーでは、左右のすべての手指に明らかな炎症がみえた。・関節の滑膜に炎症が起っているので、関節リウマチに間違いない。・手指しか検査をしていないが、手首や足の関節痛もリウマチによるものと考えてよい。・関節リウマチだけではなくシェーグレン症候群も合併している。説明のあと、廊下で待つことになりました。しばらくすると、入院担当医だった安西先生が待合室のわたしのもとに来られました。大勢の患者さんたちがいる待合室の片隅で安西先生とわたしは一カ月ぶりにお話をしました。「松本さん…。入院時から関節痛をうったえていたあなたに、関節エコーのオーダーをし忘れました。膠原病内科医がリウマチを見逃しました。ごめんなさい。」今日までわたしを苦しめた安西先生からの謝罪でした。あの大柄なヤンキー先生がいてくれなかったら、安西先生はこの場面においても頭を下げることはなかったと思います。上品な言葉でわたしを拒絶し続けたプライドの高い安西先生。その先生との再会は、まさかの謝罪をきっかけにわたしの感情を軟化させました。伝えたいことがあり過ぎると、かえって言葉が出てこなくなるものです。できるだけ冷静に、先生に分かっていただけるように静かに話しかけました。「安西先生は、入院中に『あなたは、病名を欲しがっているようにしか見えません。』とおっしゃいましたが、わたしは病名が分かれば治療法があるかもしれないので、元気になりたい一心で病名が分かることを望んでいました。」目を見てじっと話を聞いてくださる安西先生を見て、わたしはホッとして話を続けました
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