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「近代の論理~社会科学のエッセンス~⑭」 (5)イスラーム圏と東洋の「近代化」の困難

②一元的な「イスラーム法の社会」と二元的な「キリスト教の論理」 イスラーム教は「規範宗教」であり、キリスト教は「無規範宗教」である~イスラーム教徒(ムスリム)にとって「六信五行」は基本的義務であり、「六信」とは神・天使・啓典・預言者・来世・天命の6つを信じることで、「五行」とは信仰告白・礼拝・喜捨・断食・巡礼の行いをすることです。これに対して、キリスト教徒にとっては内面的な「信仰」のみが問題とされ、外面的行動に対する「規範」が無いのです。  ちなみにユダヤ教徒・キリスト教徒はこの「六信」を受け入れるはずで、イスラーム教の観点からすればユダヤ教徒・キリスト教徒は信仰的には全員ムスリムということになりますつまり、「五行」という生活実践にまでは至っていない段階とみなしているのです。イスラーム教ではアダム・ノア・アブラハム・モーセ・イエス・ムハンマドが六大預言者として位置づけられ、自らを「最後の預言者」と位置づけたムハンマドは先行するユダヤ教・キリスト教を実によく研究していたとされます。 「アフリカでいま、イスラム教徒が大変な勢いで増えているそうだ。とにかくわかりやすく効験あらたかな宗教であるから、ロシアなどでもますます広まるであろう。  歴史上、大変印象的なことは、イスラム教化した仏教に変わったという事例が一つもないことである。逆の例は非常に多く、西域(シルクロード)諸国は、昔は仏教国であったが、みんなイスラム教に改宗した。  キリスト教国がイスラム教国になった国は多いけれど、その逆は中世までは少なかった。  「原罪をイエスが贖罪した」などという不可解な教義や、「空」の、「唯識」の、
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「近代の論理~社会科学のエッセンス~⑬」 (5)イスラーム圏と東洋の「近代化」の困難

①「近代化」とは畢竟「西洋化」「キリスト教化」に他ならない 「イラン革命」の原因はパフレヴィ―2世の近代化政策・西洋化政策~イスラーム世界における拠点国家は、「アラブの盟主」エジプト、聖地メッカ・メジナを抱え、世界中のムスリムにとって「信仰の祖国」であるサウジアラビア、シーア派の中心であるイラン、ケマル・アタチュルク以来、イスラーム世界の政治的指導者スルタンも宗教的指導者カリフも廃止して、近代西欧型の世俗化政策を取り、NATOに加盟して、EU加盟を目指すトルコ共和国の4つですが、この中で1979年に「イラン革命」が起き、第2次オイル・ショックが起きるほど、世界に衝撃を与えました。 イラン国王パフレヴィ―2世は父である先代のレザー・シャーの退位により即位し、1963年に「白色革命」を起こして、アメリカの援助による近代化を行なっていたのですが、国外追放され、フランスにいたシーア派指導者でウラマー(イスラーム法学者)のホメイニが帰国し、イラン革命を主導してイラン=イスラーム共和国を成立させるのです。パフレヴィ―2世時代のイランでは、独裁政治で秘密警察による弾圧・拷問が日常茶飯事のように行われ、欧米のメジャーと国王のみが儲けて、国民は猛烈なインフレ下で生活苦にあえぐという社会状況でしたが、それだけなら世界中の独裁者が今でも似たようなことをしており、その度に革命が起きるわけではありません。イラン革命の真の原因は、パフレヴィ―2世がイスラーム社会の伝統をふみににじる改革を次々と行い、クルアーンの教えを無視したと捉えられたからなのです。  ちなみに「シーア」とは「党派」の意味で、「シーア=ア
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教養としてのイスラーム教②:イスラーム教の歴史

スンナ派:ムハンマドの慣行(スンナ)に従う人々。ムスリムの9割を占めています。ムハンマドの後継者として、「共同体での合意による選出」を尊重し、アブー・バクル、ウマル、ウスマーン、アリーの4人を正統カリフとして認める立場。 シーア派:「シーア」とは「党派」の意味で、「シーア=アリー(アリーの党派)」が略された呼称。ムハンマドの従弟にして、ムハンマドの娘婿でもあるアリーとその子孫のみをイマーム(指導者)とします。「血族による世襲」を主張する立場で、ムスリムの約1割を占めます。 イスラーム哲学:アラブ人至上主義のウマイヤ朝からイスラーム教世界帝国アッバース朝が成立し、ペルシアやエジプトといったギリシア文化の影響が色濃く残っている地域が支配下に入ると、ギリシア以来の哲学・医学・数学・天文学などの諸学問が盛んにアラビア語に翻訳され、イスラーム哲学が誕生します。例えば、アッバース朝第7代カリフ、マアムーンはバグダードに翻訳を行う官庁を置きますが、これがいわゆる知恵の館(バイト・アル=ヒクマ)です。ここでギリシア語やシリア語、パフラヴィー語に加え、インドからもたらされたサンスクリット語などさまざまな文献が集められ、これらを相互に翻訳・研究が行われました。アラビア語の言語学とコーランの解釈から発達した神学・法学は「固有の学問」と呼ばれるのに対して、ギリシアやインドなどの非アラブ地域からもたらされた学問を「外来の学問」と言っており、こうした学問的蓄積・発達は後に十字軍を通してイスラーム文化に触れたヨーロッパ世界に衝撃を与え、今度はアラビア語文献を盛んにラテン語に翻訳する中で「12世紀のルネサンス
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教養としてのイスラーム教➀:イスラーム教の基本

唯一神:ユダヤ教・キリスト教・イスラームの神は同一神であり、一切を超越した唯一絶対・全知全能の神であり、この世界を創造した創造神で、人格神という共通点があります。したがって、この三教は兄弟宗教とされます。また、ユダヤ教・イスラーム教では偶像崇拝が禁止されており、イエスに関してもユダヤ教ではラビ(教師)とされ、イスラーム教では預言者として尊重されていますが、キリスト教が三位一体説でイエス=神にしたため、決定的対立となりました。 ムハンマド:唯一絶対神アッラーから完全な教え(『クルアーン』)を授けられた最後の預言者とされ、ムハンマド以降の預言者はいないと解釈されています。 クルアーン(コーラン):アッラーが預言者ムハンマドを通して下した啓示を記した聖典。 イスラーム:唯一神アッラーへの絶対的帰依。アッラーは最後の審判を行うとされ、神の像などの偶像崇拝は禁止されています。 最後の審判:アッラーは最後の審判で、生前の行いによって人々を裁き、人間を天国と地獄に振り分けるとされます。キリスト教の『新約聖書』「ヨハネの黙示録」には、終末前の千年に再臨したキリストが統治する至福の時代(千年王国)がやってくるという説が描かれています。 カリフ:ムハンマドの後継者で、イスラームの最高指導者のこと。初代カリフ:アブー・バクル、第2代カリフ:ウマル、第3代カリフ:ウスマーン、第4代カリフ:アリーまでを正統カリフといい、アリーとその子孫のみをイマーム(指導者)と認めるのがシーア派です。後に政治的実権者として大アミールやスルタンが立ち、カリフは宗教的権威となりますが、これは西ヨーロッパにおけるローマ教皇と
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教養としてのキリスト教➀:イエス=キリストとキリスト教

父なる神:人間に無償の愛をもたらす、赦す神。 イエス=キリスト:キリスト(救い主)はメシヤ(油を注がれた者、王、ヘブライ語)のギリシア語表記。イエス自身は自らを「(神の)子」「人の子」と呼びまし。 律法主義批判:パリサイ派やサドカイ派などのユダヤ教の律法学者達は律法の遵守を説きましたが、このことは律法を守れない人々に対する差別を生むことになりました。イエスはこうした形式的な律法主義を批判し、安息日にも病人を癒して、形式化した律法を守ることよりも、神の愛を実践することが神の御心にかなうとしました。パウロも律法を守ることで人間が本当に救われるわけではないとし、人間は律法によって悪をなす他ない自らの罪を知るだけであり、律法ではなくキリストへの信仰によって救いに至ると考えました。 律法の内面化:イエスはモーセの十戒の「殺してはならない」という戒めについて、実際に殺さなくても、他者に対して腹を立てれば、それは人を殺したのと同じになると述べ、律法を真に内面化することが本来の信仰のあり方だとしました。「姦淫をしてはならない」という戒めについても、行為をしなければ罪にならないのではなく、内面が問題だとしました。これが「外的規範の内的規範化」であり、キリスト教が世界化する一因となりました。日本文化においても、仏教の戒律(外的規範)をどんどん骨抜きにして肉食妻帯したり、本来先祖崇拝の宗教であった儒教を学問・教育として受容したりしていますが、食物タブーなどの強固な外的規範を持つユダヤ教・イスラーム教が入りにくいのに対して、内的規範が主のキリスト教は受容しやすかった面もあります。 神の愛(アガペー):
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教養としてのユダヤ教②:モーセと律法

モーセ:ユダヤ教の中心。エジプトで奴隷生活を送っていたイスラエル人を率いて出エジプトし、紅海を渡り、シナイ山で神ヤハウェから2枚の石版に刻まれた十戒を授かります。モーセが目指した地が、聖書に「乳と蜜の流れる土地」と表現されているカナン(現在のパレスチナ)でした。モーセはキリスト教でも旧約最大の預言者とされ、旧約聖書の最初の部分(創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記)はモーセ五書と呼ばれます。 十戒:律法の中心。神の絶対性に関わる宗教的義務と人間のあり方に関わる道徳的義務からなり、イスラエル人がエジプトから脱出(出エジプト)した際、シナイ山で預言者モーセを通じて神から与えられたとされます。 (1)あなたは、私の他に、なにものをも神としてはならない。 (2)あなたは自分のために刻んだ像も造ってはならない。 (3)あなたはあなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない。 (4)安息日を覚えて、これを聖とせよ。 (5)あなたの父と母を敬え。 (6)あなたは殺してはならない。:仏教・ジャイナ教の五戒にも不殺生戒(ふせっしょうかい)があります。 (7)あなたは姦淫をしてはならない。:仏教・ジャイナ教の五戒にも不邪婬戒(ふじゃいんかい)があります。 (8)あなたは盗んではならない。:仏教の五戒にも不偸盗戒(ふちゅうとうかい)があります。 (9)あなたの隣人について偽証してはならない。:仏教・ジャイナ教の五戒にも不妄語戒(ふもうごかい)があります。 (10)あなたの隣人の家を貪ってはならない。:仏教の五戒ではここは不飲酒戒(ふおんじゅかい)、ジャイナ教の五戒では無所有戒となっています。
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教養としてのユダヤ教➀:ユダヤ教の特徴

唯一神:ユダヤ教・キリスト教・イスラームの神は同一神であり、一切を超越した唯一絶対・全知全能の神であり、この世界を創造した創造神で、人格神という共通点があります。したがって、この三教は兄弟宗教とされます。また、ユダヤ教・イスラーム教では偶像崇拝が禁止されており、イエスに関してもユダヤ教ではラビ(教師)とされ、イスラーム教では預言者として尊重されていますが、キリスト教が三位一体説でイエス=神にしたため、決定的対立となりました。 裁きの神:厳しい裁きを行う神。 選民思想:イスラエル人は自らを神から選ばれた民族であると信じ、唯一絶対の人格神ヤハウェから与えられた律法に従うことで、神から祝福が与えられ、救済される(契約思想)という信仰を持ちます。 アブラハム:洪水審判を経た義人ノアの10代後の子孫で、神の命令を受けて、メソポタミア地方のウルからカナン(現在のパレスチナ)へ移住し、イスラエル人の祖となりました。正妻サラとの子がイサク、イサクの子がヤコブで、ヤコブが「イスラエル」(勝利した者)の称号を得て、その子孫がイスラエル人となり、アブラハムとつかえめハガルとの子がイシマエルで、その子孫がアラブ人となりました。ユダヤ教・キリスト教・イスラーム教において「信仰の祖」と呼ばれます。 律法の書(トーラー):キリスト教で言う『旧約聖書』の根幹とも言えるモーセ五書(創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記)、ユダヤ教の聖典。神との契約や選民思想、バビロン捕囚などの苦難の歴史が記されています。ユダヤ教、キリスト教、イスラーム教はいずれも律法の書を啓典として持つ啓典宗教です。 (1)律法の書+『
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