唯一神:ユダヤ教・キリスト教・イスラームの神は同一神であり、一切を超越した唯一絶対・全知全能の神であり、この世界を創造した創造神で、人格神という共通点があります。したがって、この三教は兄弟宗教とされます。また、ユダヤ教・イスラーム教では偶像崇拝が禁止されており、イエスに関してもユダヤ教ではラビ(教師)とされ、イスラーム教では預言者として尊重されていますが、キリスト教が三位一体説でイエス=神にしたため、決定的対立となりました。
ムハンマド:唯一絶対神アッラーから完全な教え(『クルアーン』)を授けられた最後の預言者とされ、ムハンマド以降の預言者はいないと解釈されています。
クルアーン(コーラン):アッラーが預言者ムハンマドを通して下した啓示を記した聖典。
イスラーム:唯一神アッラーへの絶対的帰依。アッラーは最後の審判を行うとされ、神の像などの偶像崇拝は禁止されています。
最後の審判:アッラーは最後の審判で、生前の行いによって人々を裁き、人間を天国と地獄に振り分けるとされます。キリスト教の『新約聖書』「ヨハネの黙示録」には、終末前の千年に再臨したキリストが統治する至福の時代(千年王国)がやってくるという説が描かれています。
カリフ:ムハンマドの後継者で、イスラームの最高指導者のこと。初代カリフ:アブー・バクル、第2代カリフ:ウマル、第3代カリフ:ウスマーン、第4代カリフ:アリーまでを正統カリフといい、アリーとその子孫のみをイマーム(指導者)と認めるのがシーア派です。後に政治的実権者として大アミールやスルタンが立ち、カリフは宗教的権威となりますが、これは西ヨーロッパにおけるローマ教皇と神聖ローマ皇帝、日本における天皇と将軍の関係に似ています。
ムスリム:イスラーム教の信徒。イスラーム教では徹底した平等主義を取っており、聖職者階級はありません。こうした神の前に国王も乞食も等しく同じという平等主義は、伝統的身分制差別が激しい国(カースト制のあるインドなど)にイスラーム教が浸透する要因ともなりました。
六信:アッラー・天使・聖典・預言者・来世・天命を信じること。ちなみにユダヤ教徒・キリスト教徒はこの六信を受け入れるはずで、イスラーム教の観点からすればユダヤ教徒・キリスト教徒は信仰的には全員ムスリムということになります(五行という生活実践にまでは至っていない段階)。イスラーム教ではアダム・ノア・アブラハム・モーセ・イエス・ムハンマドが六大預言者として位置づけられ、ムハンマドは先行するユダヤ教・キリスト教を実によく研究していたとされます。
五行:ムスリムが実践すべき宗教的義務。信仰告白、礼拝、断食、喜捨、巡礼。
信仰告白(シャハーダ):「アッラーの他に神はなし、ムハンマドは神の使徒なり」の聖句を唱えます。
礼拝(サラート):1日5回、メッカ(カーバ神殿)の方向(キブラ)に向かって祈りを捧げます。金曜日の正午は最寄りのモスク(イスラーム教の礼拝堂)で集団礼拝。礼拝への呼び掛けをアザーンと言い、ユダヤ教のラッパ、キリスト教の鐘と同じような役割をしていますが、肉声で行われることに特徴があり、「神は偉大なり」という意味の「アッラーフ・アクバル」の4度の繰り返しから始まる。
断食(サウム):ヒジュラ暦(イスラーム暦)の9月(ラマダーン)に1か月間、日の出から日没まで、食物はもちろん、水までも飲んではならないとされます。
喜捨(ザカート):貧しい人への救貧税。財産の一定の割合を教団に納めます。
巡礼(ハッジ):生涯に一度、ヒジュラ暦の第12月に聖地メッカのカーバ神殿に礼拝に行くこと。ただし、経済的・体力的に余裕のない者は免除されます。
シャリーア:『クルアーン』や『ハディース』(ムハンマドの言行録)、スンナ(ムハンマドの慣行)、キヤース(『クルアーン』と『ハディース』から導き出される類推)、イジュマー(イスラーム法学者による合意)などを根拠にしたイスラーム法。豚肉を食べることや酒を飲むことを禁じるなど、食生活に様々な制限を設けています。また、シャリーアは結婚や相続など、ムスリムの生活全般の規則を定めており、シャリーアを守って生きることが神への信仰の体現であるとされます。
ウラマー(イスラーム法学者):イスラームにおける知識人のこと。イスラーム教には聖職者がおらず、人間は全て俗人で、世俗法即宗教法なので、ウラマーが宗教、法律、神学の問題について最終的な決定権を持ち、イスラーム教徒の社会生活を様々な面から規定する役割を果しました。実際にウラマーを形づくるのは、神学校(マドラサ)の教授、モスクの役職者、カーディー(裁判官)ら実際の法運用に携わる者達、在野の学者達です。
ウンマ(イスラーム共同体):ムハンマドは、血縁関係に基づく従来のアラブの部族社会に対して、信仰によって結ばれたイスラーム共同体(ウンマ)の構築を唱えました。ウンマの中ではイスラーム法に基づいて善悪の区別ができ、部族や民族の違いに関係なく、同じ神への信仰に生きる信徒達は互いに平等な関係で結ばれています。
ハラル:イスラーム教の戒律にしたがって処理された食材。
へジャブ(ヒジャーブ、ヒジャブ):イスラーム教徒の女性が人前で髪を隠すのに用いるスカーフ。
チャドル:イスラーム教徒の女性が着る伝統的な服。黒地の布で作ったベール状のもので、頭からかぶって全身を覆い隠します。顔は隠しません。現在ではイランに多く見られます。
ニカブ:イスラーム教徒の女性が着用するベール。目以外の顔と髪をすっぽりと覆うもの。
ブルカ:イスラーム教徒の女性が頭からかぶって全身をおおうように着る、マントのような衣服。ニカブと異なり、目の部分も網状の布などで隠します。アフガニスタンに多く見られます。
ジハード(聖戦):ムスリムの義務の一つで、聖典を通して知られる神の意志に基づいて、神の定めた正義を世界に広めるよう奮闘すること。狭義には、異教徒との戦いを指します。