【第1回|デザイン思考を学ぶ】デザイン思考とは何か
第1回目は、ビジネスにおいて「なぜデザイン思考が必要なのか?」、そして「デザイン思考とは何なのか?」について説明します。
1.デザイン思考はなぜ必要なのか?
価値観の二極化が進む日本
コロナ禍を背景に、日本でも価値観の二極化が加速している。節約するモノとお金をかけるモノとをはっきりと使い分ける価値観の二極化である(日本経済新聞 2021年)。コロナによる経済危機は長期間に及び家計の支出に影響を与えている。顧客は節約の意識が高まっており、基本的には低価格製品を試し、その品質に満足できることを発見して、低価格品を継続的に利用する。一方、こだわりがある場合など一部の消費については高価格を支払う。「顧客体験価値」の創出が競争優位を築く
このトレンドに適応するために、企業はコストリーダーシップ戦略か顧客体験戦略のどちらかを追求する必要がある。低コストの供給者は商品(製品・サービス)の本来価値(=機能的価値)を重視する。すなわち余計なものを取り除き、品質面では全く妥協していないと人々に確信させながら、中核的便益を強化する。一方、プレミアム価格ブランドはオファリングの付帯価値を強化することに力を入れる。ここでは顧客体験のイノベーションが肝心である(コトラーのマーケティング5.0)。
しかしながら、コストリーダーシップ戦略の場合、新たな商品(製品・サービス)を提供しても、競合の追随を受けすぐに商品がコモディティ化してしまう。もはや商品の機能的価値の訴求のみでは、消費者に選んでもらえなくなってきている。そこで、企業は差別化を図るため「機能的価値」に加え「感情的価値・自己表現価値・社会的価値」を含
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