私たちはときに嘘をついてしまいます。それは「自分を良く見せたい」という単純な気持ちだけでなく、「本心をさらけ出したら独りぼっちになってしまうのではないか」という深い不安が根底にあるからではないでしょうか。誰しも寂しさは避けたいものです。嘘をつくことで、周囲とのつながりを一時的に保とうとする気持ちは、人として自然なことかもしれません。
しかし、そもそもどうして「本心を隠さなきゃ」と思ってしまうのでしょうか。それは、本心をさらけ出すことで「仲間ができないかもしれない」「受け入れてもらえないかもしれない」「否定されるかもしれない」という恐れがあるからです。
あるいは、自分の本音が相手の価値観を否定することにつながり、結果的に人との関係がギクシャクするかもしれないという不安もあります。だからこそ、私たちは嘘をついたり、見栄を張ったり、ありのまま以上の自分を見せようとしてしまうのです。
けれども、よく考えてみてください。あなたが頑張って取り繕っている姿を見て、「あ、この人、無理してるな」「なんだか本音じゃない気がする」とうすうす感じている人が、実は身近にいるかもしれません。人は意外と、言葉の端々や雰囲気からその人の本音を察します。あなたが感じている“本心を隠している”感覚は、少なからず相手にも伝わっているものなのです。
「本心で生きる」とはたしかに勇気のいることです。相手の考え方と衝突するかもしれませんし、ときには誤解が生まれることもあるでしょう。でも、もし本心を打ち明けたときに、それを受け止め、理解しようとしてくれる人がいたらどうでしょうか。あなたが怖がっていた反応とは逆に、むしろ関係が深まるきっかけになるかもしれません。
それに、もし自分の本音を伝えた結果、離れていく人がいたとしても、それはあなたにとって本当に必要な関係だったのか、一度立ち止まって考えるきっかけになるでしょう。
「自分自身を大切にしてくれる人とつながりたい」「偽りの自分ではなく、本来の自分で生きていきたい」という願いを持つのは、決してわがままなことではありません。
自分の本心に素直になることは、周りからの承認やつながりを失う怖さと隣り合わせです。でも、その壁を少しずつでも乗り越えていくことで、嘘をつく必要がない安心感や、本当の意味での“自分らしさ”を取り戻すことができます。嘘で作り上げたつながりの不安定さから抜け出し、より深いつながりを育んでいくチャンスにもなるのです。
ぜひ、少しずつで構いません。あなた自身が「これは本当の自分の気持ちだ」と思える言葉や行動を、少しずつ試してみてください。嘘を手放し、“自分らしい”生き方を探す旅は、怖さもありますが、同時にとても自由でエネルギッシュなものになるでしょう。
案外、あなたが思っているより、人は離れず、むしろ本音のあなたを知って受け入れてくれるかもしれません。なによりも「私らしく生きている」という手ごたえは、何ものにも代えがたい喜びを与えてくれるはずです。