大祓いの歴史①のつづき
この神話は、
穢れは「洗い流すことで消え、再生が生まれる」
という神道の根本的な世界観を示しています。
大祓いは、この禊の思想を社会全体の儀式へと昇華させたものなのです。
⭐︎古代国家における大祓の成立⭐︎
大祓いが制度として確立したのは、律令国家の
成立以降です。
『延喜式』(927年成立)には、
六月晦日(つごもり)と十二月晦日に
「大祓い」を行うことが明確に定められています。
当時の大祓いは、単なる宗教儀礼ではなく、
• 天皇を中心とする国家祭祀
• 官人・百姓を含む全国的な祓い
• 国の災厄を未然に防ぐ政治的儀式
という性格を持っていました。
朝廷では、
諸国から集めた「祓物(はらえつもの)」を用い、
中臣氏(のちの藤原氏)が大祓詞を奏上しました。
ここで祓われる「罪・穢れ」には、
• 天災
• 疫病
• 反乱
• 政治の停滞
といった国家レベルの不安要素までもが含まれていたのです。
大祓いが「個人のための祓い」に留まらず、
国そのものを立て直すための神事として位置づけられていたという事実です。
古代の人々は、
天災や疫病、政の乱れを、単なる偶然とは捉えませんでした。
人の営みと世の在り方が乱れた結果として受け
それを正す手段として、大祓いを行ったのです。
ここには、
力や制度で押さえ込むのではなく、
まず清め、整えることで道を開くという、
日本神道ならではの統治観が表れています。