店長が欠勤者の代わりに入ったら、なぜ店が回らなくなることがあるのか

店長が欠勤者の代わりに入ったら、なぜ店が回らなくなることがあるのか

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ビジネス・マーケティング
こんにちは!元店長サムです!

急な欠勤が出たとき、「自分が入れば何とかなる」と考える店長は多いと思います。実際、それで目の前の穴を埋められることもあります。

ホールが足りなければ店長がホールに入り、キッチンが足りなければ調理に入る。ドリンクが詰まればそこも自分で引き受けるという具合に、目の前の穴はとにかく自分でふさごうとします。現場経験のある店長ほど、こうした対応はできます。

ところが、不思議なことがあります。欠勤したスタッフの仕事は埋めたはずなのに、店全体はむしろ回らなくなる。今回は、その理由について考えてみます。

店長には「見えにくい仕事」がある


店長の仕事というと、接客や調理、レジ打ちといった現場作業を思い浮かべるかもしれません。ただ、営業中の店長には、それとは別の役割があります。

たとえば、ホールが詰まり始めていないかを見る、新人が困っていればフォローに人を回す。予約のお客様の来店時間を確認したり、クレームが起きれば判断を下したり、忙しさに応じて優先順位を変えたりといった、そうした目に見えにくい判断も、営業中の店長には欠かせません。

こうした仕事は、皿を運んだ枚数のようには見えません。それでも、店を回すうえでは重要な仕事です。私はこれを、「全体を見る機能」と呼んでいます。

作業の穴を埋めた瞬間、判断の穴が開くことがある


たとえば、ランチ前にキッチンスタッフが1人欠勤したとします。そのスタッフが担当する仕事は店長ならできるので、そのまま店長がキッチンへ入り、欠勤者のポジションを担当したとします。これでキッチンの人数は、一見すると元に戻ります。

ところがピークが始まると、ホールで案内が詰まり始めたり、新人スタッフが判断に迷ったりと、細かなほころびがあちこちに出てきます。それでも店長は調理から離れられない。こんなことが起こる場合があります。

問題は、店長が調理できなかったことではありません。むしろ逆です。店長が調理できたからこそ、その仕事へ固定されてしまった。その結果、本来店長が担っていた「全体を見る仕事」が弱くなったわけです。

「店長なら何でもできる」が裏目に出ることもある


経験のある店長ほど、「自分がやった方が早い」という場面は増えます。新人より早くこなせて、複数のポジションにも入れ、トラブルにも対応できる。その力は、もちろん店の強みです。

ただし緊急時には、できることが多い人を、どこへ固定するかを慎重に考える必要があります。一つの作業を任せれば、その人が同時にやっていた別の仕事はできなくなります。特に店長の場合、その「別の仕事」が目に見えにくいため、気づくのが遅れます。

欠勤した人の仕事は埋まったのに、店は苦しくなる。そのときは、店長が現場へ入ったことで、何ができなくなったのかを見る必要があります。

店長が入ってはいけない、という話ではない


ここを誤解してほしくありません。欠勤時に店長が現場へ入ること自体が悪いわけではありません。状況によっては、それが最も現実的な対応です。

問題は、「店長がその仕事をできる」=「店長がそこへ入るのが最善」とは限らないことです。店長があるポジションへ入るなら、その間に全体を見るのは誰か、スタッフが迷ったりトラブルが起きたりしたときに誰が判断するのか、そういったことも決めておく必要があります。ここまで決めて初めて、店長が穴を埋めても店全体が成立します。

「人を動かす」ときは、その人の元の仕事まで見る


これは店長だけの話ではありません。たとえば、ホールのAさんをキッチンへ動かすとします。Aさんがキッチンをできるなら、一つの穴は埋まります。ただし今度は、Aさんが担当していたホールの仕事を誰がするのかを考えなければなりません。

つまり、人を動かすときは、空いている穴だけを見るのではなく、動かした人の元の場所まで見る必要があります。一人動かすと、その結果別の場所が弱くなり、そこでまた人を動かすことになる。こうして考えていくと、欠勤対応は単なる「穴埋め」ではなく、店全体を組み替える作業だと分かります。

店長しか判断できない状態にも注意が必要


もう一つ、普段から見ておきたいことがあります。店長が現場作業へ入っただけで、店全体の判断が止まってしまう。もしそうなるなら、普段から判断機能が店長一人に集中している可能性があります。

今回の記事では人材育成の話までは広げません。ただ、「この場面、店長が抜けたら誰も決められないな」ということが見えたなら、それは通常時の店舗体制を確認する材料になります。緊急時には、普段は見えにくい弱点が表に出ます。

欠勤者の仕事だけを見ない

急な欠勤が出たとき、「この人の仕事を誰がやるか」を考えることは必要です。ただ、そこで止めない。代わりに入る人が決まったら、その人が元々担っていた機能は何か、そこまで確認します。特に店長自身が入る場合は、作業の穴を埋めた代わりに、判断の穴を作っていないか、一度確認してみる価値があります。

欠勤対応で重要なのは、一つのポジションを元通りにすることではありません。残っている人員で、店全体として必要な機能を維持することです。

この視点があると、「店長が全部やれば何とかなる」から「店全体をどう組み直せば成立するか」へ、考え方が変わります。

次回は、その「組み直す」をもう少し具体的にします。急な欠勤が出たときに使える、「足す・動かす・減らす・変える」という4つの考え方について取り上げます。

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急な欠勤時に、「人数ではなく、欠ける機能を見る」、そして店長自身を含め、人を動かしたあとに何が空くのかを見るという考え方と、実際に使える判断シートをまとめたガイドも作成しています。カフェ・ラーメン店・居酒屋のケースと、記入済みチェックシート例も収録しています。

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