現場の「なぜ?」を研究へ。#4

現場の「なぜ?」を研究へ。#4

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その「なぜ?」、研究にできる?―研究テーマを絞ってみよう

こんにちは。

前回は、毎日のケアの中で感じる、

「あれ?これでいいのかな?」
「もっと良い方法はないのかな?」

という小さな疑問が、研究の「種」になるというお話をしました。

では、その「なぜ?」をそのまま研究テーマにできるのでしょうか?

実は、もう一段階、整理する必要があります。

今回は、現場の「なぜ?」を、研究で答えられる「問い」に変える方法についてお話しします。

① まずは「なぜ?」をそのまま書いてみる

例えば、ある看護師さんが、

「退院指導をしているけれど、本当に患者さんに伝わっているのかな?」

と感じたとします。

この段階では、まだ漠然としています。

そこで、まずは難しく考えず、

「私は、何が気になっているんだろう?」

と考えてみます。

「退院指導そのものが気になる?」

「説明の方法?」

「患者さんの理解?」

「退院後にちゃんとできているか?」

同じ「退院指導が気になる」でも、知りたいことによって研究はまったく違うものになります。

② 「誰の、何を知りたい?」まで絞ってみる

次に、もう少し具体的にします。

例えば、

誰について?
→ 退院する高齢患者さん

何が気になる?
→ 退院後のセルフケアについて、説明した内容を本当に理解できているのか

ここまでくると、最初のモヤモヤが少し形になってきます。

さらに、

「何か工夫するとしたら?」

と考えてみます。

例えば、看護師が一方的に説明するだけでなく、

患者さん自身の言葉で、理解した内容を説明してもらったらどうだろう?

というアイデアが浮かんだとします。

すると、

誰に?
→ 退院する高齢患者さん

何をする?
→ 患者さん自身の言葉で説明内容を確認する

どうなってほしい?
→ 退院後のセルフケアへの理解が深まる

と整理できます。

なんだか研究っぽくなってきましたよね。

③ ここで文献を探してみる

でも、ここですぐ研究を始めるわけではありません。

大切なのが、

「これって、もう誰かが調べていない?」

を確認することです。

前回までにお話しした文献検索の出番です。

例えば、

「高齢者」「退院指導」「セルフケア」「理解」

などのキーワードから文献を探してみます。

すると、

「同じような研究がすでにある」

かもしれません。

でも、

「高齢者を対象にした研究は少ない」

「入院中の理解は調べているけれど、退院後までは分からない」

など、「ここまでは分かっているけれど、ここはまだ分からない」が見つかることがあります。

ここが、とても大事です。

研究は「誰も考えたことのない、ものすごいテーマ」を探すことではありません。

すでに分かっていることと、まだ分かっていないことの間を見つける。

これも研究テーマを絞る大切な作業です。

④ 「研究で答えられる質問」にしてみる

ここまで整理したら、最後に「問い」の形にします。

例えば、

退院する高齢患者に、患者自身の言葉で説明内容を確認する方法を取り入れることで、退院後のセルフケアに関する理解は深まるだろうか?

最初は、

「退院指導、本当に伝わっているのかな?」

でした。

それが、一つずつ整理することで、研究によって答えを探せそうな問いになりました。

このような、研究によって明らかにしたい問いを「研究疑問(Research Question)」といいます。

研究テーマは「ひらめく」ものではなく「絞っていく」もの

研究初心者だった頃の私は、「研究テーマを考える」と聞くと、

何かすごいアイデアを思いつかなければならない!

と思っていました(笑)。

でも、そうではありませんでした。

現場で感じた、

「なぜ?」

から始めて、

何が気になる?
→ 誰について?
→ 何を知りたい?
→ すでに何が分かっている?
→ まだ何が分かっていない?

と、一つずつ整理していく。

そうすると、ぼんやりしていた「現場のなぜ?」が、少しずつ研究できる「なぜ?」に変わっていきます。

研究テーマは、どこかから立派なものを探してくる必要はありません。

みなさんが今日のケアで感じた「これでいいの?」が、その出発点になるかもしれません。

さて、研究疑問が少しずつ形になってくると、次に必要になるのが、
「これまでに、どんな研究がされているの?」
を調べることです。

そこで次回からは、「現場の『なぜ?』を研究へ。」を少しお休みして、文献検索シリーズをお届けしたいと思います。

研究を始めたばかりの頃の私は、
「文献ってどこで探すの?」
「Googleで検索するのと何が違うの?」
「英語の論文なんて無理!」
「集めた論文、どうやって整理するの?」
……というところからのスタートでした(笑)。

そんな当時の私でも分かるように、
① 和文献の探し方
② 英文献の探し方
③ 見つけた文献の整理・管理の方法
の3回に分けて、できるだけやさしくお話ししてみようと思います。

「研究を始めたいけれど、文献検索で止まってしまった」という方にも、まずはここまでできれば大丈夫!と思ってもらえる内容にしたいと思います。

それでは次回、
文献検索編 #1「まずは日本語の論文を探してみよう―医中誌Webの基本」
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