研究から逃げ回っていた看護師が、博士号を取るまで
はじめまして。
現在、私は大学教員として看護学の教育・研究に携わっています。
でも、もともと研究者を目指していたわけではありません。
大学病院や一般病院など、長く臨床の現場で看護師として働いてきました。
その頃は、とにかく毎日の業務に追われる日々。
研究なんてやっている暇はない!
というのが正直なところでした。それどころか、
「うちの病棟、今年は看護研究の当番だって」
なんて声が聞こえてくると、
「お願いだから私には回ってきませんように……」
と、ビクビクしながら逃げ回っていました(笑)。
そんな私が、今では博士(看護学)の学位を取得しています。
新人看護師だった頃の私に、
「あなた、十数年後には博士号を取っていますよ〜」
と言ってみたいものです。
きっと、
「えっ? なんで? 私が??」
と驚きすぎて、どうしてそんなことになるのか考えすぎて、頭がショートしていたことでしょう。
でも、本当なんです。
「研究って、頭のいい人がするものでしょ?」
研究を始める前の私は、「研究」という言葉を聞くだけで、とても難しいものに感じていました。
「研究って、大学の先生や学者さんが専門的にやるものでしょう?」
「統計なんて分からないし……」
「ちゃんと研究方法を学校で勉強していない私には無理」
そんなふうに思っていました。
もしかすると、今この記事を読んでくださっている看護師さん、介護士さん、医療・福祉職の方の中にも、同じように感じている方がいらっしゃるかもしれません。
でも、今の私は少し違う捉え方をしています。
研究の入り口は、必ずしも難しい研究方法や統計の知識ではありません。
臨床で働いていると、
「このケア、本当にこれでいいのかな?」
「もっと患者さんにとって良い方法はないのかな?」
「この方法だとうまくいく気がするけれど、どうしてだろう?」
と思うことがあります。
実は、そんな現場で感じる小さな「なぜ?」の中に、研究の種が隠れていることがあります。
私自身、それを知ったのはずっと後になってからでした。
そんな私が、なぜ大学院へ?
では、研究から逃げ回っていた私が、どうして大学院に進学することになったのでしょうか。
何か壮大な研究テーマを見つけたから?
研究者になるという夢ができたから?
……残念ながら、どちらでもありません(笑)。
きっかけは、当時勤めていた病院の看護部長でした
ある日、
「大学院、行ってきてね♡」
と、鶴の一声。
同じ業界で働いている方なら、当時の私の心境を少し想像していただけるかもしれません。
「えっ、私が大学院……?」
研究についてほとんど何も知らない、普通の臨床看護師。
そんな私が、思いがけずアカデミックな世界に足を踏み入れることになりました。
当然、そこから順風満帆だったわけではありません。
論文を読んでも、
「何を言っているのか分からない……」
研究計画を考えても、
「そもそも何から考えればいいの?」
そんなところからのスタートでした。
このブログでお伝えしたいこと
このブログでは、研究方法を難しく解説するだけではなく、
研究なんて考えたこともなかった一人の臨床看護師が、どうやって研究と出会い、博士号を取得するところまで歩いてきたのかを、失敗談も含めてお話ししていこうと思います。
そして、看護・医療・介護・福祉の現場で、
「今のケアを、もう少し良くしたい」
と思っている方に、
「研究って、思っていたより自分に近いものなのかもしれない」
と感じてもらえたら嬉しいです。
さて、研究から逃げ回っていた「おばちゃん看護師」は、アカデミックな世界に放り込まれてどうなったのでしょうか。
もちろん、すんなりいくはずがありません(笑)。
次回は、「#2 おばちゃん看護師、アカデミアに足を踏み入れる」のお話です。