「修繕積立金を値上げする必要があります」
管理会社や理事会から突然こんな話が出てくると、まず気になるのは当然、
「で、いくら上がるの?」
だと思います。
月5,000円なのか、1万円なのか。
毎月払うお金ですから、そこが気になるのは当たり前です。
でも、マンション管理の実務に携わってきた立場からすると、金額を見る前に確認してほしいことがあります。
それは、
「そもそも、なぜ修繕積立金が足りなくなるのか?」
です。
ここが分からないまま、
「月額○円に値上げします」
という数字だけを見て賛成・反対を決めると、本来見るべきところを見落としてしまいます。
まず見るのは「値上げ額」ではない
修繕積立金の値上げ案が出てきたら、最初に確認したいのは、
「現在いくらあるのか」
「今後いくら入ってくるのか」
「いつ、何に、いくら使う予定なのか」
です。
その全体像を確認するための資料が、基本的には長期修繕計画と修繕積立金の収支計画です。
例えば、
現在の修繕積立金残高が5,000万円。
数年後の大規模修繕工事で8,000万円必要。
その後も屋上防水、給排水設備、エレベーターなどの工事が予定されている。
こういう状況なら、現在5,000万円あるから安心、とは言えません。
逆に、
「将来足りません」
という説明だけで、すぐ値上げが必要だとも限りません。
まずは不足する理由を確認します。
長期修繕計画で確認したいポイント
長期修繕計画を見ると数字が大量に並んでいるので、
「よく分からないから管理会社に任せよう」
となりがちです。
でも、全部を理解する必要はありません。
まずは次のポイントを追ってみてください。
① 現在の修繕積立金はいくらあるか
② 今後、大きな支出が発生するのはいつか
③ そのとき、どんな工事を予定しているか
④ その結果、修繕積立金残高がどう推移するのか
特に見てほしいのが④です。
将来のどの時点で残高が大きく減るのか。
あるいはマイナスになるのか。
そこが分かれば、
「なぜ値上げの話が出てきたのか」
が見えてきます。
「不足する」という数字も前提条件で変わる
ここは意外と見落とされます。
長期修繕計画に書かれている将来の数字は、未来を予言したものではありません。
例えば、
「○年後にこの工事をする」
「工事費は○千万円程度かかる」
「現在の修繕周期は○年とする」
など、いくつもの前提条件を置いて計算しています。
そのため、
「30年後に3,000万円不足します」
という数字だけを見て、
「大変だ!」
と慌てる前に、
どういう条件で3,000万円不足する計算になっているのか
を確認する必要があります。
もちろん、だからといって都合よく工事費を削ったり、修繕周期を延ばしたりすればいいという話ではありません。
重要なのは、
数字の根拠を理解したうえで判断すること
です。
値上げする・しないの二択とは限らない
修繕積立金が不足するとなると、
「値上げするか、値上げしないか」
という話になりがちです。
でも実際には、検討することはそれだけではありません。
例えば、
工事時期は適切なのか。
工事内容は適切なのか。
現在の修繕積立金残高はいくらなのか。
将来どの時点で資金が不足するのか。
段階的に値上げするのか。
一定額まで一度に引き上げるのか。
場合によっては借入れを組み合わせるのか。
いろいろな考え方があります。
だからこそ、最初から
「月額○円上げることに賛成か反対か」
だけで考えない方がいいのです。
総会で確認・質問しておきたいこと
修繕積立金の改定が総会議案になったら、少なくとも、
「現在の積立金残高はいくらですか?」
「いつ頃から資金不足になる想定ですか?」
「一番大きな支出は何の工事ですか?」
「今回の値上げ額は、どのような前提で計算したものですか?」
といったことは確認していいと思います。
これは管理会社を疑うための質問ではありません。
修繕積立金は区分所有者自身のお金です。
だから、
「なぜこの金額になるのか理解してから判断したい」
というのは、ごく普通のことです。
それでも資料を見ても分からないときは
問題はここです。
実際の長期修繕計画や収支計画を見ると、
「言っていることは分かった。でも、うちの資料のどこを見ればいいんだ?」
となることがあります。
長期修繕計画はマンションごとに違います。
現在の積立金残高も違えば、戸数、築年数、予定工事、修繕周期、積立方式も違います。
だから一般論を知ることと、自分のマンションの資料を読み解くことは別問題です。
まずは、
「なぜ不足するのか」
を確認する。
そのうえで、
「その不足をどう解消するのか」
を考える。
修繕積立金の値上げ案を見るときは、この順番で整理すると分かりやすくなります。
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