「忘れ物やミスが多い」
「人とのコミュニケーションがうまくいかない」
「予定を立てても、いつもその通りに行動できない」
こうした困りごとが続き、インターネットやSNSで発達障害に関する情報を見て、「もしかして自分も発達障害なのでは?」と思ったことはありませんか?
発達障害という言葉を知ることで、これまで抱えてきた生きづらさに説明がつき、少し安心する方もいます。
一方で、情報を調べるほど不安になったり、「自分は発達障害に違いない」と思い詰めたりすることもあります。
そんなときは、診断名を考える前に、現在の困りごとを整理してみることが大切です。
「当てはまる特徴の数」だけでは分かりません
発達障害に関するセルフチェックを見ると、自分にも当てはまる項目がいくつか見つかるかもしれません。
しかし、忘れ物、集中しづらさ、コミュニケーションの難しさなどは、発達障害のある方だけに起こるものではありません。
疲労、睡眠不足、強いストレス、職場環境、人間関係、体調など、さまざまな要因によって似た状態が現れることもあります。
そのため、「特徴がいくつ当てはまったか」だけで発達障害かどうかを判断することはできません。
診断が必要な場合は、医療機関で専門的な評価を受ける必要があります。
まずは「どこで、何に困っているか」を考える
最初に整理したいのは、診断名よりも、実際の生活でどのような困りごとが起きているかです。
たとえば、次のような点を振り返ってみます。
・どのような場面で困ることが多いか
・仕事、家庭、人間関係のどこに影響が出ているか
・困りごとはいつ頃から続いているか
・子どもの頃にも似たようなことがあったか
・うまくできる場面と、できない場面にどのような違いがあるか
・睡眠不足やストレスが強いときに悪化していないか
・これまで自分なりに試した工夫はあるか
「いつもできない」と感じていても、具体的に振り返ると、ある環境ではできていたり、特定の条件が重なると難しくなっていたりすることがあります。
困りごとは、本人の特性だけで決まるわけではありません。仕事内容や人間関係、生活環境との組み合わせによって強くなる場合もあります。
診断を受けるかどうか迷っている場合
「病院へ行くほどなのか分からない」
「診断がつくのが怖い」
「どこの病院へ行けばよいのか分からない」
このような迷いを抱える方も少なくありません。
受診するかどうかを今すぐ決められなくても、まず困りごとを記録しておくと役立ちます。
具体的な出来事、そのときの状況、生活への影響、自分がどのように感じたかを書いておくと、受診することになった際にも医師へ説明しやすくなります。
困りごとによって仕事や日常生活に大きな支障が出ている場合や、精神的につらい状態が続いている場合は、一人で抱えず、医療機関や公的な相談窓口に相談することも検討してください。
家族やパートナーについて疑っている場合
身近な人に発達障害の特性があるように感じる場合も、本人にいきなり「発達障害だと思う」と伝えることには注意が必要です。
本人が責められた、決めつけられたと感じ、話し合いが難しくなることがあるからです。
診断名を伝えるのではなく、
「何度も予定が変わって、お互いに困っている」
「話がすれ違うことが増えて、私はつらく感じている」
というように、実際に起きていることや、その影響を具体的に伝えるほうが話し合いやすくなります。
本人が受診を望んでいない場合には、まずご家族だけで相談機関を利用する方法もあります。
大切なのは、困りごとへの対応を考えること
発達障害かどうかを考えることは、自分や相手を責めるためではありません。
現在起きている困りごとの背景を整理し、自分に合った対処法や、周囲とのよりよい関わり方を考えるためのものです。
診断の有無にかかわらず、環境を整えたり、伝え方を工夫したりすることで、負担が軽くなることもあります。
私のチャット相談では、発達障害の診断や判定は行いません。
精神保健福祉士・社会福祉士として、現在起きていることを一緒に整理し、生活の中で取り入れられそうな工夫や、受診を検討する際の伝え方、ご家族からのアプローチ方法などを一緒に考えます。
「発達障害かどうか分からないけれど、今の状況に困っている」
その段階でも相談して大丈夫です。診断名を急いで決める前に、まずは現在の困りごとを一つずつ整理してみませんか。