毎月25日を過ぎると、私は決まって同じことを言っていました。
「あと少し」「ラスト3日」「ここが踏ん張りどころ」。
実際、月末の3日間は数字が跳ねます。全員が集中して、なんとか目標に届く。締めた日はみんなで安堵して、よくやったと言い合っていました。
ところが翌月の1日になると、数字はまた低いところから始まります。そして20日を過ぎるとまた焦る。これを1年以上、繰り返していました。
通信業界のコールセンターで25年、チームを見てきました。今日はこの失敗の話を書きます。
追い込みは、翌月から前借りしていただけ
グラフにして、ようやく気づきました。
月次の推移が、きれいなノコギリの歯になっていたんです。月末に跳ねて、月初に落ちる。その繰り返し。
月末に無理やり締めた案件の中には、本来なら翌月頭に決まっていたものが混じっていました。つまり追い込みは、翌月の分を先に食べていただけでした。
だから月初が低い。月初が低いから、月末に追い込む必要が出る。自分で作った悪循環でした。
途中で見ていたのは「今いくつ」だけ
なぜ20日を過ぎるまで気づけなかったのか。理由ははっきりしていました。
月の途中で見ていたのは、その時点の累計だけだったんです。
15日時点で50件。これを見て「まあまあかな」と思う。でもこの数字は、月末にどうなるかを何も教えてくれません。良いのか悪いのかは、月末の目標と並べて初めて分かります。
私は毎週それを並べていませんでした。だから、月の後半になって残り日数を数えたときに初めて青ざめる。焦って号令をかける。毎月同じことをしていました。
「あと何件」を毎日出すようにした
そこで、朝の共有で出す数字を変えました。
達成率をやめて、「目標まであと何件」と「1日あたり何件必要か」の2つだけにしました。
これが思った以上に効きました。同じ「あと40件」でも、5日目に分かれば1日1.5件の話です。25日目に分かれば1日8件の話になる。差は同じでも、意味がまったく違う。
月初から「1日1.5件」と出ていると、誰も焦りません。淡々と積む。逆に、途中でペースが落ちた日は数字がすぐ動くので、その週のうちに手を打てます。
号令をかける回数は、目に見えて減りました。
慌てなくなったら、中身が変わった
一番よかったのは、実は数字そのものではありませんでした。
月末に追い込んでいたころは、正直に言うと無理な進め方をしていた部分がありました。急いで決めてもらった案件は、あとから取り消しになる割合が高い。追い込んだ数字の一部は、翌月に消えていました。
平準化してからは、そこが減りました。月末の跳ね方は小さくなりましたが、残る数字は増えました。
チームの空気も変わりました。月末が近づいても、以前のようなピリピリした感じがなくなった。数字を追うのをやめたわけではなく、追い方が変わっただけです。
同じことで困っている方へ
毎月月末に追い込んでいる、月初はいつも低いところから始まる。そんな状態でしたら、原因は頑張りの量ではなく、途中で見ている数字かもしれません。
私は業務ツールを作るとき、達成率よりも先に「あと何件」「1日あたり何件」を出すようにしています。達成率は通信簿ですが、あと何件は作業の話だからです。人は作業の話なら自分から動きます。
数字は出しているのに現場が動かない、月末になるまで状況が分からない。そんな状態でしたら、お力になれることがあるかもしれません。
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