認知症でも残存機能あり。

 認知症でも残存機能あり。

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コラム

今回は、介護経験の中から、印象に残った事を書きたいと思います。

認知症と言っても、アルツハイマー型・血管性・レビー小体型・前頭側頭型などの種類により、症状は様々です。

その人は、私が脳外科病棟で看護助手をしていた時に関わった人でした。

私が初めて会った時は、会話は出来るが歩行は出来ず、移動は介助により車椅子を利用していました。

入院するまでは、リハビリセンターの看護長をしていたらしいのですが、認知機能の低下により、その事は忘れていました。

その人は、尿失禁しても自分で交換する事が出来ず、職員が交換していました。パットが濡れたと感じたら、ナースコールボタンを押し、職員を呼ぶ事が出来ていました。

ある時、ナースステーションで待機していると、ナースコールが鳴りました。

私が本人の部屋に行くと自分自身の用事ではなく、同室者を気遣って職員を呼んでいたのです。

「隣に寝ている人、何か困っているみたいだから、聞いてあげて」と言うのです。

その部屋は、4人部屋で、それぞれをカーテンで仕切っているだけなので、何となく、隣の様子がわかるのです。隣の人に確認すると、やはり困っていたのですが、ナースコールを押す事が出来なかったのです。

認知機能の低下により、自分が看護師をしていた事も忘れているのに、困った人を助けたいという優しい心は失っていなかったのです。

もちろん、ナースコールを押せば、職員が来ることも覚えていたのです。

認知機能の低下により、難しい事は分からなくなっても、長い間、大事に持っていた優しい思いやりが残っていた事に感動しました。

認知症の人の残存機能は人それぞれですが、必ず、何か出来る事がある筈と信じて対応する事を心掛けていました。




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