「自分の人生を生きる」ということ。 ーガス・ヴァン・サント監督が見つめ続けた人々。

「自分の人生を生きる」ということ。 ーガス・ヴァン・サント監督が見つめ続けた人々。

記事
コラム
ガス・ヴァン・サント監督の作品を並べてみると、
ひとつの共通したまなざしに気づきます。


それは
「自分らしく生きようとする人々」への、
静かであたたかい視線です。



「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」


主人公ウィルは、
誰もが羨む天才的な頭脳を持ちながら、
心の奥はずっと固く閉ざしたままでした。


過去の傷から、
人を信じることも、
自分の才能を活かすことも避け続けていたウィル。

そんな彼が
少しずつ変わっていくきっかけになったのは、
カウンセラーとの対話でした。


答えを教えるのではなく、
ただ隣に座り、
彼の痛みをそのまま受け止め続ける。

その積み重ねが、

ウィルに
「自分の人生を選び直す」勇気を与えていく様子は、
何度観ても胸が熱くなります。


私の大好きな映画で
大人になって観返してみても
やっぱり胸を打つ作品です。

子どもが大きくなったら
一緒に観たいなって思いますね(^▽^)



「ミルク」は


同性愛者であることを隠さずに生き、
声を上げ続けた実在の政治家の物語です。


ハーヴェイ・ミルクは、
自分らしく生きることが、
時に命がけの選択になる時代を生きました。


それでも彼は、
自分の存在そのもので、

同じように
声を上げられずにいた人たちの背中を押し続けました。


「自分の人生を生きる」ことが、
時として誰かの希望にもなるのだと、
教えてくれる作品です。



「エレファント」は


うって変わって、

誰にも気づかれないまま
孤独を抱えていた高校生たちの、
ある一日を淡々と描きます。


廊下ですれ違う生徒たち、
それぞれの抱える孤独や痛みが、

決して交わらないまま
静かに映し出されていく。


「自分の人生を生きる」以前に、
その存在に気づいてもらえないまま、
心が擦り減っていく人たちがいる。


その現実を、
静かに、
しかし強く突きつけてくる作品でした。



ほかにも


ドラッグや依存から
抜け出せずにいる若者たちを描いた
「ドラッグストア・カウボーイ」、


社会の型を無視して
欲望のままに生きる女性を描いた「誘う女」、


才能を隠しながら
自分の居場所を守ろうとしていた青年を描いた
「小説家を見つけたら」。


どの作品も、

形は違えど
「自分の人生をどう生きるか」というテーマに、
まっすぐ向き合っているように感じます。



わたしは普段、
電話やチャットで
色々な方のお話を聴く仕事をしています。


その中でよく感じるのは、

多くの方が
「自分の人生を生きる」ということから、
少し遠ざかってしまっているということです。


誰かの期待に応えるうちに、

自分が
本当は何を望んでいたのか分からなくなってしまう。

そんな声を、
たくさん聴いてきました。



ウィルには
対話をしてくれるカウンセラーがいました。

ミルクには
声を上げる勇気がありました。


でも、
エレファントの生徒たちのように、

誰にも気づかれないまま抱え込んでいる方も、
きっとたくさんいるはずです。



だからこそ、

わたしは
ただ話を聴くことを大切にしています。

答えを出すためではなく、
その人がその人自身の人生を、
少しずつ思い出していくための時間として。


自分の人生を生きるということは、
誰か一人の勇気だけで
できることではないのかもしれません。



誰かがそっと隣に座り、
耳を傾けてくれること。


それだけで、

閉ざされていた扉が、
ほんの少し開くことがあるのだと思います。



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