答えの出ない問いを、そのまま受けとめる。 ー映画『廃用身』が残した静かな余韻

答えの出ない問いを、そのまま受けとめる。 ー映画『廃用身』が残した静かな余韻

記事
コラム
おはようございます。
原田です。


先日、
とても体調が悪くて動けなかったので
映画「廃用身」を観ました。


観終わったあと
しばらく言葉が出てこなくて
ただ静かに座っていたのを覚えています。


大きな音楽で
感情を揺さぶってくるわけでも

わかりやすく
泣かせにくるわけでもありません。


むしろ
とても静かで淡々としていて。

ハリウッド映画というより
ヨーロッパ映画を観ているような感覚でした。



「悪い人」が出てこない映画


主人公は、ひとりの医師です。

こういうテーマの作品だと

「冷酷な人物」や
「サイコパス的な人」が出てくるのかな
と身構えてしまうかもしれません。


でも
この映画の主人公は違いました。

迷って、悩んで、苦しんでいる。


その苦悩が
セリフよりも表情や空気から
じわじわ伝わってくるんです。


善か悪かでスパッと切れない人を
切らないまま見つめ続ける。

その視線がとても静かで

だからこそ
観ているこちらも簡単に

「この人は間違っている」
「この人は正しい」

と言えなくなっていきました。



低温なのに、じっとり湿っている


雰囲気をひとことで言うなら
「低温高湿」


温度は低いのに
空気がじっとり湿っているような感じです。


西川美和監督や
是枝裕和監督の作品が好きな方なら

きっと
この空気感は観られるんじゃないかなと思います。


人の弱さや
いやな部分を声を荒げずに
静かに描いていく作風が好きな人には
じんわり刺さるはずです。


あと
不穏な雰囲気は
「関心領域」を観たときの感覚にも少し近かったです。


日常は淡々と流れているのに
その裏側で
ずっと何かが不穏に鳴っている感じ。

派手な出来事が起きなくても
じわじわ心がざわついてくる
あの感覚です。



ラストシーンは、観る人にそっと委ねられる


ネタバレになってしまうので
詳しくは書きませんが

ラストシーンはとても印象的でした。


答えをはっきり示すのではなく

「どう受け取るかは、観たあなたにお任せします」

というように
そっと委ねられる。


観終わったあとも
あの場面のことを何度も思い返してしまいました。


スッキリ終わる映画も好きですが

こうやって
「ずっと考え続けてしまう終わり方」の作品には
やっぱり心を掴まれてしまいます。



傾聴の仕事と、この映画のあいだ


私は普段
電話やチャットでお話を聴く仕事をしています。


その中で感じるのは

世の中には
「正解の出ないこと」が
たくさんあるということ。


どちらが正しいのか
どうするのが一番いいのか

いくら考えても答えが出ない。

そんな悩みを抱えて
ご相談くださる方もたくさんいらっしゃいます。


そういうとき
私にできるのは

答えを出してあげることではなくて

その迷いや苦しさを
そのまま聴くことなんだと思っています。


「廃用身」の主人公を観ながら
そんなことを考えていました。


正しさと優しさが
いつも同じ方向を向いているとは限らない。

誰かのためを思うからこそ
悩んでしまうこともある。


そんな苦悩を
「間違い」と決めつけずに
ただ静かに見つめる。


この映画は
そういう作品だったように思います。



おわりに


「廃用身」は
観て元気になるような映画ではありません。


でも
観終わったあとに

自分の中のいろんな感情や問いが
しばらく静かに残り続ける作品でした。


淡々とした映画や
観たあとに
じっくり考えたくなる映画が好きな方は
ぜひ観てみてください。



そして、もし

その余韻を誰かに話したくなったら
いつでも聴かせてくださいね。




サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す