悪夢と、芝刈り機の旅 ― デヴィッド・リンチの振れ幅から学んだ、聴くということ。

悪夢と、芝刈り機の旅 ― デヴィッド・リンチの振れ幅から学んだ、聴くということ。

記事
コラム
8月の下旬から
すごく身体が怠くて
体調を崩してしまい
ここのところ、寝込むのと過食が続いてるなあ…

・・・と思ったら
久しぶりにPMSの症状でした(・_・;)

ホルモンの薬を換えるための安静期なので
来月くらいまでは我慢ですが

やっぱり
久しぶりの感覚でも、PMS症状は憂鬱ですね…💦



話は変わって
映画好きな私が、
ずっと不思議に思っている監督がいます。

デヴィッド・リンチです。

「イレイザーヘッド」
「エレファント・マン」
「マルホランド・ドライブ」
「ストレイト・ストーリー」

と観てきましたが、
どれも本当に好きな作品でした。


ただ、
観終わるたびに
「これ、同じ人が撮ったの?」
と驚かされます。



デビュー作「イレイザーヘッド」は、

白黒の画面に不気味な音が延々と鳴り響く、
悪夢そのものを映像化したような作品でした。

何が起きているのか説明されないまま、
ただただ不穏な空気に包まれ続ける。


一方で
エレファント・マン」は、

見た目のせいで
「怪物」として扱われてしまう主人公の、
静かな尊厳と悲しみを丁寧に描いた作品で、

観終わったあと胸が締めつけられました。

同じ監督なのに、
恐怖の質も、優しさの質も、全然違う。


この時点ですでに、
リンチという人の振れ幅の広さを感じていたんです。



そして今回特に書きたいのは、
マルホランド・ドライブ」と
ストレイト・ストーリー」。


この2本は、
リンチ作品の中でもまさに対極にあると思っています。



 溶けていく現実、マルホランド・ドライブ


マルホランド・ドライブ」は、

サブカル界隈でカルト的人気があった作品です。

わたしも昔はサブカル系(笑)だったので
嬉々としてレンタルした記憶があります。


この作品は
観ている間ずっと、
地に足がつかない感覚に襲われる映画です。


夢なのか現実なのか、
誰が誰の記憶を見ているのか、
途中からどんどん分からなくなっていく。

ハリウッドに夢を見た女性の物語のはずが、

いつのまにか
登場人物の名前や関係性そのものが
溶けていくように入れ替わっていきます。

分かりやすい説明も、
きれいな答え合わせも、
最後まで用意されていません。


それでも画面から目が離せない。

怖いのに、美しい。

そんな
矛盾したものが同時に押し寄せてくる映画でした。



まっすぐ進む、芝刈り機の旅

一方で
ストレイト・ストーリー」は、

驚くほど静かで、まっすぐな映画です。

年老いた主人公アルヴィンが、
疎遠になっていた兄に会うため、

免許も車もないので芝刈り機に乗って、
何日もかけてただひたすら道を進んでいく。
それだけの物語です。


派手な事件も起きなければ、
謎めいた展開もありません。

ただ、
ゆっくりと過ぎていく景色と、

道中で出会う人たちとのささやかなやりとりを
丁寧に丁寧に描いていく。


観終わったあと、
心の奥がじんわり温かくなるような、
そんな穏やかな作品でした。


同じ監督が、
悪夢のように現実が溶けていく物語と、
こんなにもまっすぐで静かな物語を、
両方撮れてしまう。


この振れ幅の凄さに、
私はずっと惹きつけられています。



「どんな形で語られるか」は人それぞれ

チャットレディとして、

そして今は
電話やでのご相談をお受けする仕事をしている中で、

私は
この「振れ幅」を、

実際にお話を聴く場面でもよく感じています。


ある方は、
話がどんどん脈絡なく広がっていって、
時系列もぐちゃぐちゃで、

何が本当の悩みなのか、
聴いているこちらも
一緒に迷子になるような語り方をされます。


まるで
「マルホランド・ドライブ」を観ているときのように、
筋道を無理に整理しようとすると、
大事な何かをこぼしてしまいそうな感覚になる。

そういうときは、
分かりやすい答えを急いで出そうとせず、

その混沌そのものに、
しばらく付き合わせていただくようにしています。


逆に、
ある方は
「ストレイト・ストーリー」のように、

とても静かに、地道に、
ひとつのことをまっすぐ話してくださいます。

派手な展開があるわけでも、
劇的な悩みがあるわけでもない。

でもその静かな語り口の奥に、
長い時間をかけて育ってきた想いの重みが、
ちゃんと詰まっている。


地味に見える話ほど、
実は丁寧に聴かせていただく必要があるんだと、
この映画を観るたびに思い出します。



どちらの語り方も、同じように大切にしたい


大事なのは、
「分かりやすい話し方」だけを
大切にしないことだと思っています。


混沌としていて筋道が見えない話も、
静かで地味に見える話も、

その人にとっては
どちらも同じくらい切実なものです。


リンチ監督が、
悪夢のような映画も、
静かな旅の映画も、

同じ熱量で丁寧に撮っているように、

私も、
どんな形で語られる気持ちも、
同じ熱量で聴かせていただきたいと思っています。


もしあなたが、
自分の気持ちをうまく言葉にできなくても、

逆に地味すぎて話す価値がないと感じていても、
どちらもそのままの形で聴かせてください。


筋道を無理に整えることも、
話を急かすこともせず、

あなたのペースで、

まっすぐ、
あるいはぐるぐると、

一緒に付き合わせていただけたら嬉しいです(#^^#)



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