「本題」までの長い会話にこそ、本音がある ー『レザボア・ドッグス』から考える、聴くということ。

「本題」までの長い会話にこそ、本音がある ー『レザボア・ドッグス』から考える、聴くということ。

記事
コラム
普段、
チャットレディとして
お客様のお話を聴く仕事をしています。

電話やチャットで、
色んな人の
色んな人生の断片に触れる毎日です。


そんな私が好きな映画監督のひとり、
クエンティン・タランティーノ監督


「傾聴の仕事とタランティーノ?」
と思われるかもしれません(笑)。

派手な暴力描写とポップなセンスで知られる監督なので、
静かに人の話を聴く仕事とは真逆に見えますよね。


でも今日は、
彼の長編デビュー作
『レザボア・ドッグス』を通して、

実はすごく
重なる部分があるなと感じたことを書いてみたいと思います。



「本題」がなかなか出てこない構造


『レザボア・ドッグス』は、
銀行強盗をした男たちが、
計画の失敗後に倉庫に集まってくる物語です。

でも面白いのは、
肝心の強盗シーンがほとんど描かれないこと。


映画の大半は、
強盗の前後にある男たちの雑談や
腹の探り合いに使われています。


『パルプフィクション』とか
『ワンスアポンアタイムインハリウッド』とかも

面白いんだけど…
ダラダラ…「これって重要なの?」
っていうシーンは結構あります (笑)



でもこれ、
相談のお仕事にもすごく似ていると感じます。

お客様が本当に話したいことに辿り着くまで、
天気の話や仕事の愚痴など、
一見関係なさそうな会話がしばらく続くことがよくあります。

でも、
その"本題じゃない話"の中にこそ、
その人らしさや本音がふっと滲み出る瞬間があるんです。


だから、
「早く本題を聞き出そう」とせず、
遠回りな会話にもちゃんと付き合うことが、
実はすごく大事なんだと思います。



誰が本当のことを言っているか分からない緊張感


物語が進むにつれて、
実は仲間の中に警察の潜入捜査官がいるらしい、
…という疑惑が浮かび上がります。

誰が嘘をついているのか、
誰が信用できるのか、

男たちはお互いに探り合いながら、
どんどん疑心暗鬼になっていきます。


この
「誰が本当のことを言っているか分からない」感覚も、
聴く仕事において無関係ではありません。


お客様のお話は、
必ずしも一貫していなかったり、
矛盾しているように聞こえることもあります。

そんなとき、
「どちらが正しいか」を
こちらが決めつけるのではなく、


その人が語る言葉そのものを、
まずは
そのまま受け止めることを大事にしたいと思っています。



閉じた空間で剥き出しになる本音


物語の大部分は、
倉庫というひとつの閉じた空間で展開されます。

逃げ場のない状況だからこそ、
男たちの本心や焦り、
疑念がどんどん剥き出しになっていく。


これは、
電話やチャットという
「閉じた場」だからこそ話せることがある、
…という感覚と重なります。


顔が見えない、
日常から切り離された空間だからこそ、
誰にも言えなかった本音がぽろっとこぼれることがあります。


安心して本音を出せる
"閉じた場"を作ることも、
聴く側の大切な役割なんだと思います。



色と時系列に隠されたメッセージ


『レザボア・ドッグス』のもうひとつの特徴は、

登場人物たちが
「ミスター・ホワイト」
「ミスター・ピンク」

など色の名前で呼ばれること。

本名を隠すための記号のはずなのに、
観ているうちにそれぞれのキャラクターと
色のイメージが不思議と結びついていきます。


名前という「表面的な情報」よりも、
その人の行動や言葉のほうが、
よっぽどその人自身を語っているんですよね。


そして、
この映画は時系列も大胆に崩されています。

強盗前の準備、
強盗直後の倉庫、
それぞれの男の過去が、

順番通りではなくバラバラに提示される。


これも、
相談を聴くときの感覚に近いものがあります。

人は自分の話を時系列通りには語ってくれません。

今の悩みを話していたかと思えば、
急に昔の記憶に飛んだり、
また今に戻ってきたり。


その
「行きつ戻りつ」する語りをそのまま受け止めることも、
聴く側には必要なことだと感じます。



聴くということは、遠回りにも付き合うこと


こうして振り返ってみると、
『レザボア・ドッグス』という
一見バイオレンスな映画にも、
傾聴に通じる要素がいくつも隠れていたことに気づきます。


★本題までの遠回りな会話にこそ、本音が滲む

★「正しさ」を決めつけず、語られる言葉をそのまま受け止める

★閉じた場だからこそ、安心して剥き出しになれる本心がある

★表面的な情報より、行動や言葉の中にその人らしさがある


私が日々のお仕事で大切にしているのも、
まさにこれなんです。


急いで「結論」や「正解」に辿り着こうとせず、
遠回りな会話にも、
行きつ戻りつする語りにも、
ちゃんと付き合うこと。

それが、
私にできる一番大切なことなんじゃないかと思っています。



もし今、
誰にも言えない気持ちを抱えていたり、
話がうまくまとまらなくても大丈夫です(#^^#)


遠回りでも、
行きつ戻りつでも、
あなたのペースでそのまま聴かせてください♬

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