皆様、こんにちは。スマート危機管理コンサルティングの久保です。
「揺れが収まったら、まず本部に報告。」
そう思っていませんか?
私は消防職員として約40年間、さらに行政の危機管理部門でも勤務し、発災直後の現場に何度も立ち会ってきました。
そこで見てきたのは、最初の3時間で何をしたかが、その後の数週間を決めるという現実です。そして多くの施設が、この3時間を「報告書づくり」に費やしてしまいます。
今回は、発災からの3時間にやるべきことを、時系列でご紹介します。
まず、あの地震を振り返る
2026年7月28日16時27分、熊本県熊本地方でマグニチュード7.1、深さ約16kmの地震が発生しました。宇城市と氷川町で最大震度7を観測し、有明・八代海には津波注意報が発表されています(同日18時10分に解除)。国内で震度7が観測されたのは、令和6年能登半島地震以来のことでした。
注目していただきたいのは、発生時刻です。
16時27分。夕方です。日勤帯から夜勤帯への引き継ぎ、そして夕食の準備が重なる時間帯であり、日没まで残りわずか2時間半でした。
訓練を「平日の午前中」だけで行っている施設が、最も想定できていない時間帯です。
0〜30分:人命の確認だけに集中する
この時間帯にやることは、ひとつだけです。**利用者と職員の安否、そして負傷者の確認。
- 居室・浴室・トイレを、順番を決めて回る(誰がどのエリアを見るか、事前に決めておく)
- 動ける方は一箇所に集め、目の届く状態にする
- 負傷者を確認したら、応急手当と、搬送の要否を判断する
この30分に、本部への詳細報告は要りません。「発災。人命確認中」の一報だけで十分です。
30分〜1時間:建物を使い続けられるかを判断する
次に判断するのは、その建物に留まるか、出るかです。これが最も難しく、最も重要な判断になります。
- 壁の亀裂、柱の損傷、床の傾き、扉の開閉
- 天井材や照明の落下、ガラスの飛散
- ガスの臭い、水漏れ、火災の兆候
熊本の地震がそうであったように、大きな余震が続くことを前提にしてください。1回目の揺れに耐えた建物が、2回目で倒れることがあります。少しでも危険を感じたら、屋外や別棟への避難を選ぶ。迷ったときは安全側に振る。これが原則です。
1〜2時間:ライフラインと、夜への準備
- 電気・水道・ガス・通信の状況確認と、非常用電源の起動
- 医療機器の稼働状況(吸引器、酸素、必要な方の生命維持機器を最優先)
- 暗くなる前に、照明の確保(夏場なら暑熱対策、冬場なら保温)
- エレベーター停止時の、上階の利用者の扱い
夕方の発災で最も怖いのは、判断が夜にずれ込むことです。暗くなってからの避難は、危険が跳ね上がります。「移動するなら日没前に」という一線を、計画に書いておいてください。
2〜3時間:外部とつながる
ここで初めて、外への発信です。
- 市町村・法人本部への被害状況の報告(様式は事前に用意しておく)
- ご家族への一斉発信(「全員の無事を確認」の一報だけでも、電話が激減します)
- 参集可能な職員の把握と、夜間体制の組み立て
そして、記録を始めること。誰が何時に何を判断したか。この記録が、後の支援要請や補助金申請、そして次の計画の改善材料になります。
この3時間を、紙1枚にしてください
必要なのは分厚いマニュアルではなく、時系列で並んだA4一枚です。
0〜30分/30分〜1時間/1〜2時間/2〜3時間。それぞれに「やること」と「担当(役職名)」を書く。夜勤者が最初に手に取れる場所に置く。
それだけで、最初の3時間の質は変わります。
初動対応は「マニュアルがあること」がゴールではありません
本当の目的は、
職員が迷わず行動できること。
そして、
利用者・患者様の命を守ること。
そのためには、時間帯を変えた訓練と、毎年の見直しが欠かせません。
最後に
私は、
消防職員として約40年
行政の危機管理部門で約5年
の経験を活かし、医療・介護施設を中心に、
消防計画
BCP
避難確保計画
の見直しや統合、実効性向上のお手伝いをしています。
「うちの初動マニュアルは、夕方や夜に発災しても通用するだろうか」
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