皆様、こんにちは。スマート危機管理コンサルティングの久保です。
「臨時情報が出たら、その時に考えればいい。」
そう思っていませんか?
私は消防職員として約40年間、さらに行政の危機管理部門でも勤務し、情報を受けて判断を下す側にいました。
臨時情報が厄介なのは、**災害が起きていないのに、判断だけを迫られる**という点です。しかも、多くの場合は深夜や休日に発表されます。
今回は、臨時情報が出る前に決めておくべきことをご紹介します。
## まず、4つのキーワードを整理する
南海トラフ地震臨時情報には、次のキーワードが付きます。
- **調査中**:異常な現象が観測され、関連性を調査している段階
- **巨大地震警戒**:想定震源域でM8以上の地震が発生した場合など。事前避難の呼びかけを伴う
- **巨大地震注意**:M7以上の地震が発生した場合など。備えの再確認が呼びかけられる
- **調査終了**:警戒・注意のいずれにも当てはまらないと評価された場合
2024年8月、日向灘の地震を受けて「巨大地震注意」が制度開始以来初めて発表され、1週間にわたって政府の呼びかけが続きました。
このとき何が起きたか。**過剰な対応と、何もしない対応の両極**に分かれたのです。行事の一律中止、備蓄品の買い占め、その一方で「結局よく分からないから通常どおり」——どちらも、事前に基準がなかったことの表れでした。
## 事前に決めておく5つのこと
**① 誰が情報を受け取るか**
深夜・休日に発表された場合、誰の携帯に通知が入り、誰に伝えるのか。役職名で決めておきます。
**② 「原則、通常業務を継続する」と明記する**
これが最も重要です。臨時情報は避難指示ではありません。デイサービスを止め、訪問を止めれば、利用者の生活が先に壊れます。
その上で、**何をやめ、何を続けるか**を事前に線引きしておきます(例:屋外行事は延期、入浴は継続、送迎は経路を変更して継続)。
**③ ご家族への説明文を用意しておく**
発表後、必ず「うちの親は大丈夫か」という問い合わせが集中します。
「臨時情報が発表されましたが、当施設は通常どおり運営します。備蓄と連絡体制を再確認しました」という定型文を1本作っておくだけで、電話対応の負担が激減します。
**④ 職員の勤務をどう扱うか**
呼びかけ期間中の年休、遠方への出張、帰省をどう扱うか。「念のため全員待機」は現実的ではありません。**参集可能な人数を一定以上確保する**という考え方で線を引きます。
**⑤ この1週間で何を点検するか**
臨時情報は、備えを見直す猶予をもらったと考えるのが正しい受け止め方です。
- 家具・医療機器の転倒防止の再確認
- 備蓄と燃料の残量確認
- 夜勤帯の参集可能人数の再確認
- 避難経路上の障害物の撤去
このチェックリストを1枚用意しておけば、発表された夜に迷いません。
## 忘れてはならないこと
臨時情報が出なくても、大地震は起こります。
実際、2026年7月28日の令和8年熊本地震(M7.1、最大震度7)のように、臨時情報の枠組みの外で震度7の揺れが襲うことがあります。
臨時情報への備えは、**あくまで平時の備えの再確認**であって、それ自体が対策ではないということを、職員と共有しておいてください。
## 臨時情報への対応は「情報を知ること」がゴールではありません
本当の目的は、
職員が迷わず行動できること。
そして、
利用者・患者様の命を守ること。
そのためには、発表される前の取り決めが欠かせません。
## 最後に
私は医療・介護施設を中心に、
消防計画
BCP
避難確保計画
の見直しや統合、実効性向上のお手伝いをしています。
「臨時情報が出たとき、うちは何を判断すればいいのか分からない」
そんな不安がありましたら、お気軽にご相談ください。
"提出するための計画"ではなく、"現場で使える計画" を一緒に作り上げましょう。
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