【施設長様へ】BCPの研修・訓練「年2回」、運営指導で見られるのは計画書ではなく"記録"です

【施設長様へ】BCPの研修・訓練「年2回」、運営指導で見られるのは計画書ではなく"記録"です

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皆様、こんにちは。スマート危機管理コンサルティングの久保です。

「BCPは策定済みだから安心。」
そう思っていませんか?
私は消防職員として約40年間、さらに行政の危機管理部門でも勤務し、市立病院や介護施設のBCP、保育所の消防計画、こども園の避難確保計画づくりに関わってきました。
そこで何度も見てきたのが、立派な計画書はあるのに、運営指導で指摘を受けてしまう施設です。

理由はほとんど同じでした。
「やっていない」のではなく、「やった証拠が残っていない」のです。

今回は、BCPの研修・訓練にまつわる"記録"について、押さえておきたいポイントをご紹介します。

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1. まず、義務の中身を正確に押さえる

BCP(業務継続計画)は「作れば終わり」ではありません。計画に基づく研修と訓練(シミュレーション)を定期的に行うことがセットで求められています。

回数の目安は次のとおりです。

| 区分 | 研修 | 訓練 |
| --- | --- | --- |
| 入所(施設)系サービス | 年2回以上 | 年2回以上 |
| 通所系・訪問系サービス | 年1回以上 | 年1回以上 |

ここで、意外と多い誤解が3つあります。

誤解①「研修と訓練は、まとめて1回でよい」
違います。研修(知識を伝える)と訓練(動いて検証する)は別カウントです。入所系なら、年間で合わせて4回分の実施と記録が必要になります。

誤解②「災害BCPと感染症BCPは、どちらか一方でよい」
BCPは災害と感染症の2種類が求められます。一体的に策定することは差し支えありませんが、内容としては両方をカバーしている必要があります。

誤解③「毎回、大がかりな訓練をしないといけない」
これも違います。机上(図上)で行うものと、実地で行うものを適切に組み合わせて実施するとされています。全職員を集めた大規模訓練を年2回、というハードルの高い話ではありません。

そして、災害BCPの訓練は非常災害対策(消防法上)の訓練と一体的に実施して差し支えない、感染症BCPの研修・訓練は感染症の予防・まん延防止の研修・訓練と一体的に実施して差し支えないとされています。

——ここが今日の本題につながります。

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2. 「消防の避難訓練をやっている」だけでは、記録として弱い

多くの施設が、消防計画に基づく避難訓練を年2回きちんと実施されています。素晴らしいことです。
しかし、その実施記録を拝見すると、こう書かれています。

> 「◯月◯日 総合訓練実施 参加者30名 通報・初期消火・避難誘導」

これは消防訓練の記録であって、BCP訓練の記録にはなっていません。

一体的な実施が認められているということは、逆に言えば、同じ訓練の中でBCPのどの手順を検証したのかが記録に書かれていれば、1回で両方の証拠になるということです。

たとえば、避難訓練の最後の10分をこう使うだけで、記録の性格が変わります。

- 参集基準(震度いくつで、誰が、どこへ来るのか)を読み合わせ、当日の出勤者で夜間帯の人数を数えてみる
- 停電した想定で、非常用電源が何時間もつか、担当者が即答できるか確認する
- 安否確認の手段を1つ試してみる(一斉メール送信、グループ通話など)

そして記録に、「BCP第◯章『初動対応』の参集基準を検証。夜間帯の想定参集人数は3名で、計画上の5名に満たないことが判明。次回、近隣居住職員の再整理を行う」と一行加える。

これだけで、その紙は「訓練をやりました」という報告書から、PDCAが回っている証拠に変わります。

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3. 運営指導で実際に求められる「5点セット」

運営指導(旧・実地指導)では、口頭の説明ではなく書類で確認されます。研修・訓練について、最低限そろえておきたいのは次の5点です。

1. 年間研修・訓練計画書… 年度初めに作成。テーマ・実施予定月・対象者を明記
2. 実施記録 … 実施日、テーマ、内容の概要、実施方法(机上/実地)
3. 出席簿(受講記録) … 参加者の署名。オンライン実施なら視聴ログ等
4. 使用した資料… レジュメ、スライド、配布物の控え
5. 欠席者フォローの記録… 振替実施日と内容。夜勤者・パート職員の分が抜けがちです

特に抜け落ちやすいのが1(計画書)と5(欠席者フォロー)です。
「実施記録はあるが、年間計画がない」——これは、たまたま実施したのか、計画的に実施しているのかを証明できない状態を意味します。運営指導の担当者が見ているのは、まさにそこです。

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4. 記録は「A4・1枚」で十分です

分厚い報告書は要りません。むしろ、続きません。
私が施設様にお勧めしているのは、次の項目を並べたA4一枚の様式です。

- 実施日/時間帯(夜間帯を想定したかを明記)
- 種別(研修/訓練)・方法(机上/実地)
- 対象BCP(災害/感染症)と、検証した章・手順
- 参加者数と職種内訳(欠席者と振替予定)
- 判明した課題(1〜3項目でよい)
- 次回までの改善事項と担当者

最後の2項目こそが、この様式の心臓部です。
課題が書かれていない記録は、「無事に終わりました」という感想文になります。逆に、課題と改善が書かれていれば、たとえ短時間の机上訓練であっても、計画が生きて動いている証明になります。

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5. 年間スケジュールは、既存の行事にぶら下げる

新しく予定を作ろうとするから、続かないのです。すでに動いている行事に重ねてください。

| 時期 | 実施内容 | 記録上の位置づけ |
| --- | --- | --- |
| 上期(例:6月・出水期前) | 消防訓練+BCP初動手順の確認(実地) | 災害BCP訓練①/消防訓練 |
| 上期(例:7月) | 感染症対応の研修(30分・申し送り時間を活用) | 感染症BCP研修①/感染症研修 |
| 下期(例:11月) | 夜間想定の机上訓練(1時間・紙1枚) | 災害BCP訓練②/BCP研修② |
| 下期(例:2月) | 感染症発生時の動線・ゾーニング確認 | 感染症BCP訓練② |

ポイントは、あらかじめ「この行事はどの義務に当たるか」を決めてから実施することです。実施後に後付けで整理しようとすると、必ず抜けが出ます。

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6. 減算は「見つかった月から」ではありません

介護報酬には業務継続計画未策定減算が設けられています。BCPが未策定、または策定していても必要な措置を講じていない場合に適用され、減算率は施設・居住系サービスで所定単位数の3%、その他のサービスで1%です。

怖いのは、その適用の考え方です。運営指導で指摘を受けた場合、指摘された月からではなく、要件を満たしていなかった時点にさかのぼって減算が適用される取扱いが示されています。

つまり、10月の運営指導で指摘を受ければ、その年度の4月分までさかのぼる可能性がある、ということです。
「計画書はあるから大丈夫」——この油断が、最も高くつきます。

なお、制度の詳細や解釈は、サービス種別や指定権者である自治体の運用によって異なる場合があります。実際の対応にあたっては、所管自治体の最新資料を必ずご確認ください。

BCPは「策定」がゴールではありません

計画書を仕上げることは大切です。
しかし本当の目的は、

職員が迷わず行動できること。

そして、

利用者・患者様の命を守ること。

そのためには、年に数回の研修・訓練と、その記録の積み重ねが欠かせません。
分厚いBCPを作り直すより、A4一枚の記録を年に数回残すほうが、施設を守ります。

最後に

私は、
消防職員として約40年
行政の危機管理部門で約5年
の経験を活かし、医療・介護施設を中心に、
消防計画
BCP
避難確保計画
の見直しや統合、実効性向上のお手伝いをしています。
「うちの研修・訓練の記録で、運営指導に耐えられるだろうか?」
そんな不安がありましたら、お気軽にご相談ください。
"提出するための計画"ではなく、"現場で使える計画" を一緒に作り上げましょう。

現在、スマート危機管理コンサルティングでは、【毎月限定5枠】で「既存計画の無料健康診断」を実施しております。
プロの目線で、貴施設の計画の以下のポイントを診断いたします。初動の実効性: 夜間の少ない職員(出勤率3%程度を想定)でも、本当にそのマニュアル通りに動けるか? 属人化リスク: 作成担当者が辞めても、他の職員が理解して引き継げる内容(個人名ではなく役職名での記載など)になっているか? 
監査対策: 感染症と自然災害の違いを明確に切り分け、行政の厳しい監査をクリアできる整合性が取れているか? 診断後、「どこをどう修正すべきか」の具体的なフィードバックをお渡しします。
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