皆様、こんにちは。スマート危機管理コンサルティングの久保です。
「訓練は大がかりだから、年に1回が精一杯。」
そう思っていませんか?
私は消防職員として約40年間、さらに行政の危機管理部門でも勤務し、施設での職員研修も自ら数多く実施してきました。
そこで痛感したのは、**全員を集める大規模訓練だけでは、夜間帯は永遠に検証できない**ということです。訓練はたいてい日勤帯に、人が揃った状態で行われるからです。
今回は、夜勤帯を想定した机上訓練を「1時間・紙1枚」で回す方法をご紹介します。
## そもそも、訓練は実地だけではありません
BCPに基づく訓練は、**机上で実施するものと実地で実施するものを適切に組み合わせて行う**とされています。
つまり、会議室に数人が集まり、紙を前に1時間話し合う。これも立派な訓練であり、記録に残せます。
しかも机上訓練には、実地訓練にはない大きな利点があります。
**「その場にいない状況」を想定できる**ことです。夜間、大雨、職員が2名、道路が寸断——実地では再現できない条件を、紙の上なら自由に置けます。
## 紙1枚に書くのは、たった5行
準備するのは、この状況設定だけです。
- **いつ**:1月◯日(土)午前2時30分
- **何が**:震度6強。停電、断水。エレベーター停止
- **誰が**:夜勤者2名(介護1名・看護1名)。施設内に利用者50名
- **外は**:積雪。近隣道路の状況は不明
- **通信**:固定電話は不通。携帯はつながりにくい
これで準備は完了です。パワーポイントも、シナリオ台本も要りません。
## 進め方は、15分×4ステップ
**【0〜15分】まず、個人で書く**
「あなたが夜勤者なら、最初の10分で何をしますか」を、各自が紙に書き出します。ここは相談禁止です。会議にすると、声の大きい人の意見に揃ってしまうからです。
**【15〜30分】突き合わせる**
書いたものを読み上げ、違いを見ます。ここで必ず差が出ます。
「まず本部に電話する」「いや、先に利用者を見に行く」——この差こそが、計画が浸透していない証拠であり、最大の収穫です。
**【30〜45分】計画と照らす**
BCPや消防計画を実際に開き、参集基準・役割分担・連絡先のページを確認します。
このとき、**「何ページに書いてあるか、3秒で開けるか」**も一緒に試してください。開けないなら、それは計画の作り方の問題です。
**【45〜60分】課題を3つに絞る**
出た課題を全部やろうとすると挫折します。次回までに手をつける改善を3つだけ決め、担当者と期限を書いて終わりです。
## この3つを問えば、必ず課題が出ます
1. **誰に、何分以内に連絡しますか**(管理者?本部?消防?順番は決まっているか)
2. **応援は、何分後に何人来ますか**(自宅からの距離を、実際に数えたことがあるか)
3. **エレベーターが止まったら、2階の利用者をどうしますか**(階段搬送に何人必要か)
私が関わった施設では、3番目で必ず沈黙が起きます。そして、その沈黙が計画を変えるきっかけになります。
## 記録は、この6項目で十分です
実施日・時間帯/種別(机上訓練)/想定した災害/参加者と職種/**判明した課題**/**次回までの改善事項と担当者**。
A4一枚です。この記録が年に数回積み上がっていくことが、そのまま「計画が生きている証拠」になります。
## 訓練は「実施」がゴールではありません
本当の目的は、
職員が迷わず行動できること。
そして、
利用者・患者様の命を守ること。
そのためには、大きな訓練を1回より、小さな検証を数回のほうが効きます。
## 最後に
私は医療・介護施設を中心に、
消防計画
BCP
避難確保計画
の見直しや統合、実効性向上のお手伝いをしています。
「夜間想定の訓練を、どう組み立てればいいか分からない」
そんな不安がありましたら、お気軽にご相談ください。
"提出するための計画"ではなく、"現場で使える計画" を一緒に作り上げましょう。
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ここまでお読みいただいた施設長様、防災ご担当者様。
貴施設の事務室にある分厚い「消防計画」「避難確保計画」「BCP」は、夜間のパニック状態で本当に機能するでしょうか?
消防現場の最前線で40年、そして市役所の危機管理監(審査トップ)として5年。
両方の裏側を知り尽くした私が、貴施設の計画が「本当に現場の命を守れるか」「行政の監査を通るか」をプロの視点で診断いたします。
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