会社員が独立する前に、会社で手に入れておくべきもの

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ビジネス・マーケティング
独立したいと思ったとき、多くの人はまず「何か資格を取ったほうがいいのかな」と考える。
僕も、その気持ちはよくわかります。

会社の外に出るとなると、今のままでは不安になる。何か証明できるものが欲しくなる。肩書きになるもの、名刺に書けるもの、人に説明しやすいものを増やしたくなる。
もちろん、資格やスキルが無駄だとは思いません。
勉強することで視野が広がるし、自信にもなる。新しい人とのつながりが生まれることもあります。
でも、会社員が独立する前に本当に手に入れておくべきものは、資格そのものではないと思っています。
それよりも大事なのは、「信用」と「再現性」です。

会社員として働いていると、自分では気づかないうちに、かなり会社の看板に守られています。
会社名があるから、相手が話を聞いてくれる。役職があるから、ある程度信用してもらえる。組織の仕組みがあるから、成果も出しやすい。困ったときには上司や同僚がいて、社内のルールや過去の蓄積もある。

これは会社員の大きなメリットです。
大きな組織の中で経験を積めることは、独立を考える人にとっても本当にありがたい環境だと思います。自分ひとりでは出会えないようなお客様と関われたり、大きな仕事を任せてもらえたり、失敗してもすぐに人生が詰むわけではなかったりする。

ただ、ここでひとつ気をつけないといけないことがあります。
会社の看板で得ている信用を、自分個人の信用だと勘違いしてしまうことです。
会社員時代に成果を出していると、「自分は仕事ができる」「独立しても何とかなる」と思いやすい。もちろん、その自信は大事です。でも独立した瞬間、相手が見ているものは少し変わります。
どこの会社の人なのか。
どんな役職なのか。
どんな部署にいるのか。
そういうものではなく、「この人に任せて大丈夫か」を見られるようになります。
会社名ではなく、個人名で判断される。役職ではなく、提供できる価値で判断される。過去の肩書きよりも、今この人が何を解決してくれるのかが問われる。
だから、会社員のうちに手に入れておくべきなのは、「あの人なら任せたい」と思ってもらえる信用です。

そしてもうひとつが、再現性です。
たまたま成果が出たのではなく、自分なりに成果を出せる型があること。なぜうまくいったのかを説明できること。別の人や別の場所でも、ある程度同じように価値を出せること。

ここが整理されていないまま独立すると、どうしても「何でもできます」と言いたくなります。
営業もできます。企画もできます。SNSもできます。動画もできます。相談にも乗れます。
一見、幅広くて良さそうに見えます。でも相手からすると、結局何を頼めばいい人なのかがわかりにくい。
何でもできます」は、便利なようでいて、選ばれる理由にはなりにくいんですよね。
独立後に選ばれる人は、できることが多い人というより、「この人にはこれを任せたい」と思われる人です。

そのためには、会社員時代の経験をそのまま並べるのではなく、自分が何をしてきた人なのかを言葉にしておく必要があります。
たとえば営業で成果を出してきた人が、「営業が得意です」と言うだけでは少し弱い。でも、「相手の悩みを整理して、買う理由を一緒に作るのが得意です」と言えたらどうでしょうか。
それは単なる営業経験ではなく、独立後のサービスになります。
管理職をしてきた人も同じです。「マネジメント経験があります」だけでは、相手には伝わりにくい。でも、「人が動けない理由を見つけて、行動できる状態に整えるのが得意です」と言えたら、コーチングや伴走支援につながります。
動画制作でも同じです。「動画が作れます」だけだと、作業代行になりやすい。でも、「商品やサービスの魅力を整理して、伝わる形に動画化できます」と言えたら、価値の伝わり方が変わります

大事なのは、経験そのものではありません。
その経験を、誰のどんな問題を解決できる形に変えるかです。

独立を考えるとき、つい新しいものを取りに行きたくなります。新しい資格、新しいスキル、新しい講座、新しい肩書き。
でも実は、すでに会社員時代に積み上げてきたものの中に、独立後の商品になるものが眠っていることがあります。

お客様からよく相談されていたこと。
社内で自然と任されていたこと。
人より少し早く気づけたこと。
トラブルのときに間に入っていたこと。
新しい人に教えるのが苦ではなかったこと。
相手の話を整理するのが得意だったこと。

本人にとっては当たり前でも、他の人にとっては価値になることがあります。
むしろ、自分では「こんなの普通でしょ」と思っていることほど、独立後の強みになる可能性がある。

だから独立前にやるべきことは、いきなり会社を辞めることではなく、まず自分の経験を棚卸しすることだと思います。
自分は何を任されてきたのか。どんな場面で力を発揮してきたのか。誰に喜ばれてきたのか。なぜ成果が出せたのか。どんなやり方なら、もう一度成果を出せるのか。

ここを丁寧に見ていく。
それが、信用と再現性を見つける作業です。
独立には勢いも必要です。考えすぎて動けなくなるくらいなら、まず小さく始めたほうがいいと思います。
でも、勢いだけで独立すると苦しくなる場面もあります。
なぜなら、独立後は自分で自分の価値を伝えなければいけないからです。
自分は何ができるのか。誰の役に立てるのか。なぜ自分に頼むべきなのか。どんな成果を提供できるのか。

ここが曖昧なままだと、営業もしにくいし、価格も決めにくい。SNSで何を発信すればいいのかもわからなくなります。

だからこそ、会社員のうちにやっておきたいのは、会社の看板なしでも選ばれる理由を作ることです。
資格を取ることよりも、自分の経験を言語化すること。
人脈を増やすことよりも、目の前の人から信用されること。
新しいことを探すことよりも、今までの成果に再現性を見つけること。

会社員時代は、ただ給料をもらう期間ではありません。
独立前の準備期間でもあります。
今の仕事の中で、自分は何を学んでいるのか。どんな信用を積み上げているのか。どんな経験が将来の商品になるのか。
そういう視点で働いてみると、毎日の仕事の意味が少し変わってきます。
独立前に必要なのは、会社を辞める準備だけではありません。
会社の看板がなくなったあとに、自分が何で選ばれるのか。
そこを見つけておくこと。

会社員が独立する前に手に入れておくべきものは、資格でも人脈でもなく、信用と再現性。
そして、それを相手に伝えるための言葉です。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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