小柄で、とても元気な男の子がいました。
そう、とても元気な子。でも、言い方を変えれば『多動な子』
では【元気】と【多動】の違いは?診断結果次第?相手の感じ方次第?
それとも、親が困っているか、困っていないか?
その男の子は、衝動的な行動が多く、自分でも止められないようでした。
みんなで絵本を見ていても、じっとしている事が難しく、近くに座っている子にちょっかいをかけてしまい、トラブルになる。その為、先生に注意を受けてしまう事が日課のようになっていました。
更に、男の子は【歩く】事を知らない。廊下に出ては全力疾走で駆け抜け、すれ違うお友達をパンチ。怒られたら、ツバをペッ。
でもね、この子、お友達が大好きなんです。そして、とっても甘えん坊。
母子家庭。若くて、可愛らしいお母さん。我が子への愛情が、しっかりと感じ取れるお母さんです。ただ、若さゆえの不器用さもあったでしょうか。仕事を休めないと言うばかりで、男の子の園での姿とは、向き合おうとしてくれませんでした。
周りの保護者の中には、男の子を白い目で見る方もいました。彼を守りたい。その気持ちがありました。でも、男の子への適切な関わり方よりも、トラブルを起こさせない事にばかり、目が行っていた気もしています。
幸い、男の子は素敵な友達に恵まれ、みんなと笑顔で卒園していきました。ただ、小学生になった男の子は、教室にいる事ができず、授業中に教頭先生と校内を散歩する姿を何度も目撃されるのでした。
私も、まだまだ経験不足の未熟者でした。一つ経験を積むたびに、彼の事を思い出します。彼の為にやってあげられる事が、もっとあったはず。お母さんに知って欲しい事が、たくさんあったのにな…と。
【療育】や【支援級】の存在を理解していても、いざ我が子が?となると、抵抗感を感じるのではないでしょうか?当然ですよね。
では、その抵抗感は誰の為の感情でしょうか?【療育】や【支援級】を必要としているのは誰でしょうか?
【支援級】へ行く事を進められても、親の意向で通常級に進学した子が、学校やクラスに馴染めず、不登校になったり、トラブルメーカーになってしまったという話は、私の身近でも起きています。そして【支援級】に変更してから、落ち着き、通常級の子達とも、仲良く過ごせているという話も、実際に聞いています。
例えば【支援級】に入っても、途中で通常級に移る事が可能です。『この子がこの先、困ることなく、楽しく過ごす為に、今、必要な環境』を、考える必要があるんですよね。
【療育】や【支援級】はゴールではなく、スタートである事。それを私は、男の子のお母さんに、しっかりと向き合って伝える事ができなかった。
例えば、自転車に乗れない子が、みんなとサイクリングに行っても、楽しくない。付いていけず、悲しくなる。
『自転車に乗れないから行けない』と言えば、笑う人もいるかもしれない。
『自転車に乗る練習の日だから、次の機会に誘って』と言えば、何て言われるかな?
【療育】も【支援級】も、この先を楽しむための準備をする場所。
そして、適切な場所で準備をする事が、成長の近道!
誰も置いて行かれない為の、環境が大切だよね。