第13回=第3章(その7):【ペイシェントハラスメント】「終わらない論点のすり替え」

第13回=第3章(その7):【ペイシェントハラスメント】「終わらない論点のすり替え」

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法律・税務・士業全般
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皆さん、こんにちは。

第3章の組織対応編は、私の当初の予想を大きく超えて、(その7)まで到達しました。

確かに、実際の期間としてはこの第3章の部分がいちばん長かったのですが、それにしても当時を振り返って原稿を作成していると、「あんなこともあった、こんなこともあった」となり、想定よりも回数を費やしてしまいました。

そして、この前書きを書いているときに気づいたのが、「これを書かなければもう少し紙面を減らすことができたんじゃないか」ということです。

そうは思いつつ、またこの前書きを書いているわけですが、第3章は今回でまとめようと強い気持ちで取り組み、無事まとめることができました。

【転院前夜の交渉】

B氏からの遅い電話に対し、私は最初から長引くことを予想して、最初にB氏がMSWに要求していたB氏との転院調整の窓口に関する約束ごとの回答から切り出しました。

私はB氏に対して、
①転院後の窓口は私が担当すること
②連絡はメールを基本とし、週明けに当職からメールで案内すること
③質問等があればメールを通じて行うこと
を説明し、B氏からは「メールで連絡することはない」と一度は拒否されましたが、「メールで用件を送れと先に言ったのはあなたです」と制して、一応の承諾をさせました。

そして、ここからがこの日の本題で、翌日の転院に際しての説明になりました。
なぜ、MSWが電話をしたのか、留守番電話に録音をするほどの用件であったのかを、今度は丁寧に説明をして理解を得なければなりません。

私は、
①患者さんの血液検査でCRP等がやや高値であるが、転院先病院でもフォローが可能であると回答を得ていること
②主治医である甲先生の説明については明日の朝にお手紙としてをお渡しすること
を伝えました。

B氏の返事は「手紙?それはない。直接説明すべき」でした。

想定通りです。

私は、「説明が書面であっても問題ない。質問はメールで受けつける」と説明しましたが、B氏は「明日の転院は取りやめる」と拒否をしました。

これも想定内です。
でも、この電話で拒否をされても、明日にはB氏がこの病院に来ることをセッティングするのが今回の私のミッションです。

私はなんとかして説得を試みました。

【終わらない電話】

TK:前回のキャンセルの経緯もあり、転院していただかないと困る。あなたの一連の行為は診療妨害になっている。
B氏:それはわかっている。今頃そんなことに気づいたのか?それもわかってやっている。
TK:ご自身の行為に違法性があることは認識されているんですか?
B氏:当たり前だ。でも転院には応じない。
(一方的にB氏から電話を切る)

それでも私はこれまでの経過から、B氏から再び電話があることを確信していました。
そして、約10分後にB氏は電話をしてきたのです。

B氏:転院については弁護士に相談する。これから相談の電話をする。40分後に再度連絡する。
(再び一方的に電話を切る)

約1時間後にB氏から入電。

B氏:転院しなければ病院は何が困るのか?
TK:診療が停滞して、適切な医療が提供できなくなってしまいます。
B氏:それは病院の都合だけの話だろう。こっちは患者の健康状態を心配しているから転院はさせない。
TK:当院としては転院先に病状を説明しています。転院先ではAさんのフォローが可能であり、明日の転院に支障はないことを確認しています。
B氏:それは絶対か。100%か。
TK:医療も含め人のやることに絶対はないが、転院には問題がないと判断しています。合理的な理由があると理解しています。
B氏:搬送中の急変が発生した場合、病院はどうやって責任を取るんだ。
TK:搬送中に急変があれば、当院の救急科に相談することも可能です。それほど心配であり、病院の責任を求めるのであれば、私がお迎えの車両に同乗して急変時に病院への連絡等をしてもよい。それくらいの覚悟であたります。
B氏:なんだそれは?気持ち悪い。(激昂)
TK:既にあなたの行為は、診療を妨害する等、適切な診療を停滞させており現場を疲弊させています。診療に必要な信頼関係の構築ができなくなっています。これ以上の行き過ぎた行為は診療をお断りすることになります。
B氏:信頼関係はすでにない。患者を放り出してもらっていい。
TK:病院として患者さんにそのようなことはできない。だからこそ転院をして、感情をフラットな状態にしていただいて、その後にあなたがおっしゃる「問題」を話し合えばよいのではないでしょうか?
B氏:転院してしまえば、そっちの病院に用はない。
TK:弁護士に相談をしているのであれば、不満に思うこと、今回の転院に関しても相談し、適正な手段で不服申し立てをすれば良いのではないでしょうか。当院としては社会通念上妥当性のある合理的な判断で転院をお願いしているんです。
B氏:合理的?その合理的な根拠を知りたい。CRPの数値を教えろ。

高値になっている白血球とCRPの数値について検査結果を説明。

B氏:その数値で放り出すのか!(憤慨)
TK:何度も説明していますが、転院先に病状を説明してフォローできる。明日の転院は問題ないと言ってくれています。数値的にも転院不可となるまでの高値ではありません。
B氏:家族を抜きにして病院間で調整して、なんで今頃言ってくるのか。それなら説明は不要ではないか。
TK:これまでの経緯から、ご家族への説明は必要と判断しました。そのうえで転院先の病院でもしっかりと診療していただける。安心していただけることを説明するため、病院間での調整は必要でした。
B氏:ちょっといいか?今この話、論点はいくつあってそれはどんなことでしょう?
TK:すみません、クイズのような質問には応じることはできません。今は転院をお願いしているだけです。
B氏:何がクイズだ!人の命をそんな風に見ているのか!(激昂)
TK:「クイズ」という言葉は不用意でした。この言葉は取り消します。しかし、今私たちが話し合うことは明日の転院についてです。このような挑発、引き延ばし、言いがかりなどのあなたからの行為に現場が困っているんです。

 「転院しない」「転院してください」の応酬が何度も続き、もはや何が論点か互いにわからなくなるほど時間を費やしました。

【転院への合意】

それでも、最終的に以下の内容の約束をして、当日の来院の約束をさせることができました。
①病院には行く。患者の状態が悪ければ転院を先延ばしにする。
医師の手紙に、TKが直筆で搬送途中に急変があれば、病院で対応する旨の一筆を入れろ。
③介護タクシー内での急変は、運転手に相談して診療が必要な場合は病院に連絡をして対応を求める
④医療費の支払いに関しては次月での精算が可能か医事課に相談させてほしい。
⑤病棟にTKはこなくてよい。必要なときは病棟に依頼する。何もなければ呼ばずに転院する

一部に過剰な要求と解釈できる約束もありましたが、搬送中の急変時には対応せざるを得ないため、やむを得ず要求を受けることにしました。

私の中では、この時の最優先事項は患者であるAさんが安心して治療を受けられる転院先へ移すことであり、その後はたとえB氏が代理人を使ってきたとしても毅然とした対応をしていく。来院する約束まではこぎつけたので、無事に転院できるよう細心の注意を払って対応をする。これらの行為は極めて悪質な診療妨害であり、B氏の付き添いがなくても転院の手続きは進めていくべきであると判断しました。

そして、このB氏への対応が終了し、記録の入力が終わったのは、日付が変わっており、私はタクシーで帰路に着いたのでした。
(第3章了~第4章「転院当日編」へ続く)

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