第14回=第4章(その1):【ペイシェントハラスメント】「転院の日」

第14回=第4章(その1):【ペイシェントハラスメント】「転院の日」

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法律・税務・士業全般
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皆さん、こんにちは。

前回ようやく転院前日までのエピソードをまとめた第3章が完結しました。
今回から第14回=第4章として、転院当日のエピソードに入っていきます。

この第4章でなんとか転院が完了しますが、転院後もB氏からの様々なアクションがあり、病院はB氏からの事後の行為に備えて対応方針を固めたり、警察相談にも行きました。

このペイシェントハラスメント篇は、そこまで紹介させていただいた後、この長期にわたる連載の振り返りとして、対応ポイントをまとめた番外篇も含めて完結しようと考えています。

第4章では、これまではICを除いて電話対応が主でしたが、B氏と直接的に対峙することになります。
現場対応の生々しい話もあり、B氏のコントのような工作もありますが、今しばらくお付き合いいただけますと幸いです。

【来院即行動】

Aさんの転院当日、私は普段よりも早めに出勤してB氏の来院に備えました。
前日の長時間にわたる電話対応では、B氏は私に「病棟に来なくて良い」と言っていましたが、今やその言葉は微塵も信じていません。

必ず、何かと理由をつけて私を病棟に呼びつけるはずです。

8時45分
病棟にB氏から電話が入り、病棟師長が応対しました。
電話の内容は、「転院当日の血液検査が実施されていない。これで転院の判断ができるのか」というクレームでした。

病棟師長は、「血液検査は転院先で実施されるし、その他のバイタルは安定しており、病院の判断として当日の血液検査の必要はない」と説明しましたが、当然のように納得は得られず、病棟師長が困り果てて私にB氏の電話を転送してきました。

私はこの流れは当然と捉え、冷静にB氏の電話に応対しました。
B氏は用件も何も告げず、「9時15分に病棟にこい」と指示をしてきたので、私は承諾しました。

【書面の準備】

おそらく、B氏は血液検査のことや私が病棟に行った後にも何かと理由をつけ、転院に応じないつもりだと予想しました。

私は、もはや穏便な転院手続はできないと判断し、以前から準備していた退院請求通知書をPCから出力し、その足で病院長に状況を説明し、書面による退院指示(いわゆる強制退院)の承認を取り付け、顧問弁護士へのホットラインでこれから、退院請求通知書をもって退院勧告を行う旨を相談しました。

この退院請求通知書は、私が作成した案を顧問弁護士への相談を通じて精査したもので、転院当日にはホットラインで相談させていただくことを事前にお願いしていました。

そして、退院請求通知書は正本と副本の2部作成し、正本には病院長の公印を押下し、正本と副本に公印で割印を施し、この書面が病院として公的な文書であることが判別できるようにしました。

【顧問弁護士の助言】

顧問弁護士からは、「退院勧告は問題ないが、このような人物には書面による請求は受け入れられないことがほとんどであることから、今後の対応(警察への相談等)については準備をしておくように」と助言をいただきました。

私はこのことは既に念頭に置いており、隙間時間でAさんのカルテから対応記録の作成作業を進めていました。

私は顧問弁護士に、警察相談を念頭に入れて上で、この書面の交付までやっておけば、病院がB氏への対応としてできる限りのことをやっていたということを疎明できると説明しました。

【最後の見極め】

9時17分
書面の準備と、病棟に向かうエレベーターがなかなか到着せず、私はB氏の指示から2分遅れて病棟に着きました。

B氏はエレベーターホールで病棟師長と話し込んでいましたが、私を見つけると話を中断して、私に対して時間が守れなかったことを責めてきました。

私は、書面の準備をしているときに、B氏が指定した時刻に正確に到着することは難しいと感じていました。
その旨を事前に病棟師長に連絡しておけばよかったかもしれませんが、おそらくこの時のB氏は「遅刻は認めない」などと何があっても病院をかき回すつもりだったと思います。
なので、私が事前に数分遅れることを連絡したとしても、B氏はどんな理由をつけても私を責めるつもりだったと思います。

一方で、連絡せずに数分遅れて到着したとき、B氏の態度が穏やかであれば、書面の交付は一時保留して話し合いをするつもりでした。

この2分の遅刻は、私がB氏に仕掛けた最後の見極めの機会だったのです。

【書面の交付】

私は、B氏に到着が遅れたことを謝罪しましたが、B氏は一切これを聞き入れず、「侮辱だ!」「お前は病院の職員として最低だ!」「今すぐ辞めろ」などと私を激しく罵倒してきました。

私はB氏のこの態度で、書面の交付を決断しました。
もはやこの人に対して、相互理解や和解という考えは消えていました。

私は、B氏の「もう帰る」という発言と、すぐにエレベーターを呼んだ行為を「転院を前提とした話し合いを継続する意思がない」と判断しました。

そして、B氏に対して「Bさん、これからAさんとBさんへの、たった今からの病院の方針を書面でお伝えします」と告げ、退院請求通知書を取り出しました。

私が書面を読み上げようとすると、B氏は乱暴に取り上げ、書面を極めて短時間で流し読みし、「他に文書はないか」と聞いてきました。

私は預かっていた甲先生の手紙をB氏に交付しました。

B氏は甲先生の手紙も流し読みした後、手紙を握りつぶして床に放り捨て、病棟師長に対して「掃除しといて」と吐き捨てました。

続いて、退院請求通知書を「もう退院するからな、これは要らん。破るわ」と言って書面を細かく破いて床に投げ捨てました。

私は、この瞬間に病院とB氏との信頼関係は、もはや修復できない段階に至ったことを確信しました。
(その2へ続く)

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