皆さん、こんにちは。
当ブログのペイシェントハラスメント(ペイハラ)シリーズは、第2章3回目となりました。
第1章にあたる初日の対応は、ほとんどがB氏との電話対応ということで、私個人の心理分析や判断がメインでしたが、この第2章ではチーム戦となっています。
個人の判断でその場で解決するというのは、人的・時間的労力がほとんどかからず、組織への影響を最小限に抑えることができるので理想的ではありますが、中には当事者のキャラクターや初期対応のやり方によって問題が長期化する場合があります。
そうなると、個人スキルだけではなく、関係者情報共有を密にして意思統一をはかっての対応が必要になることがあります。
この第2章はまさにそのチーム戦であり、第1章と比較して短いエピソードにはなりますが、B氏とのICにこぎ着けたところまでをお話ししていきます。
【対応方針の協議】
B氏の一方的とも取れるICのキャンセルに、病院は結果的に振り回される形となりました。
IC予定日だった翌日、私たち関係者で集まり今後の対応について相談を行いました。
そこで確認した方針は、前回にも挙げましたが、
① このままB氏に振り回され続ければ、Aさんの診療方針の決定や転院調整が進まない。
② 診療を前に進めるためには、まずB氏をICの席につかせる必要がある。
③ そのためには、B氏が強く反発している私が前面に立たない形を一時的に作ることも選択肢となる。
④ ICの日程調整は病棟を中心に進める。
⑤ その過程でB氏の反応を確認しながら、IC開催への糸口を探る。
の5点です。
そして、医師の方からは患者であるAさんの状態について、すでに慢性期の状態に入っているため、急性期病院である当院からの転院が適切であるとの意見が出され、病院としてのこの対応のゴールはAさんの転院であることを確認しました。
そして、このゴールに向けて必須となるタスクは、上記のこの5点の中では②の「B氏をICの席につかせる」ことなので、これを達成するために病院はどんなことをしなければいけないのか意見を出し合いしました。
【修正対応方針】
B氏をICの席に着かせるために、私たちは以下の方針修正を行いました。
①B氏の対応窓口からTK(私)をいったん外し、病棟を窓口とする
②TKの窓口外しはB氏の警戒心を弛めるためであり、病棟はTKと連携を密にして逐次情報を共有し、窓口対応に必要な助言を受ける
③TKは、B氏からの窓口変更の確認電話に対して「私の強硬な姿勢が原因でAさんの診療が進まないため、病院から窓口を外れるよう指示された」と返答し、B氏の警戒心を解く
病棟からはB氏への連絡に恐怖心があると率直な意見がありましたが、B氏の怒りのトリガーを引かないようにするための電話のマナーを以下の通り決めておきました。
①コールをする場合、10回まで呼び出し音を鳴らして切る(留守番電話は設定されていない)
➡B氏は「仕事が忙しいから電話に出られない」と常々言っているので、応答するまでコールを続けると怒りを買うため
②折り返し電話がない場合でも、最低でも15分程度は時間を空けて再架電する
➡矢継ぎ早の呼び出しも怒りを買いやすい
③B氏がこちらのコールに応答しても、折り返しB氏から電話があっても、連絡担当者は名を名乗り、B氏の電話に謝意を示し、「今、少しお時間よろしいですか?」と確認をしてから本題に進む
➡B氏を、「話しを聴く気」にさせる
④病院からの日程の提案はせず、B氏から複数の候補日程を挙げさせ、基本的にはその場で候補日を決めてしまう
➡そのために、関係者がIC可能な日程(夜に指定されることを見越し)を複数設定しておき、B氏の返答に応じてその場で提案する
⑤最終的な決定はB氏に委ね、後日回答となってもかまわない。回答の期日もB氏に委ねる
➡B氏に交渉の主導権があると思わせることが大事
【B氏からの電話】
電話の対応方針を決めてすぐに、病棟の副師長がB氏に電話をしました。
B氏は最初のコールには応答しませんでしたが、その後すぐに折り返しの電話を病棟にかけてきました。
副師長はあらかじめ決めていたとおりの電話対応をしたところ、B氏はすんなりと×日のICを提案し、最終的な日程決定の回答は、○○日までにB氏が病棟に電話連絡をするということまでB氏の方から申し入れがあったそうです。
この電話対応の一部始終は、すぐに私に共有されました。
その後、ほどなくしてB氏から私を指名しての電話がありました。
B氏は、
「病棟からICに関して電話があった。以前はTKからの連絡だったのになぜか」
「今回のICにTKは同席するのか」
と確認してきました。
私は、
「□日に予定していたICがキャンセルとなり、その理由として、私の関与がBさんにとってフラストレーションになっていると考えました」
「□日は、もしかすると来院されるかもしれないと考えて病院で待機していました。来られた際には、患者さんのことを第一に考えてICが必要ではないか、そのために私が窓口から外れた方が良いのか、Bさんの意向を確認するつもりでした」
「結局、□日は来院されなかったので、私の考えとして『患者さんの診療を最優先に考えた際に、キーパーソンであるBさんの障壁となっている私が退いた方が良いのではないか』と病院幹部に報告したところ、窓口から外れるよう指示されました」
「今回の病棟からの電話はその病院決定受けての電話でしょう、私は事前には聞いていませんでした」
「今回のICの連絡は病棟主導になります。私は同席しません」
と説明しました。
今回の説明は、患者さんの診療を前に進めるための病院としての戦術です。
厳密には事実をそのまま伝えたわけではありませんので、必要なこととは言え、こういう嘘つきを続けていると私も地獄行きかもしれません(笑)
B氏は、私の説明に対して
「TKのこれまでの対応について苦言を呈したいので、TKを指導できる立場の人が面談に入ってほしい」
と要求をしてきました。
私には、病院側の対応姿勢に変化が生じたと受け止め、その流れの中で出された要求のように感じられました。
私は、この要求を安易に受け入れることで、さらに新たな要求につながる可能性があると考えました。
ここは私の判断で、「私のこれまでの対応については、病院から一定の裁量権を認められての対応です。直接的に指導できる立場の者はいないので、面談に入る医師、看護師長に私に対する苦言をお伝えください」と返答しました。
B氏は、私の返答に何を感じ取ったのか、その真意はわかりませんが、「俺の行動にも行き過ぎたところがあったかもしれない。TKは病院側の立場としての対応だったかもしれない。それらを相互に謝罪をして、文書で取り交わしたいという希望がある」と提案をしてきました。
私は、B氏の提案に簡単に乗ることはハイリスクであると思い、この提案には「今、私はこの案件から外れていますので、この場でお答えすることはできません。そのご提案は面談に入った職員に伝えていただけますでしょうか」とお願いする形で返答し、この対応については院内で検討することになると思いますと説明しました。
(その4へ続く)