吃音を持つ方なら、一度は感じたことがあるはずです。
「今日はなぜかスラスラ話せる」
「昨日は大丈夫だったのに、今日はまったくダメだ」
この"調子の波"、いったい何が原因なのでしょうか。
私なりに、少し考えてみました。
忙しいときほど、気にならない不思議
経験上、仕事が立て込んでいてバタバタしているときは、吃音があまり気になりません。
正確には「調子がいい」というより、気にする余裕がないという感じでしょうか。
話すことに意識を向ける暇もなく仕事が押し寄せてくる、
そういう状態のとき、言葉は比較的スムーズに出てきます。
逆に、余裕があるときは調子が悪くなる
反対に、仕事が落ち着いていて時間に余裕があるとき。
こういうときは吃音を強く意識してしまいます。
「さっきの電話、詰まったな」
「次の会議、あの人に話しかけなきゃいけないな…」
無意識のうちに、こういった"先回りの心配"をしているのかもしれません。
エビデンス的に考えてみる
吃音の研究では、予期不安(話す前から「どうせ詰まる」と予測してしまうこと)が、症状を悪化させる大きな要因の一つとして知られています。
また、注意の焦点化という概念もあります。自分の話し方に意識が向くほど、かえってコントロールが難しくなるというものです。これは吃音に限らず、スポーツの「イップス」などでも同様のメカニズムが指摘されています。
忙しいときは注意が外に向く。余裕があるときは注意が内に向く。
この違いが、調子の波に影響しているのかもしれません。
「波があって当然」と知っておく
調子の悪い日を「また失敗した」と捉えると、それ自体が次の予期不安につながります。
波があること自体は、吃音を持つ多くの人に共通する経験です。
原因が何かを知っておくだけで、自分を責めるループから少し抜け出しやすくなります。
私自身、完全に波をなくすことはできていません。
ただ、「ああ、今日は内側に注意が向いてるな」と観察できるようになってから、悪い日の"落ち込み度合い"は以前より小さくなりました。
吃音との付き合い方について、もっと気軽に話してみたい方は、ぜひ相談サービスをのぞいてみてください。専門家ではありませんが、同じ経験を持つ当事者として、できる範囲でお話しします。