【私が体験した「詐欺師の手口」:心理の支配方法&構造を心理学者が解説】詐欺に遭わないで!

記事
コラム
前回のブログでは、事実の羅列だったから、もう少し掘り下げたいと思って書きました。詐欺師に騙されたくない人の参考になれば嬉しいです。

【マネーロンダリング詐欺電話の実体験と心理の支配方法&構造】

※これは実際に受けた詐欺電話の内容をもとに、流れと構造・詐欺師の心理支配方法・心理操作について書いたものです。

今回の詐欺師による電話は、複数の役割と段階的な誘導によって構成された「劇場型の詐欺」として設計されているように感じられました。

以下、その流れと心理的操作について整理し、解説していきます。

■ ① 入口:音声ガイダンス

詐欺師からの電話は、普段は絶対というほど鳴らない「固定電話」にかかってきました。最初は「こちらは日本郵便です。未配達の郵便物があります」といった音声ガイダンスから始まります。

この段階では、あえて誰でも知っている日本郵便の名前を使うことで、警戒心を下げるように設計されているように見えます。

しかも、音声ガイダンスというのが憎い。あの、人工的に作られた女性の声。まんまと騙されます。

誰でも「郵便再配達の確認かもしれない」と気軽に考え、案内に従って操作してしまいやすい状態になります。

実際に私も操作しました。

■ ② 人間オペレーター(郵便局員役)登場

その後、気弱で事務的な郵便局員を名乗る人物が登場します。

この人物は非常に重要で、「安心感を作る役割」を担っているように感じられました。

・不在連絡票があるか確認⇒「無い」と言わせる
・調査には個人情報が必要

自然な形で氏名・住所・電話番号を伝えさせる状況が作られます。

ここでは強引さではなく、「郵便物の確認のために、氏名、住所、電話番号が必要です」という説明によって情報を取得している点が特徴です。

今思えば不審に感じるのは、私の住所の漢字は実に読みにくい。ほとんどの人が読めないし、書けない。いつも読み間違えられる。そこで私が、「漢字は必要ですよね?」と尋ねたら、郵便局員は「不要です」と即答。

名前についても、「漢字は不要ですか?」と聞いたけど、これも「不要です」と即答された。

※もうちょっとうまくやるなら、「必要です」って言えばいいのに(笑)

違和感がありましたが、私は本物の郵便局員と信じてる。詐欺に気づける最初のチャンスを、私は「そんなものかな」と流してしまいました。

そんなわけで、私は引っかかって、個人情報を伝えました。

■ ③ 調査待ち(短い待機時間)

個人情報を伝えたあと、1分足らずの待ち時間が発生します。

この間は非常に短いですが、「裏で確認している」という雰囲気が作られ、リアリティを補強しているように感じられます。

今なら、「あんな短時間では調査はできないよ」と思うのですが・・・

■ ④ 内容のすり替え

その後、話の内容が急に変わります。

「あなたの名前でフィリピン宛に国際郵便が送られている」という説明に切り替わり、当初の「不在郵便の確認」から「犯罪性のある案件」へとテーマが移行します。

郵便局員は、淡々と「郵便法違反ですね。東京中央郵便局からフィリピンに他人名義の通帳とカードを送られましたか?警察に押収されていますよ」と伝えてきました。

私は否定しましたし、「その日はアリバイがあります。ありえません」とも伝えました。

郵便局員は「事件性があるから、警察に被害届を出しに来てください。郵便が送られたのは東京からです。東京で出すことになるはずですよ」という。

「私は愛知県民です。簡単にはいけません」と答えると、何やら彼が言う電話番号にかけると東京の警察につながり、被害届が出せそうである。

救われたと感じたが、それは詐欺師の心理操作に乗せられてのこと。

郵便物の未配達→何者かによって私名義で国際郵便が出されている。

この急な変化は「調査結果」として提示されるため、受け手側は自然に受け入れてしまいやすい構造になっています。

私も、違和感はあったものの、すっかり騙されてしまいました。

■ ⑤ 警察官役へのスイッチ

さらにここで、郵便局員役から警察官役へと登場人物が切り替わります。

郵便局員役から「電話を切らず、このままダイヤルしてください。警察につながります」と言われ、そのダイヤルに電話させます。

私は「へぇ、そんな便利な機能があるんだ。知らなかった」と思って、疑問を感じませんでした。

後に、詐欺に気づいて、その電話番号に電話したら、「この電話は使われておりません」というアナウンスが流れる。

要するに、一度切ってしまったらつながらない。詐欺師の電話番号を分からなくさせる作戦です。これが、「切らせずに、そのままダイヤルさせる方法」だったのです。

さて、

警察官役は、気さくで非常に相談しやすい人物像として作られており、以下のような特徴がありました。

・ベテラン警察官(50代?)のような声質
・気さくで安心させる口調・親しみやすい
・一方で事件の重大性を強調
・親切で優しい

ガラガラ声が特徴で、それがなんとも警察官らしいんですよ。あなたにも聞かせてあげたい。

この段階では、「名前を使われて郵便物を勝手にフィリピンに送られた被害者」の扱いです。この電話で被害届を出すように言われ、それに応じてしまいました。個人情報、勤務先、免許証番号まで聞かれます。のちに本当の警察に問い合わせたら「電話では被害届は出せません」と言われ、そのウソがばれるんですが…。

もちろん、被害届の作成時にも、氏名と住所の漢字は不要か尋ねましたが、警察官も「不要」と即答。またもチャンスを逃しました。

しかも、警察官は「被害届の作成中は録音します。他人の声が入ったら無効になります。そこに誰もいませんか?」とか、「電波を使う機器があると音声が途切れがちです。必ず遠ざけてください」と言いました。

これは、第三者が詐欺に気づくと困るからであり、電波障害で電話が切れてしまったら超まずいから。「固定電話だから切れないのになぁ」と思ったけど、まあいいかと思った。このチャンスも逃してしまいました。

後から思えば、詐欺師は結構ボロを出している。しかし、本物の郵便局員・警察官と信じている人にとっては、ただのノイズ。ただの雑音に過ぎない。それすら織り込み済みかもしれません。

■ ⑥ ストーリーの確定(犯罪シナリオ化)

警察官役から、
・マネーロンダリング事件
・他人名義の通帳・キャッシュカード300枚
・あなた名義の通帳を発見
・逮捕者(主犯:佐々木ゆうじ)の供述
・多数の容疑者
・あなたは容疑者の一人
・逮捕予定
・資産凍結
・極秘調査中
など、かなり具体的な情報が提示されます。

詐欺師は、ここで「単なる郵便の話」から「あなたは犯罪事件の当事者」という構図に完全に切り替えてきます。

先ほど伝えた免許証番号で、「あなたが、どんな事件に巻き込まれているかわかる」、という説明を受けます。そして、無線で本部に連絡する音が聞こえます。

その無線の音は、ちゃんと私にも部分的に聞こえるようになっていました。聞こえる声に「通帳」「逮捕」「容疑者」といった言葉が入っていました。
そして、無線の途中でしばらく無音になります。

再び、警察官の声が聞こえるようになります。そこで、「あなたがマネーロンダリング一味の人間だとわかりました。逮捕した主犯の男が持っていた300もの通帳の中に、あなた名義のものがありました。あなたは三井住友銀行横浜支店で口座を開設し、主犯の男に通帳を数十万円で売ったそうですね。主犯の男がそう供述しています」と告げられます。

さらに、逮捕状が間もなく出ると告げられます。

いくら否定しても、その段階では、まだ信じてもらえません。とにかく不安がらせてきます。

私を「容疑者」としての扱いをし、私の「資産凍結(すべての口座を封鎖)」を言い出して、動揺を与えてきます。要するに脅しです。

しかし口調は責めていない。むしろ「そうなったら、あなたは本当に困りますよね?」と言って寄り添ってくれます。だから脅しとは気づかない。無意識下に入れてくる感じです。

「あなたに間もなく逮捕状が出ます」と言いながら、「私の長い経験から、あなたがやっていないことが分かります。あなたは犯罪に手を染めていない。そうですよね?」とも言います。

要するに、次は、安心させる作戦です。

口調は優しい。私も「自分は容疑者だけど、この人は味方らしいぞ。それならきっと助けてくれる」と思わされました。

のちに、本物の警察に問い合わせたら、「逮捕は突然行います。そうでなきゃ逃げちゃうでしょ。事前告知するのは詐欺師です」と言われました。

■ ⑦ 内部事情暴露による信頼強化と口止め

さらに特徴的なのは、警察の内部事情に触れる点です
・捜査の人手が足りていなくて遅れ気味
・忙しい中で対応している
・実は、恥ずかしながら容疑者の中に警察官がおりまして…
といった“裏事情”が語られます。

これは権威を弱めるように見えますが、むしろ「人間味」や「リアルさ」を加えることで信頼感を強める効果があるように感じられました。

そして、ちゃんと口止めをしてきます。それはすごく優しい言い方です。「あなたが不利にならないように」と前置きして、「口外しないでくださいね。極秘調査中ですから口外したら捜査がばれます。あなたの罪状が重くなっちゃうんです。そうなったらお困りですよね?」という言い方をします。

誰でも困るのがわかっているからそう言うんです。そして、罪状が重くなるため、誰にも相談できなくなります。詐欺師は相談させなくしているのです。

■ ⑧ スケジュールの確定(明日への誘導)

「検察があなたを直接取り調べる」と言い出します。

「取調べは早い方がいいよね?」と尋ねられたので、私が「月末まで8日連続で休みがあるから、その間ならいつでも対応可能です」と言っているのに、「あなたのお話を聞いていると、実にお忙しい様子ですね」と言いました。

要するに、警察官役が持っているシナリオは「長期休み中の人」向けには書かれていない。そういう人は想定していない。前提が「騙す相手は忙しいはず」で設定されている様子でした。

これには私も違和感があり、「この人は、私の話を全く聞いていないぞ?」と思いました。しかし私が、詐欺集団の想定どおりに「忙しい人」だったら、全く違和感はなかったはず。うまく作られたシナリオです。

そして、警察官役は、見事にシナリオを読み上げる(もしくは丸暗記?)すばらしい役者。ただ、読み上げることはできても、柔軟に対応はできない。それも、シナリオの存在を裏付けます。

私は「忙しい人」扱いですし、シナリオがそうなっていますから、警察官役は「あなたを一日でも早く、この問題から解放させてあげたい。忙しいあなたにとってその方が好都合でしょ?」とか、「会社にばれたら首になっちゃうもんね。その前に解決しなきゃね。そうだよね?」と言います。

実は私は会社を退職したばかり。絶対に首になれない(笑)。しかしシナリオはそうなってる。やはりシナリオライターは、こんな人を想定していない。

このあたりで結構、見えてきました。でも在職中だったら私もたぶん焦る。きっと引っかかったと思います。たいていの人はこの脅しに引っかかりますよね。

警察官役は「一日でも早く解決するために、あなたの取り調べの優先順位を上げます。その方がいいですよね?」と言います。最初は、「あなたの優先順位は最後の方だから、いつが取調べになるかわからない。長くかかります」と、かなり不安がらせていたのに。

しかし、その一言で光が差します。「私は早く解放されそうだ!」と嬉しくなります。犯人はそうさせてくるわけです。シナリオ作りは相当うまいですね。

警察官役は、「今から検察に電話して、取調べの日程を繰り上げてもらえるよう交渉します」と言って電話を保留します。しかし、保留中に流れそうなメロディはない。無音のまま1~2分待たせます。

そして、嬉しそうに「明日なら対応できるようになりました」と言います。そして「明日の何時なら都合がいい?午前中の方がいいよね?10:00でいいよね?」と言いました。

質問しているようで、質問ではありません。要するに、質問形式を使った押しつけです。詐欺師は、たとえ押しつてけても被害者が心理的に絶対に拒否できない状態であることを知っています。

大体の手口が見えてきたし、私は「いつでもいいです」と答えました。

※その後は前回の投稿に書いたとおりです。関心がある方はお読みください。

■ ■ 構造的な特徴

一連の流れを整理すると、以下の特徴が見えてきます。
・権威の段階的強化(郵便局→警察→検察)
・心理的圧迫が増加(調査→犯罪認定→容疑者→逮捕→会社を首)
・不安と安心の交互提示
・待ち時間によるリアリティ演出

会話は双方向の対話というよりも、あらかじめ用意されたシナリオに沿って進められる感じです。そして、共感力がすごい。寄り添い力もすごい。

「こんなに自分の気持ちを分かってくれて、自分のためにやってくれる警察官なら協力したい」という気にもなりますよ。だから用意されたシナリオに、いつの間にか自分から乗りにいってしまう。

こちらの発言内容など、全体の進行に大きく影響しません。むしろ、自分の発言が操作されていることに気づかず、自分の意見を言っている感じがする。

そもそも、警察官のくせに、私の取り調べはしてこない。私は容疑者なんだから、普通はそれをするでしょ。だけど、渦中にいると、それに気づかないんだよね。彼が一方的に説明を繰り返し、不安がらせたり、安心さてたりするばかり。私はそれに振り回されて、精神的に参らされ、思考が停止。判断力を失わされていったと感じる。

あらかじめ用意された流れは明確で、被害者がそれに乗るよう、困るよう、安心するよう、喜ぶよう、心理的に操作する設計だな、と感じました。

■ ■ 総括

今回の一連のやり取りは、「事実を確認する会話」というよりも、それらしい現実感を段階的に積み上げていく構造に見えました。

その結果として、論理的な整合性よりも「流れとしての説得力」が優先されているのです。

おかしいですよね。最初は郵便物の未配達の電話だったのに、いつの間にか容疑者になり逮捕寸前になる。資産まで凍結される。そして検察から取り調べを受ける羽目になる。しかし、それに乗れば、自分が早く解放されるメリットがある。

損得を考えたら乗っちゃってもおかしくない。

流れがめちゃくちゃで、矛盾していることより「逮捕されたくない」「一日も早く、身の潔白を証明したい」という気持ちが勝つように設計されている。

もう一つ言えるのは、被害者は詐欺師の言うことや質問に、絶対にYESと言わされます。人間心理として、YESを言い続ければ自然とそれを繰り返すようになるんですが、そういう心理操作もうまいですよ。

毎回YESと言わせ続ける理由は、最後の一番大きなYES(送金)につなげるためです。「送金してください」→「YES」これだけが理由。

警察官の言葉を読み返してみてください。絶対にYESとしか答えられませんから。

翌日10:00の電話に出たら、どうやって金をだまし取られる設計なのだろう?

電話には出る気がないから、それは分かりませんが、やはり、焦らせて、安心させてを繰り返し、ATMに向かわせるんでしょうね。

■ おわりに

今回の経験は、「どの段階で違和感を持てるか」が非常に重要だと感じます。
同様の手口は今後も形を変えて出てくる可能性があるため、冷静に一度立ち止まることが重要だと感じます。

もちろん、「口外しないでください」「極秘捜査の妨害になるから、罪状が重くなりますよ」と言われて、怖いのは分かります。

そんな時はチャッピーでいいから相談しましょう。チャッピーは、かなり詐欺に詳しかった。

最後に繰り返しますが、
・不安の後に安心。もしくは同時に提示して縛り付ける
・YESしか言わせない仕組み
 ※「送金してください」→「YES」につなげるため
・絶対に口外させない仕掛け
これだけは気を付けてください。

PS.

約束の、10:00ぴったりに詐欺師であろう電話が来た。出なかったらすぐにかけなおしてきた。10分後にまたかかってきた。ケータイ番号も教えたのにかけてこない。

チャッピーいわく、「詐欺師は、ハイリスクと見た瞬間に逃げる」とのことです。

実は、次はどんな手で来るのか、騙されたふりしてATMまでは行って、その場で「ATMなう」とかX(旧Twitter)に投稿してやろうかとも思ったが、チャッピーが「そんなのに付き合ってたら、騙しやすい人リストに載るだけ。やめとけ」というからやめといた(笑)。

おまけ

数日後に実家にも詐欺師から電話が来て、途中経過は同じ。伝えられた電話番号も同じ。電話機の操作してたら切れちゃって終了。

たまたま郵便局員がその場にいたから尋ねたら、「郵便局はそんなことしません」ということで、詐欺は途中終了。あのままつながってたら、どうなったことやら。



サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す ココナラコンテンツマーケット ノウハウ記事・テンプレート・デザイン素材はこちら