テキスト読みは大事。だから読まなきゃ。
でも、
・眠くなる
・文字を追っているのに頭に入らない
・ピントが合わない感覚になる
という現象が起きます。「自分は集中力がない」そう思ってしまいます。
でも、違います。
これは脳の仕様です。
私はテキスト読みを大きく二つに分けていますが、今回はそのうちの一つ、全体を通しで読むときの話。
ここでやっているのが、いわゆる「ロールプレイ読み」です。
法律は結局、いろんな立場の人の利害調整。
だから、登場人物になって読む。
まずは力を抜きます。
熟読しない。
隅から隅まで理解しようとしない。
小説を読む感覚で、全体の流れを掴みにいく。
そして、文字を追うのではなく、感情を乗せる。
例えば。
厚生労働大臣になりきる。
「こんな細かい運用、私が決める話じゃないよな」
「国としてバランス取るなら、この辺が落とし所だな」
「でも全国でバラバラになりすぎるのも困るよな」
トップの視点で読む。
次に、
社長になりきる。
義務規定を読んだ瞬間、
「無理無理」
「ふざけんな」
「現場回らんて」
「そんなことまで会社にやらせるの?」
と、心の中で文句を言いながら読む。経営者のリアルな感情をぶつける。
こうやって立場を変えて読むと、理屈じゃなく、
「まあ、そうなるよね」
と腑に落ちる瞬間が増えてきます。
これが大きい。
2周目以降も新鮮で、むしろ早く別の立場で読みたくなる。
注意点は一つ。同じ箇所で立ち止まらないこと。「また読みたい」という感覚を残して、時間を空けて次に回す。
これが定着を作ります。
一回で全部わかろうとしなくていい。
むしろ、少し気になるくらいで次に進む。
「ここ、別の立場で読んだらどう見えるんだろう」
この感覚を残しておくと、テキストに戻りやすくなります。
何周かしてくると、制度が立体的に見え始めます。
ここで国民健康保険を例にします。
登場人物は、
国
都道府県
市町村
組合
被保険者
制度上は、それぞれが独立した主体として出てきます。
国には国の役割がある。
都道府県には都道府県の役割がある。
市町村には市町村の役割がある。
組合には組合の役割がある。
それぞれが一定の権限を持った主体として書かれている。
ロールプレイで読んでいくと、そこに実態の力関係が見えてくる。
市町村国保で見れば、
国がルールと支援金を出す。
都道府県が金庫番として管理する。
市町村が住民から保険料を集めて県に送る。
都道府県の財政管理のもとで医療費が支払われる。
つまり、
国が支え
県が管理し
市が動く。
これが実態。
一方で、組合の立場で見ると、
国保組合は、自分たちで保険料を決めて運営します。でも、国と都道府県には逆らえない。
国保組合の“上”は二段構え。
大ボス:国、厚労省
→ 制度設計と補助金
直属の上司:都道府県
→ 許認可と日常監督
日常的に顔を合わせるのは県。でも、制度の大枠を握っているのは国。
国と県は、制度上はそれぞれ独立した主体です。
でも組合の監督という場面では、
国=司令塔
県=現場指揮官
組合=実際に動く主体
という縦構造になる。
ここで見えてくるのは、
国が「上」
県が「中」
市町村や組合が、実際に動く側 という現実の力関係。
制度上は、「それぞれが主体」として出てくる。
でも実務では、同じ高さで並んでいるわけではない。制度上の建前と、実務上の上下。
この乖離が見えてくると、制度が一気に立体的になる。
ただ文字だけで追うと、
「国」
「都道府県」
「市町村」
「組合」
がバラバラに見えます。
でも、それぞれの立場に入って読むと、
誰が決めるのか。
誰が管理するのか。
誰が現場で動くのか。
誰が負担するのか。
誰が守られるのか。
こういう関係が見えてきます。
細かな規定も、この大枠の中に配置されているだけだと分かる。
だから初見問題でも、「仕組み的に、こっちだよね」と判断できる。
これが、暗記じゃなく構造理解で取れる状態。
もちろん社労士試験は暗記も必要です。
でも、全部をバラバラに暗記しようとすると苦しくなる。
でも、立場を変えて読むと、
「この人は何をしたいのか」
「この人は何を避けたいのか」
「この人にはどこまで権限があるのか」
「この人は誰に逆らえないのか」
という整理ができます。
制度が、ただの文字ではなく、人の動きとして見えてくる。
建前と実態。
両方を“感覚”で持っていると、引っかけにかかりにくい。
ここまで来ると、
「今度は、被保険者とか、その家族の立場で読んでみたいな」
と思えてくる。
もう一周したくなる。
視点を変えると、同じテキストなのにまったく別の風景が見えるから。
通読の場合。テキストは、
読書のように読む。
登場人物になって読む。
そうすると、制度の中に入り込める。
いろんな立場の人の視点を、肌で感じられる。
だから制度が、立体的に見えてくる。