良薬は口に苦しと言いますが、
漢方では「体に合うものはおいしく感じる」と言われています。
3年ほど、漢方医の先生にお世話になっていたことがあります。
ひと月に一度、舌の状態を見てもらい
その時の症状を聞きながら、少しずつ処方を変えてもらう日々。
先生はいつも、調合薬を手渡すときに
「今回はどうでしょうね」
というような、期待と不安が混ざったような表情をされるのです。
私はそのたびに、なんとなく申し訳なくなって、
ただ静かにうなずくしかありませんでした。
煎じたときの匂いで、だいたい味の想像はつきます。
それでも先生は、
「体に合うものは自然とおいしく感じるものですよ」
と穏やかに言っていました。
……けれど、正直に言うと、
私は最後まで“おいしい”と思えませんでした。
だからあの言葉は、
私には少し遠い話だったのかもしれません。
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