1. 導入:夢の二拠点生活に潜む「収入の落とし穴」 🏠
都市部と地方を行き来する二拠点生活は、「キャリア」と「豊かな暮らし」を両立させる理想的な働き方の一つです。私自身、横浜と長野県栄村という山間地の地域を拠点に生活していますが、このスタイルを始めた当初、多くの人が直面する大きな壁になりうる課題に注目しました。
それは、地方拠点での「仕事がない」という現実的な問題です。都心の仕事はリモートで継続できるものの、生活の基盤となる地方で収入源を確立できなければ、経済的な負担が増し、結局「都会の仕事」に時間を奪われて地方での生活が疎かになってしまいます。
二拠点生活を安定させる鍵は、「地方での仕事は全て地方で探さなければいけない」という常識を捨てることです。今回は、私が長野県栄村での生活を通して実践し、都市圏のリモートワークと地場での活動をうまく両立させるために行った「収入源のディテール」再設計について紐解きます。
2. 本編:なぜ地方拠点では「仕事が見つからない」と感じるのか
地方拠点に移った際、「仕事がない」と感じてしまうのは、地方経済の規模や構造の問題だけではありません。私たちの「仕事に対する古い定義」に原因があります。
誤解の原因①:「都心と同じ仕事」を探してしまう
地方に滞在しながらも、私たちはつい「都会の会社でやっていたような、専門職としての高単価な仕事」を地場で探そうとします。しかし、地方では、専門職の案件は少なく、仮にあっても都心ほどの報酬は期待できません。この「都心型の仕事の定義」に縛られていると、地方では永遠に「仕事がない」と感じてしまいます。
誤解の原因②:「お金を介する関係」に限定してしまう
地方での生活は、お金を介する「仕事」だけが価値ではありません。地方では、地域貢献やコミュニティへの参加そのものが、後に仕事や信頼、そして生活の豊かさという形で返ってきます。最初から「地場での収入」を目的としすぎると、地元の人々との関係構築がおろそかになり、結果として仕事のチャンスを逃してしまいます。
私の場合、長野県栄村での生活を安定させるには、この二つの誤解を解消する必要がありました。
3. 実践:二拠点を支える「収入源のディテール」再設計
私が横浜と長野県栄村の二拠点生活を安定させるために確立したのは、「都市圏の収入」をベースに「地方での活動」を戦略的に行うというハイブリッドな収入設計です。
戦略①:都市圏の仕事を「地方生活の基盤」と再定義する
まず、横浜で続けている人事領域のリモートワークを、地方での生活と活動を支える「揺るがない基盤」として再定義しました。
このリモートワークでは、「場所に関係なく成果物の価値が変わらない」ことを徹底し、都心の水準で安定的に稼ぎます。地方で仕事を探す手間を省き、生活資金の不安を完全に排除することで、地方滞在中の時間を地道な地域活動に使える心の余裕を確保しました。
戦略②:「地場での活動」を「信頼の貯金」と定義する
地方滞在中は、地場での「お金にならない活動」に時間を投資しました。私の場合、栄村での地域イベントの手伝いや、コミュニティの運営支援などです。
これは「仕事」ではありませんが、地域への貢献を通じて「信頼の貯金」を積み重ねる行為です。この信頼が貯まることで、後から「この人に任せたい」という地場特有の小さな仕事(例:地域の若手採用の相談、小さな事業のWebサイトの相談など)が、お金を介さずに舞い込むようになりました。この「信頼からの仕事」が、地方での収入源のディテールを豊かにしました。
戦略③:「都会のスキル」を「地方の課題」に転換する
地場での活動を通じて地域の課題を理解したら、その課題に対して「都市圏のリモートスキル」を応用します。
例えば、栄村での活動で「地方の企業が採用に困っている」という課題を見つけたとします。このとき、「地場に密着した採用業務」ではなく、「横浜でのリモートワークで培った非同期の採用プロセス構築スキル」を提案する。
このように、「都会のスキル」という価値を地方の課題に転換し、リモートで完結できる地場向けの仕事を創り出すことで、収入を確保しつつ地域との関係性を深めることができました。
4. まとめ:二拠点生活は「仕事と生活の最適配置」
二拠点生活で「地場に仕事がない」と悩むとき、それは「働き方を再設計するチャンス」です。
必要なのは、都会の仕事と地方の仕事のどちらかを選ぶのではなく、「仕事と生活の最適配置」を行うことです。
都市圏の仕事で経済的な「基盤」を確保し、地方での活動で人間的な「信頼」を積み重ねる。この二刀流のバランスと、地域課題に都会のスキルを転換するというディテールこそが、二拠点生活を安定させ、豊かなものにするための鍵となります。