残業時間を15分単位で切り捨ててもいい?給与計算でよくある誤解

残業時間を15分単位で切り捨ててもいい?給与計算でよくある誤解

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法律・税務・士業全般
 「当社では残業時間を15分単位で計算しています。」「5分や10分程度の残業は切り捨てています。」
 このような運用をしている会社は少なくありません。長年続けている会社も多く、「給与計算ソフトがそのような設定になっているから」「昔からこの方法で問題なかったから」と、そのまま運用しているケースも見受けられます。
 しかし、毎日の残業時間を一定時間ごとに切り捨てる方法は、労働基準法上問題となる可能性があります。
この記事では、残業時間の“丸め”ついて分かりやすく解説します。

1.労働時間は実際に働いた時間が原則

 労働基準法では、会社は労働者が実際に働いた時間を適正に把握し、その時間に応じた賃金を支払うことが原則です。
 例えば、終業時刻を過ぎても上司の指示で業務を続けていた場合や、業務上必要な作業を行っていた時間は、原則として労働時間となります。
 そのため、「15分未満だから」「5分しか働いていないから」という理由だけで、その時間を一律に切り捨てることは適切ではありません。

2.よくある誤った運用

 実際には、次のような運用をしている会社があります。
・毎日の残業時間を15分未満は切り捨てる 
・5分単位で毎日切り捨てる 
・タイムカードの打刻時間を15分単位で丸める 
・終業後の片付けや清掃時間を労働時間として扱わない 
 これらの運用によって、実際に働いた時間よりも少ない時間で給与を計算してしまうと、未払い残業代が発生する可能性があります。「1日5分程度だから問題ない」と考える方もいますが、積み重なると決して小さな時間ではありません。
 例えば、毎日10分の残業を切り捨てていた場合、20日勤務すれば200分、時間にすると3時間20分になります。これが毎月続けば、1年間では40時間近い未払いとなる可能性があります。
 金額としても数万円から十数万円になることがあり、労働基準監督署の調査や退職後の未払い残業代請求で問題となるケースもあります。

3.認められている端数処理もある

 一方で、すべての端数処理が認められていないわけではありません。
 行政通達では、1か月分の時間外労働時間を合計した後に生じた30分未満の端数を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げる処理については、事務処理の簡便化の観点から認められています。
 ここで重要なのは、「毎日」の端数処理ではなく、「1か月分を集計した後」の端数処理であるという点です。
 例えば、毎日の残業時間を15分単位で切り捨てることと、1か月の時間外労働時間を集計した結果、30分未満の端数を処理することでは、法律上の考え方が大きく異なります。
 この違いを理解せずに運用している会社は少なくありません。

4.勤怠システムの設定にも注意

 最近では勤怠管理システムや給与計算ソフトを利用している会社が増えています。
 しかし、システムの設定が適切とは限りません。初期設定のまま運用していたり、以前の担当者が設定した内容をそのまま引き継いでいたりするケースもあります。
 「システムが自動計算しているから大丈夫」と考えるのではなく、どのようなルールで労働時間を集計しているのかを確認することが重要です。
 また、タイムカードが15分単位で表示されているからといって、そのまま給与計算も15分単位で行ってよいという意味ではありません。
 実際の労働時間を適切に把握し、それに基づいて賃金を支払うことが基本となります。

5.まとめ

 残業時間の端数処理は、給与計算の中でも見落とされやすいポイントの一つです。
 「昔からこの方法だから」「他社も同じようにやっているから」という理由だけで運用を続けていると、未払い残業代が発生し、労働基準監督署の調査や労使トラブルにつながる可能性があります。
 特に毎日の残業時間を5分・10分・15分単位で一律に切り捨てている場合は、一度運用を見直すことをおすすめします。
 自社の勤怠管理や給与計算の方法に不安がある場合は、専門家に確認し、法令に沿った運用になっているかチェックしておくことが、将来のリスクを防ぐことにつながります。

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