【前嶋拳人】影が先に歩き出した朝

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今朝、歩き慣れた道でふと足を止めた。理由は単純で、いつもより長く伸びた自分の影が、まるで意志を持ったように先へ進んでいったからだ。もちろん影は光と位置の問題でしかないはずなのに、その瞬間だけは、影のくせに私より先に未来を知ろうとしているように見えた。私はその勝手な想像におかしくなりながらも、不思議と胸がざわついた。影はいつも私にぴったり寄り添っているはずなのに、今日は横でも後ろでもなく、先頭を切って歩くのだ。まるで「ほら早く」と背中を押されているようだった。

その影を追いかけると、少しだけ自分が遅れている気がした。仕事でも挑戦でも、人より進んでいるようでいて、実は自分が一番後ろにいるのではないかという感覚に似ていた。影はただの現象なのに、不思議と今日はその存在が私に問いを投げかけてくる。あなたはどこへ向かいたいのか。本当にそっちでいいのか。何を優先して生きているのか。そんな問いを投げかけられているようだった。

私は影を眺めながら歩き続けた。影は道の歪みによって形を変えたり細くなったり太くなったりした。それはまるで、私がいま抱えている迷いや期待、焦りや柔らかな希望が姿を変えて現れているようにも思えた。道の端に差し掛かると影は少し傾き、まっすぐ歩いているはずなのにぐにゃりと曲がった。それを見て私は、曲がってもいいのだと気づいた。影が許しているのではなく、影の変化は私自身の変化であり、どんな形でも前へ進んでいるという事実の証拠だった。

影が先を進むのなら、私はその背中を追いかけるしかない。だけど追いかけるだけではなく、ときには影と並ぶ瞬間もあった。そのときは不思議な安心感があった。まるで自分のペースを取り戻したかのようだった。さらに歩いていると、影が急に短くなった。太陽が角度を変えたのだろう。影が足元にぎゅっと縮まると、先導しているはずの影が急に頼りなく見えた。けれどその瞬間、私は思った。影が縮むのは、立ち止まるサインではなく、自分の決断が必要なタイミングなのだと。

目の前に誰もいないように感じても、背後に頼れる何かがあるように感じても、影は決して消えない。たとえ暗闇の中で見えなくなっても、明るい場所に出ればまた現れる。そんな影を見ながら、私は自分自身の選択もまたそうなのだと思った。たとえ迷って影を見失っても、また光が当たれば輪郭が戻る。決断は一度きりではなく、何度も修正できるものだ。影がそれを教えてくれた朝だった。

気づけば目的地に着いていた。影はもう私の横にあり、ときどき私の動きとぴったり同じタイミングで揺れた。その姿を見て、私は少し笑った。影が先に歩いたように見えたのは、実は心の奥で私自身が先に進みたがっていたからかもしれない。影が教えてくれたのは、正しい道ではなく、進みたいという純粋な気持ちだったのかもしれない。

今日の私は、影に背中を押されて少しだけ前へ進めた気がする。
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