前回は、プロジェクトチャーターを使って、
目的やゴール、対象範囲、責任者などを明確にすることを書きました。
しかし、プロジェクトチャーターを作っただけでは、まだ実行は進みません。
「何をやるか」は決まりました。
次に必要なのは、「どうやって前に進めるか」を考えることです。
今回は、実行力にあるプロジェクト管理の考え方をご紹介します。
1. 大きなテーマのままでは、人は動けない
プロジェクトが進まない理由の一つは、テーマが大きすぎることです。
例えば、
「利益率を改善する」
「営業プロセスを見直す」
「業務を効率化する」
「DXを推進する」
どれも重要です。
しかし、このままでは現場は何をすればよいか分かりません。
大きなテーマは、小さな作業まで分解して初めて実行できます。
その前に、もう一つ大切なことがあります。
それは、「本当の課題は何か」を整理することです。
2. 課題を明確にする
プロジェクトは、いきなり解決策を考えてはいけません。
まず整理すべきなのは、
現状 → 課題 → 解決策
の順番です。
ここでいう課題とは、
現状とありたい姿(目標)の差(Gap)
を指します。
例えば、体重管理を考えてみましょう。
現状を把握せず、ありたい姿も決めず、
いきなり「ランニングしよう」「筋トレをしよう」
と考える人はあまりいないのではないでしょうか。
会社でも同じです。
例えば、「営業利益率を改善したい」というテーマでも、
まずは現状を把握します。
課題を飛ばして解決策から議論すると、
「値上げしよう」
「原価を低減しよう」
「新商品を出そう」
という"手段ありき"の議論になってしまいます。
だからこそプロジェクトでは、
現状を分析する。
課題(現状とありたい姿の差)を明確にする。
その後で解決策を考える。
この順番が重要になります。
3. WBSで仕事を分解する
課題が明確になったら、次は解決策を実行するために仕事を分解します。
そこで役立つのが、
WBS(Work Breakdown Structure)
です。
難しい言葉ですが、考え方はとてもシンプルです。
大きな仕事を、小さな仕事に分解する。
これだけです。
例えば、「利益率の低い受注を減らす」というプロジェクトなら、
・現状の利益率を分析する
・利益率が低い案件を抽出する
・原因を分析する
・複数の対応策を作成する
・関係部署と協議して対応策の優先順位を付ける
・試験運用する
・振り返って効果のあるものを選別する
・本格導入する
このように分解します。
すると、「今、何をすればよいのか」
が見えるようになります。
WBSの目的は、作業を細かくすることではありません。
担当者を決められる大きさまで仕事を分解することです。
4. 担当者と期限を決める
仕事を分解したら、
誰がやるのか
いつまでにやるのか
を決めます。
ここで注意したいのは、
「営業部」「管理部」ではなく、個人まで決めることです。
部署だけ決まっていても、
「結局、誰がやるの?」
となって止まることは少なくありません。
また、期限も「今期中」ではなく、
「○月○日」まで決めた方が進みます。
担当者と期限が明確になることで、
進捗も確認しやすくなります。
5. クリティカルパスを意識する
プロジェクトでは、すべての作業を同じように管理する必要はありません。
なぜなら、
その作業が遅れると、プロジェクト全体の完了も遅れてしまう作業のつながり
があるからです。
これをクリティカルパスと呼びます。
たとえば、新商品を発売するプロジェクトを考えてみます。
商品仕様を決める。
試作品を作る。
品質や安全性を確認する。
製造条件を確定する。
量産を開始する。
商品を発売する。
これらの作業には、明確な順番があります。
商品仕様の決定
↓
試作品の作成
↓
品質・安全性の確認
↓
製造条件の確定
↓
量産
↓
発売
たとえば、品質や安全性の確認が2週間遅れれば、その後の製造条件の確定や量産も遅れます。結果として、発売日も遅れることになります。
この一連の作業が、クリティカルパスです。
一方で、商品の紹介資料の文章を整える作業には、多少の余裕があるかもしれません。予定より数日遅れても、発売日までに完成すれば、プロジェクト全体の期限には影響しない場合があります。
つまり、プロジェクトの作業には、
・遅れると全体の完了が遅れる作業
・少し遅れても全体には影響しない作業
があります。
すべての作業を同じ細かさで管理するのではなく、
どの作業が遅れると、プロジェクト全体が遅れるのか
を把握し、重点的に確認することが重要です。
プロジェクト管理とは、すべてを均等に管理することではありません。
限られた時間の中で、本当に遅らせてはいけない仕事を見極めることです。
まとめ
ここまで、プロジェクトを前に進めるための考え方についてお話ししました。
まずは課題を明確にし、解決策を考える。
そして、その解決策をWBSで具体的な作業に落とし込み、担当者と期限を決める。
さらに、プロジェクト全体の完了時期を左右するクリティカルパスを意識することで、限られた時間やリソースを効率的に使うことができます。
しかし、計画を立てるだけではプロジェクトは進みません。
実際には、進捗が遅れたり、新たな課題が発生したりすることが日常的に起こります。
後半では、プロジェクトを止めないための「進捗管理」と「課題管理」の考え方についてご紹介します。
経営では、「何をやるか」を決めることも重要ですが、それ以上に決めたことを最後までやり切ることが成果につながります。
「プロジェクトが途中で止まってしまう」
「計画は立てたものの、なかなか前に進まない」
「どこから手をつければよいか整理したい」
そんなお悩みをお持ちの方は、お気軽にご相談ください。
事業計画、プロジェクトマネジメント、管理会計、業務改善など、実務経験をもとに現状を整理し、実行につながる進め方を一緒に考えます。
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