【高倉友彰】「ドアノブ」に性格が出るって本当だった話

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部屋のドアノブを取り替えた日、私は少しだけ自分が変わった気がした。そんなことあるわけないと思う人がほとんどだろう。でも、ドアノブって意外と人生観に近い。どんなふうに人や世界と関わるかが、そこに出る。

もともと私は引きこもり体質だった。誰かが部屋のドアをノックしても、返事をする前に息を殺すタイプ。だから、金属の冷たいドアノブが好きだった。触ると、世界との境界をはっきり感じられた。冷たさが安心に変わるという、不思議な感覚。でもあるとき、そのドアノブが壊れた。ねじが緩み、回しても空回りするようになった。

仕方なく新しいものを探すことにした。ホームセンターで見つけたのは、木製のドアノブ。丸くて、手のひらにすっと馴染む。最初は「なんだか頼りないな」と思った。金属のような緊張感がなくて、少し拍子抜けした。でも取りつけてみると、部屋の空気がやわらかくなった。手に取るたび、心が少しだけ解けるような気がした。

ドアノブが変わると、ドアの向こうの世界の見え方も変わる。以前は閉じるためのドアだったのが、今は開けるためのものになった。木の感触を通して、外と内がつながる感覚がある。触れた瞬間、自分の中の警戒心が少しゆるむ。思えば、私はずっと「閉める」ことばかり上手くなっていたのかもしれない。

ココナラで相談を受けていると、人間関係の悩みの多くが「ドアノブ問題」に似ていると思う。相手を拒絶するための仕組みを、自分の中に作りすぎてしまう。拒絶ではなく距離を置くための工夫なら健全だけど、無意識に鍵をかけ続けると、いつの間にか自分の心まで外に出られなくなる。そんなときは、金属のドアノブを木製に替えるように、関係の「手ざわり」を変えることから始めるといい。

実際、私も木のドアノブを取りつけてから、人との会話が少し楽になった。特別な努力をしたわけではない。ドアを開けるたび、自然と「やわらかく接する」という身体の記憶が育っていった感じだ。手から入る変化は、心にまで届く。私たちは思っている以上に、触覚の生き物だ。

思い返すと、人生の転機はいつも「触れること」から始まっていた。初めて握った誰かの手、キーボードの感触、コップの温度。どれも「世界とつながる感覚」だった。ドアノブもその一つなのだ。何気ない日常の中に、実は深いメッセージが隠れている。

だから最近は、コンサルの仕事でも「あなたのドアノブはどんな材質ですか?」と聞くようにしている。ちょっと奇妙に聞こえるけれど、これが意外と大事な問いなのだ。冷たい金属のままでいたい人もいれば、やわらかい木に変えたい人もいる。どちらも正解。でも、自分が今どちらを握っているかを意識するだけで、人との関わり方が変わってくる。

私は今日も、木のドアノブを回して部屋を出る。朝の光に指先が触れるたび、心が小さく開いていく。開けることは、怖い。でも開けないままでは、何も始まらない。小さなドアノブ一つに、そんな勇気を教えられるなんて思いもしなかった。
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