「好き嫌い」には理由がある
食べ物の好みをつくる、子どもの頃の記憶
人の身体は、食べたものでできています。
では、私たちは何を基準に食べるものを選んでいるのでしょうか。
味や香り、栄養、値段、体調など、さまざまな理由がありますが、
私は食べ物の好みには、その人がこれまでに経験してきた「記憶」が深く関係していると思っています。
つまり、
人の身体は食べ物でできているけれど、食べ物の好みは記憶でできている
ということです。
私の場合、その代表がマヨネーズです。
私は昔からマヨネーズが大嫌いです。
妹からは、
「マヨネーズに入っている化学調味料が嫌いなんじゃない?」
と言われたこともあります。
しかし、余分なものが入っていないマヨネーズであっても、やはり食べたいとは思いません。
では、なぜ私はマヨネーズが嫌いなのでしょうか。
記憶をたどってみると、幼い頃、冷蔵庫を開けたときの光景を思い出します。
逆さに置かれた容器の小さな隙間で、マヨネーズがトグロを巻いていました。それを見て、子どもながらに強く引いてしまったのです。
ただ、それだけで今まで嫌いになるとは、私自身あまり思えません。
もしかすると、もっと幼い頃にマヨネーズを嫌いになる何らかの出来事があり、
その記憶は忘れていても、感覚だけが深層心理に残っているのかもしれません。
あるいは、マヨネーズそのものではなく、当時の嫌な感情や出来事をマヨネーズに重ねている可能性もあります。
食べ物の好き嫌いは、単純に「味が好き」「味が嫌い」という話だけではありません。
その食べ物を、
誰と食べたのか。
どのような場所で食べたのか。
食卓にはどんな空気が流れていたのか。
食べることを強要されなかったか。
食べたときに何を感じていたのか。
こうした記憶も、その後の食べ方に影響します。
子どもの頃の食べ物に関する記憶は、それほど強く残るものです。
親が日常的に甘いものを食べていれば、子どもにとっても砂糖の多い食生活が当たり前になります。
幼い頃から化学調味料などの強い味に慣れてしまうと、その味から離れることが難しくなる場合もあります。
何を食べさせるかだけではなく、どのような食卓を囲んでいたかも、その人の一生に影響するでしょう。
私の場合は、父親が食卓にいる家庭に憧れていました。
食べ物そのものだけでなく、「家族で食卓を囲む」という経験への思いが、今の私の食に対する考え方にもつながっているのだと思います。
小さい子どもほど、親の食べ方や食卓の空気から大きな影響を受けます。
そして、その記憶は大人になっても、
「これが食べたい」
「これは食べたくない」
「甘いものがやめられない」
「お腹がいっぱいでも食べてしまう」
といった行動として現れることがあります。
食生活を変えられないのは、意志が弱いからとは限りません。
食べ物に結びついた過去の記憶や感情が、今の自分に食べさせていることもあるからです。
食べ方や身体の不調を見直すときは、栄養だけでなく、自分の記憶にも目を向けてみてください。
あなたには、どのような食べ物の記憶がありますか?
その食べ物を、誰と、どんな気持ちで食べていましたか?
そして、その記憶は、今のあなたの食べ方や身体にどのような影響を与えているでしょうか。
自分では理由がわからない好き嫌いや、やめたいのにやめられない食べ方にも、これまで気づかなかった意味が隠れているかもしれません。
食生活を変えようとしても繰り返してしまう方や、食べ方と身体の不調のつながりを知りたい方は、一度ご相談ください。
今の食べ方だけを見るのではなく、これまでの経験や家族との関係も含めて、一緒に原因を考えていきます。