【阪田和典】 観葉植物が深夜に議事録を配った件

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ある晩、部屋の隅でただ静かに光を吸っていたはずの観葉植物が、なぜか妙に存在感を放っていた。照明を落としてパソコンを閉じる直前、ふと視界の端で葉が揺れた。もちろん風はない。窓も閉めている。にもかかわらず、まるで誰かがそっと合図を送るように、植物はゆっくりと葉を傾けていた。疲れているのかと思ったが、次の瞬間、その観葉植物がまるで小さなため息をつくように葉を震わせたのだ。思わず近づくと、足元に一枚の付箋が落ちていた。見覚えのないメモで、しかも書かれている内容がやけに具体的だった。「今日の気温はやや高め。水やりは控えめ。環境改善要。」なぜ植物が環境改善を要請してくるのか理解できずに固まったが、不思議なことにその瞬間、妙な説得力があった。最近、忙しさにかまけて水やりのタイミングも適当になり、部屋の換気も不十分だった気がする。もしかすると自分の方が管理されていたのではないかと考えると、急に笑えてきた。

翌朝、デスクに戻ると、植物の近くにまたメモが落ちていた。今度はもっと整理されており、まるで議事録のように箇条書きで現状と要望が書かれている。そこには「日当たり改善のため位置の調整希望」「最近のあなたの姿勢は前屈みぎみ」「空気の循環不足」「深呼吸不足」など、なぜか私の生活習慣にまで踏み込んだ項目が並んでいた。植物の立場からすれば、自分の世話をする人間の状態が悪いと影響が出るのだろう。それにしても深呼吸不足まで指摘されるとは思わなかった。読みながら、まるで植物との共同生活が始まったような気分になり、なぜか胸の奥が少し軽くなった。

その日から植物の提案通り、部屋のレイアウトを微調整し、換気も意識的に行った。すると驚くほど空気が変わり、作業の集中度も上がった。植物が本当に議事録を配ったかどうかはもうどうでもよくて、気づかないうちに放置していた小さな違和感を、誰かがそっと指摘してくれた感覚が心地よかったのだ。植物との対話は続かなくても、あの付箋がなかった日常にはもう戻れない気がしている。
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