SaaSツール導入の落とし穴 - 片付いていない家に新しいモノを買い続けていないだろうか?

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IT・テクノロジー
「DXを推進するために次々とITツールを導入したけど、結局Excelを使っているメンバーが大半…」
「月額料金だけがかさみ、効果が見えない状態が続いている」
「新しいSaaSツールを入れたのに、ほとんど使われずに放置されている」
「色々ツールを導入したけど、結局データがバラバラで連携できていない」

こんな状況に心当たりはありませんか?

私がITコンサルティングの現場で見てきた多くの企業では、DXの名のもとに次々と新しいITツールを導入するものの、実際には機能が整っていない、もしくは使いこなせていないという課題を抱えています。

この問題の本質は、片付いていない家に新しい物を買い足し続けている状態に似ています。

私の実家の母は通販でダイエットグッズなどを次々と購入し、家の中が不要なもので溢れていくことがありました。同じように、多くの企業ではSaaSツールを「通販で買い物をする」ような感覚で選んで導入しています。

「こんなの素敵じゃないですか」と紹介されて、「欲しい」「使えそう」という基準だけで判断して購入する。もちろん、そのツールは使おうとすれば使えるのですが、多くの場合は他の管理が行き届かないまま、新しいツールだけが増えていく状態になっています。

そして結局、押入れに物が溜まっていくように、ツールは導入されても活用されず、何が会社にあるのかすら把握できない状況に陥っているのです。

会社の中がグチャグチャなまま新機能を追加しても…

DX推進やシステム導入を検討する企業の多くは、「新しい機能を追加する」ことに焦点を当てています。しかし実際に私が見てきた企業の多くは、その前の段階で課題を抱えています。それは会社自体がグチャグチャな状態だということです。

データがバラバラに管理され、情報が社内で共有されず、基本的な業務プロセスさえ整理されていない…。このような状態で最新のSaaSツールを導入しても、効果が出ないのは当然です。

SaaSツールの3つの落とし穴

落とし穴1:導入は簡単、活用は難しい
SaaSツールの導入はボタン一つで完了しますが、それを有効活用するには社内の運用体制やメンテナンスが欠かせません。ツールは生き物のようなもので、適切に育てなければ価値を発揮しません。

落とし穴2:連携の問題と情報の孤立化
コスパが良いSaaSツールほど完結型で、他のシステムとの連携が困難なことがあります。価格だけを見ていくと、結果として、部門や機能ごとに別々のツールが導入され、情報が孤立化が進んでしまいます。
何かのデータを見るために、まずはログイン情報を調べることから始まってしまう、業務の数だけツールと手間が増えていく悪循環に陥るのです。

落とし穴3:コストパフォーマンスの不均衡
特定の業務には効果的なSaaSツールでも、月額費用がかさむと他の分野への投資が制限されます。一つの分野が最適化される一方で、全体最適が損なわれることがあるのです。


効果的な解決策:まずは「片付け」から始める

では、どうすれば良いのでしょうか。答えは意外とシンプルです。まず会社の中を「片付ける」ことから始めるのです。

実際に私がクライアント企業で実践してきた方法は、新しいツールを導入する前に、現状の棚卸しを徹底的に行うことです。すると驚くべきことが起こります。意外と使っていなかった機能が見つかったり、そもそものデータ収集や整理の問題が浮き彫りになったりするのです。

多くの場合、高額なSaaSツールを導入しなくても、無料のGoogleスプレッドシートをきちんと整備するだけで驚くほど業務が改善します。例えば、スプレッドシートにGoogle Apps Script(GAS)を組み合わせることで、データを自動で整理し、必要な時に必要な情報を見られるようになります。

1時間2時間かけていた業務が自動で完了するようになったり、データのミスが一目でわかり、対応すべきことがすぐに把握できるようになったりするのです。こういったことは月額数万円のシステムを使わずとも、一度きちんと整えれば無料で実現できます。

最適なIT体制の作り方

もう一つの重要な解決策は、社内にITに強い人材を確保することです。これは必ずしもフルタイムのIT部門を設立することではありません。週に1日だけ、あるいは月末だけでもいいのです。重要なのは、IT関連の課題を一元的に管理できる人がいることです。
この「社内IT担当者」は、どうしても解決できない問題があれば外部のITコンサルタントと連携します。こうした体制が、私の経験では最も効果的でした。

基本的にはその社内のシステムを扱える人に操作してもらい、困ったときだけ外部のITコンサルのパートナーに触ってもらう仕組みが、最も整えるべき体制なのです。

大切なのは組織のキャパシティに合った体制設計

SaaSツールの導入に関する最大の盲点は、組織のキャパシティを考慮しないことです。どれだけ素晴らしいツールでも、それを使いこなす人的リソースや体制がなければ宝の持ち腐れになります。

経理に関して素晴らしいシステムを導入しても、そのシステムを扱うことで逆に他のことが行き届かなくなったり、費用面でコストパフォーマンスが合わなくなって他の整備ができなくなったりすることもあります。

どこに一番時間がかかっていて、何を一番システム導入で整理すべきか、あるいは自分たちの手で今までのやり方に応じてカスタムするだけで解決できるのかを考える必要があるのです。


今日からできるアクション

今日から始められる具体的なステップを挙げてみましょう。

1. 現状把握のための棚卸し
現在使用しているツールや業務プロセスをすべて書き出してみてください。使っていないものはないですか?本来の機能を活かせていないものはありませんか?

2. 社内IT担当の指名
ITに詳しい、もしくは興味のある社員を「IT改善担当」として任命してみましょう。週に1回でも月末だけでも、その人にIT関連のことを任せる体制を作ります。

3. データの整理
基本的なデータ管理から見直してください。例えばGoogleドライブやスプレッドシートで情報を整理し、誰もが必要な情報にアクセスできる状態を作りましょう。

これらのステップを踏んだ上で、本当に必要なSaaSツールを選定すれば、その効果は格段に高まります。

片付けから始めるDXの本質

私の母が通販でダイエットグッズを次々と購入し、家が不要なものであふれていく様子を見て思いました。多くの企業のSaaS導入状況は、まさにこれと同じなのです。

DXの本質は最新ツールの導入ではなく、企業活動の本質を見つめ直し、真に必要な変革を実行することにあります。片付いた家だからこそ、必要な家具が映えるように、整理された企業だからこそ、SaaSツールの真価が発揮されるのです。

あなたの会社は「片付け」から始めてみませんか?それが、本当の意味でのDX推進の第一歩なのかもしれません。
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