――与えること、受け取ること、そして…それは猫にも起こりうる
タロットカードの中には、
一枚だけ黒猫の姿が描かれているカードがあります。
「ワンドのクイーン」──
足元に黒猫を従えた、情熱と直感を司る女王のカードです。
このシリーズでは、その黒猫が
タロットの世界をふらふらとさまよい旅する様子を、
物語とともに、そして霊視とともに描いていきます。
描かれた絵の意味だけでなく、
その奥にある気配や感情を、猫とともにたどっていきます。
◆ 分け合うこと── ペンタクルの6の基本構図
このカードの絵には、中央に立つ人物が描かれています。
赤い衣をまとい、片手から金貨を施しながら、もう一方の手には小さな天秤。
その足元には、金貨を受け取ろうとするふたりの人物。
【ペンタクルの6】は、一般的にこんなテーマを持っています:
• 与えること、受け取ること
• 支援、援助、ギフト、善意
• そしてその背後にある“バランス”と“まなざし”
つまりこのカードは、単なる施しや行動を描くものではありません。
「なぜ与えるのか」「なぜ受け取るのか」──
そこに潜む感情や意図が浮き彫りになるカードなのです。
そして、そこに"あの黒猫"がいたとしたら……?
◆黒猫にも届いた、やさしさのかけら
しゃがんだ男の手のひらに、
金貨が落ちていく。
もう一人の男も、じっとその手元を見つめている。
誰かが与え、誰かが受け取る。
その場の空気が、ほんの少しあたたかくなるのを感じて、
私はふらりと近づいてみた。
与える男の足元まで行って、じっと見上げる。
彼は、少し驚いたように私を見た。
そして──何かを思い出したような顔をして、
コインではなく、自分の荷物の中から小さなパンのかけらを取り出した。
目の前に差し出されたそれは、金属のにおいはしなかった。
かわりに、ほんのり甘い、やさしい香りがした。
……悪くない。
私はそれを受け取って、ぺろりと食べた。
分け与える優しさがあるなら、
それは猫にも届いて当然だと思ったからだ。
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◆ 与えること・受け取ること、その奥にある“気持ちのバランス”
このカードには、ひと目でわかる構図があります。
中央に立つ人物が、両脇の人に金貨を与えている。
──けれど私が視るとき、焦点を当てるのはその“構図”の内側にある
【バランスの意識】です。
与えているように見える手は、本当に与えているのでしょうか。
受け取っているように見える手は、本当に受け取れているのでしょうか。
目には見えない「意図」や「感情」がそこに絡むと、
このカードはとても複雑になります。
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■ 天秤が意味するもの
中央の人物が手に持っている天秤。
この小さな道具は、【与える側の正当性】を象徴しているように見えるかも
しれません。
でも実はこれは──与えることの怖さと責任を象徴しているようにも
感じます。
誰かに何かを分け与えるとき、
そこには「自分が“上”に立つ」ような力関係が生まれがちです。
優しさのはずが、いつのまにか“支配”や“コントロール”に
すり替わっていくこともある。
だからこそこの天秤は、
自分の意図を確かめるための、心の道具として描かれているように
思えるのです。
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■ 霊視で見える“バランスの乱れ”
このカードを霊視すると、バランスの乱れがよく見えます。
たとえば──
• 与えることに依存してしまっている
• 「ありがとう」が欲しくて差し出してしまう
• 受け取ることに遠慮しすぎて、流れを断っている
• 自分にしか渡せないと思い込んでしまっている
そんな風に、“善意のかたち”が少しずつ歪んでいくのです。
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■ このカードが出たとき、私は視ます
あなたが今、「与える側」なのか、「受け取る側」なのか。
そして、どちらであったとしても、本当の意味で“流れ”を受け入れているかどうか。
このカードは、ただの善意や慈善ではありません。
これは、「自分の豊かさを、誰と分け合いたいか」
「どんな気持ちで差し出しているか」
「どんな勇気で受け取ろうとしているか」を問うカードなのです。
◆ 金じゃない。でも確かに、やさしさだった。
黒猫は、もう一口をゆっくりと味わった。
それはコインじゃなかったけれど、
確かに、心から差し出されたものだった。
金じゃない。特別でもない。
けれど──そこに、優しさがあった。
ではまた、次のカードのお話で。
黒猫がみていた第1話はこちらです。
タロットを使った霊視鑑定です。ぜひご相談ください。