人に教えたくない気づきほど、発信した人の力になる

人に教えたくない気づきほど、発信した人の力になる

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営業の疑問を、自分の強みに変えるまで


営業をしていると、ときどき小さな引っかかりが生まれます。

「この商談の進め方で、本当にいいのだろうか」

「こちらから説明する前に、もう少し違うことを聞いたほうがよかったのではないか」

その場では気になっていても、次の打ち合わせや資料作成に追われているうちに、疑問はいつの間にか薄れていきます。

大きな失敗をしたわけではない。誰かから指摘されたわけでもない。それなら、あえて立ち止まらなくてもよいように思えてしまいます。

ただ、法人営業を約10年経験してきて感じるのは、こうした小さな違和感の中にこそ、自分なりの営業の進め方を見つけるきっかけがあるということです。

自分で見つけたことほど、教えたくなくなる


疑問を放置せずに考え、自分なりの答えが見えてくると、今度は別の気持ちが生まれます。

「これは、あまり人に教えないほうがいいかもしれない」

自分で時間をかけて考え、試して見つけた方法です。簡単に共有してしまえば、自分だけの武器ではなくなるように感じます。

私にも、そう思うことがあります。

特に営業では、同じチームの中でも成果を比べられる場面があります。自分なりに見つけた工夫を、あえて手元に残しておきたくなるのは、不自然なことではありません。

しかし、営業推進として個人の成功体験を整理し、チームへ共有する仕事にも携わる中で、少しずつ考え方が変わりました。

気づきを人に伝えることは、自分の武器を手放すことではない。むしろ、その武器を自分のものとして磨き直す作業なのだと思います。

発信すると、一番深く考えるのは自分だった


自分の中では分かっているつもりでも、人に説明しようとすると、急に言葉に詰まることがあります。

なぜ、その進め方がよかったのか。

どのような状況でも使えるのか。

うまくいかなかった場合は、何を変えればよいのか。

こうしたことを考えていくと、自分の理解がまだ感覚的だったことに気づきます。

さらに、共有した相手から質問されたり、別のケースを示されたりすると、考えはもう一段深くなります。最初は一つの商談で感じた小さな気づきだったものが、別の場面でも使える考え方へと少しずつ変わっていきます。

気づいた人よりも、それを試し、振り返り、言葉にした人のほうが、結果として深く理解することになる。

これが、私が仕事を通じて感じてきたことです。

教えたからといって、自分の価値はなくならない


営業の進め方を共有しても、聞いた人全員が翌日から同じように実践できるわけではありません。

これは、能力や努力の差という単純な話ではありません。

知識として「なるほど」と理解することと、自分の担当顧客や商談の状況に合わせて使うことの間には、思っている以上に距離があります。相手との関係や提案の段階が違えば、同じ方法をそのまま当てはめることもできません。

共有された考え方を自分なりに試し、失敗も含めて調整して、ようやく実際の営業で使えるようになります。

だから、気づきを共有したからといって、自分の価値が薄まるわけではありません。

むしろ、最初に疑問を持ち、自分で試し、周囲が使える形にまで整理した人として、そのテーマについて少しずつ頼られるようになります。

いきなり「第一人者」になるわけではありません。それでも、発信と実践を重ねるうちに、「このことなら、まずあの人に聞いてみよう」と思ってもらえる状態には近づいていけます。

数字に表れない信頼が、仕事を進めやすくする


「あの人に聞いてみよう」と思ってもらえるようになると、自分のところに相談や情報が集まり始めます。

会議で意見を求められたり、新しい取り組みを考えるときに声をかけてもらえたりすることも増えていきます。自分から何かを提案したときにも、発言の背景を理解してもらいやすくなります。

こうした変化は、売上や受注件数のように、すぐ数字へ表れるものではありません。

ただ、周囲との信頼関係ができ、自分の意見を受け止めてもらいやすくなると、日々の仕事は確実に進めやすくなります。

働く時間や場所を変えることだけが、働き方を変える方法ではありません。

自分の考えが周囲に伝わり、必要なときに頼ってもらえる環境をつくること。実はこれが、個人にとって一番身近な「働き方改革」なのかもしれません。

まだ言葉になっていない疑問を、どう扱うか


気づきを発信する前には、自分が何に引っかかっていて、何を試したいのかを整理する必要があります。ところが、最初からきれいに言葉にできる疑問ばかりではありません。

「今の進め方に、何となく納得できない」
「商談がうまくいっていない気はするが、原因が分からない」
「上司に相談するほど整理できていない」

そのような段階で、同僚や上司に話すのは難しいこともあります。考えがまとまっていないからこそ誰かと話したいのに、まとまっていない状態では相談しづらい。営業には、そんな場面が意外と多いように思います。

私は、法人営業、とくに大手企業向けの新規営業について相談できる、50分の壁打ちサービスをご用意しています。完成された相談内容を準備する必要はありません。

「うまく説明できないけれど、何かが引っかかっている」

その状態から話し始め、結論を急がずに一緒にひも解いていきます。

「このまま進めてよいのだろうか」と感じているなら、それは一度立ち止まり、考えを整理するタイミングなのかもしれません。

違和感がまだ新鮮なうちに、一度、言葉にしてみませんか。
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