「目標は、周りに公言したほうが叶いやすい」
そんな話を聞くことがあります。人に伝えることで後戻りしにくくなり、行動するきっかけをつくれるからです。
一方で、
「本当に叶えたいことは、人に話さず静かに進めたほうがいい」
という考え方もあります。話したことで満足してしまったり、周囲の反応によって気持ちが揺らいだりすることがあるからです。
正反対に見える二つの考え方ですが、私は、どちらか一方だけが正しいわけではないと思っています。
大切なのは、「それを話したあと、自分は動きやすくなるだろうか」という視点です。
どちらも、自分を動かすための方法
話さないことと、公言すること。
二つは矛盾しているように見えますが、どちらも目的は同じです。自分が大切にしたいことに向かって、少しずつ動いていくための方法です。
まだ小さなひらめきのような目標を話さずにいるのは、自分の内側にある熱を守るため。
一方で、誰かに話すのは、締切や約束といった外側からのきっかけをつくるためです。
つまり、違うのは「自分を動かすために、内側を守るのか、外側の力を借りるのか」という点なのかもしれません。
まだ自分の中で守ったほうがよいとき
叶えたいことを話しただけで、少し達成したような気分になった経験はないでしょうか。
たとえば、「いつか資格を取りたい」「新しい仕事を始めたい」と話し、相手から「すごいね」と言われる。それだけで気持ちが満たされ、実際の行動は後回しになってしまうことがあります。
また、目標が生まれたばかりの時期は、自分の中でも「本当にやりたいのか」「どんな形にしたいのか」が、まだ固まっていません。
そんなときに、
「難しいんじゃない?」
「それより、こっちのほうが向いていそう」
と言われると、相手に悪気がなくても、芽生えたばかりの気持ちがしぼんでしまうことがあります。
話すことで満足しやすいとき。人の反応に影響されやすいとき。目標がまだ曖昧で、もう少し自分で考えたいとき。
そんな時期には、無理に公言せず、静かに自分の中で育てる選択が合っているのだと思います。
外側に約束をつくったほうがよいとき
一方で、考えているだけでは、なかなか動き出せないこともあります。
やりたい気持ちはあるのに、日々の仕事や家事に追われて後回しになる。「時間ができたら」と思いながら、何週間も過ぎてしまう。
そんなときは、誰かに伝えることが行動のきっかけになります。
「今週中に申し込みます」
「日曜日までに一度調べてみます」
このように人と約束すると、自分一人で考えているときよりも、予定の中に組み込みやすくなります。
目標がある程度固まり、次に何をすればよいかが見えているなら、公言することは前に進むための助けになります。
特に、締切や約束があると動きやすい人にとっては、外側の力を借りることも立派な工夫です。
目標は話さず、行動だけを公言する
ここで、もう一つの方法があります。
それは、大切な目標そのものは自分の中に置いたまま、「次にする行動」だけを人に伝えることです。
たとえば、将来やってみたいことの全体像は、まだ話さない。その代わりに、
「今週中に一つ資料を取り寄せる」
「今月、経験者の話を一度聞いてみる」
「日曜日に30分だけ調べる」
という小さな行動を公言します。
これなら、目標を人の意見から守りながら、先延ばしを防ぐための約束もつくれます。
「話すか、話さないか」と二つに分けるのではなく、何を話して、何をまだ話さないでおくかを選んでもよいのです。
今の自分が動きやすくなる選択を
迷ったとき、私は次のように自分へ問いかけてみます。
これを話したあと、私は動きたくなるだろうか。
それとも、話しただけで満足しそうだろうか。
相手の反応によって、気持ちが揺らぎそうだろうか。
一人で持っているより、誰かに話したほうが行動できそうだろうか。
答えは、目標によっても、そのときの自分の状態によっても変わります。
最初は静かに育て、少し輪郭が見えてきたら行動を公言する。動き始めたあと、また周囲の声から距離を置きたくなったら、自分の中に戻す。
その都度、選び直してもよいのだと思います。
世間で言われる正解よりも、今の自分が動きやすくなる方法を知ること。それが、叶えたいこととの上手な付き合い方なのかもしれません。
もし、自分が何を望んでいるのか、どちらの方法が合っているのか分からないときは、誰かと話しながら、一つずつ整理してみるのも一つの方法です。