ソ連が蘇る?ロシアとベラルーシの統合強化

記事
コラム
去年(2021年)11月ロシアとベラルーシが経済・軍事で統合強化する合意文書が採択されました。
内政、外交、経済、資源などあらゆる方面で互い区別なく協力していく内容でした、いずれ主権も統合されるでしょう。まさかソ連が蘇るではないかと

歴史から見れば、ベラルーシの状況が不味くなるでしょう、もちろんベラルーシもバカじゃないからロシアと統合されればどうなるかは分かっていました。統合強化の話が出た途端にベラルーシとポーランドの国境に大量に「足」で投票する難民が現れました、国境を超えて西側に逃げようとしていました。

ではどうしてこのような策に出たでしょう?二つの国がどのような歴史があったでしょうか?

ベラルーシ右上にはロシア、下にはウクライナ、左はポーランド、上にはリトアニアとラトビアがあります、欧州の十字路とも言えます。地縁から見ればベラルーシはロシア、EU、NATOこの三つの組織の繋ぎ部分であり、ユーラシアの戦略要地です。そのため、この土地には無数な戦争が起き、経済も何度も崩壊され再建されました。

一番ひどいのは第二次世界大戦の時、ベラルーシは3分の1の人口、半分の財産が失いました。戦後、ソ連の指揮下で経済が再建され、この間にはソ連の経済成長ボーナスの恩恵を受け、一気に遅れた農業国から進んだ工業国となりました。1980年のGDPは1940年の28倍、しかし、この成績はソ連の基礎の上になり成ったものです、必要な原材料、エネルギー、商品の市場全てソ連の他の加盟国に依存していました。ソ連が崩壊とともに、ベラルーシの商品が急に市場を失い、経済もガタ落ちしてしまいました。

さらにベラルーシはソ連が残した負の遺産を処理しなければなりません、ソ連官僚の政治無作為によるチェルノブイリ原子力発電所の爆発の事後処理です。チェルノブイリ原子力発電所はウクライナにありますが、ベラルーシとは十数キロしか離れていないため、毎年大量な処理費用が使われます。ソ連崩壊の時、チェルノブイリ原子力発電所の処理費用だけでも5分の1の国家予算が使われていました。

こんな状況でベラルーシは誰が助けて欲しいと思うのも理解できます。ソ連は各加盟国に酷い搾取を繰り返したため、崩壊した途端多くな加盟国が欧米に傾き、特にポーランドとバルト三国が一番情熱的でした、NATOに加盟したすぐアメリカの駐軍を許し、米軍の対ミサイル基地を建設し、目的はロシアを封じ込むためです。

ベラルーシも同じく西側に援助して欲しかった、しかし、ベラルーシのルカシェンコ大統領はソ連の時代からずっとベラルーシの最高人民代表であり、言わばソ連の旧臣、この身分では西側に嫌われてしまいます。

こうやってロシアとベラルーシ、ともに西側に嫌われる兄弟が自然に手を取りあいました。実は1996年すでに似たような統合条約を交わし、今後政治、経済、文化各方面を協力していき、超国家の機関を設置するなど、本質上EUと同じ概念です。

ルカシェンコはこの統合計画が非常に気にいた、何故なら数年後ロシアの大統領がプーチンになったから。ご存知でいる通り、プーチンはソ連の元諜報員でした、身分としてルカシェンコが上だから、もし両国が統合すれば連邦のトップは自分に違いないと思い込んだ。

ルカシェンコはすぐ自分の甘さを知ったでしょう、プーチン大統領誕生後すぐロシアを支配下に置き、さらにベラルーシ自ら主権を捨て、ロシアに入るように迫りました。

ルカシェンコの目的は両国が連邦を作り上げ、自分がトップになる、しかし今ではベラルーシがロシアに統合され、自分が州長になれだと?!

納得いかなかったルカシェンコはこれからあらゆる場面でロシアと対立してきました。まず自分の国境を西側に開放し、自国通貨(ベラルーシ・ルーブル)がドルとリンクし、ロシア以外の産油国と高値で石油を購入するようになりました。

そのため、プーチンが何度もルカシェンコを質問した
「何故ロシア以外で高値で石油を買うの?」
「12月31日夜君の前でひれ伏せないようにするためだ」

国のトップがこんな会話が出た以上、ルカシェンコは相当プーチンを嫌っていたことが分かります。

これだけではなく、実はウクライナのクリミア問題の時、ロシアの同盟国としてのベラルーシが支持するどころかずっと反対していました。クリミアがロシアの領土も認めていないし、ウクライナに軍事技術者を派遣しました。数年前にベラルーシがロシアとは兄弟国ではなくなったと公開発表し、事実上決裂となりました。

こんな話の聞かないルカシェンコに対して、プーチンが動きました。

ルカシェンコは約20年間ずっとベラルーシのトップです、しかも最近いつも息子を連れて外交していて国次の後継者にしようとする気が満々です。ベラルーシ国内の不満が相当でした、反対派はルカシェンコの下野を求めデモを行い、公約として当選後外国と関係を回復することを約束しました。ここでの外国はロシアです。裏には誰がいるかもう言うまでもない。

大統領の座が失いそうになったルカシェンコは急遽ロシアに訪問し、帰国後すぐ連任を宣言しました。反対派は全部外国邪悪な勢力であり、ロシアとベラルーシはいつでも兄弟国であると。


ルカシェンコはロシアで何を話たかはわかりませんが、恐らくロシアに相当なことを約束したでしょう。代わりに自分の連任が実現できましたから。表題の両国統合強化条約もその一部でしょう。


ルカシェンコは自分と家族の利益のために、国益を犠牲にしました。一方ロシアはベラルーシという緩衝地帯を得て、もしNATOと衝突しても犠牲に払うのはベラルーシの国民でしょう。さらにロシアがベラルーシの経済政治を掌握することによっていつでもベラルーシを統合でき、親露勢力を育ち、もしルカシェンコが下野して、親西側の人が当選としても、ロシアが必ず出兵してベラルーシを統合もしくは分裂させるでしょう。
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す