こんにちは。IT エンジニアを目指して勉強中の者です。
最近、大学の講義資料をベースに機械学習の勉強をしていて、「これは自分の頭の中でも整理しておきたいし、同じように学び始めた人にも役立つかも」と思ったので、全3回のシリーズで記事にまとめてみることにしました。
第1回のテーマは「AI(人工知能)の歴史」です。ChatGPTやGeminiが当たり前になった今だからこそ、そこに至るまでの流れを知っておくと、ニュースで見かける「AIブーム」という言葉の解像度がぐっと上がります。
・そもそも「知能」ってなんだろう
AIの歴史を語るときによく出てくるのが「チューリングテスト」という考え方です。壁の向こうにいるのが人間なのかコンピュータなのか、会話だけで判断できなければ、そのコンピュータは「知能を持っている」とみなそう、というアイデアです。
「知能とは何か」を厳密に定義するのはとても難しく、この問いは今も完全には決着していません。だからこそAI研究の歴史は、「知能っぽいものをどう実現するか」を試行錯誤してきた歴史でもあります。
・すべての始まりは「弾道計算を速くしたい」だった
意外に思われるかもしれませんが、コンピュータそのものの誕生は軍事的な必要から生まれています。1940年代、大砲の弾がどんな軌道を描くかを計算する「弾道数表」の作成に膨大な時間がかかっていました。これを高速化したいというニーズから、1946年に世界初の汎用コンピュータ「ENIAC」が生まれます。
ENIACは巨大な真空管の塊で、プログラムを変えるたびに配線をつなぎ直すという、今では考えられない方法で動いていました。この「コンピュータで計算を自動化する」という土台があったからこそ、その後の人工知能研究が花開くことになります。
・1956年、「人工知能」という言葉が生まれる
1956年、アメリカのダートマス大学に、ジョン・マッカーシーやマービン・ミンスキー、クロード・シャノンといった研究者たちが集まりました。ここで初めて「人工知能(Artificial Intelligence)」という言葉が使われ、「機械に学習や知能をシミュレートさせよう」という壮大な目標が掲げられます。ここがAI研究の公式なスタート地点とされています。
・第1次AIブーム:迷路とチェスの時代
1950〜60年代の第1次AIブームでは、「探索」や「推論」によって問題を解くアプローチが主流でした。迷路を解いたり、チェスの次の一手を計算したりするプログラムがこれにあたります。
この時代の面白い例が、1966年に作られた対話プログラム「ELIZA(イライザ)」です。ELIZAは相手の発言からキーワードを拾い、あらかじめ決められた変換ルールに当てはめて応答を返すだけの、実は知能をほとんど持たないプログラムでした。それでも多くの人が「まるで人間と話しているようだ」と感じたそうです。
ただし、このアプローチには限界がありました。決められたルールの中でしか答えを出せず、現実世界のような複雑で曖昧な問題には対応できなかったのです。ブームは徐々に収束していきます
・第2次AIブーム:専門家の知識をコンピュータに詰め込む
1980年代に訪れた第2次AIブームのキーワードは「エキスパートシステム」です。特定の分野の専門知識をルールとしてコンピュータに教え込み、専門家のように振る舞わせようという試みです。
代表例が、伝染性の血液疾患を診断し抗生物質を推奨する「Mycin」というシステムです。「熱はあるか」「咳は出ているか」といった条件を枝分かれ(決定木)させながら診断を進めていく仕組みでした。同じ時期には、人間の常識をまるごとデータベース化しようという「Cycプロジェクト」も始まっています。
しかし、これもまた壁にぶつかります。専門知識の量はあまりに膨大で、しかも「体がだるい」のような曖昧な表現を正確にルール化するのは至難の業でした。人間の知識を漏れなく書き出すというアプローチ自体に無理があったのです。
・第3次AIブーム:データとパワーで殴る時代
2000年代以降、コンピュータの計算速度が飛躍的に上がり、インターネットの普及で大量のデータ(ビッグデータ)が手に入るようになりました。ここで主役が交代します。人間が知識をルール化するのではなく、大量のデータから統計的にパターンを学ばせる「機械学習」が台頭してきたのです。
この時代の象徴的な出来事をいくつか紹介します。
* 1997年、IBMのスーパーコンピュータ「ディープ・ブルー」が、チェス世界王者ガルリ・カスパロフを破りました。1秒間に2億手を先読みし、対戦相手の過去の棋譜まで活用していたそうです。
* 2016年、Google傘下のDeepMind社が開発した囲碁AI「アルファ碁」が、韓国の李セドル九段と対戦。最終的に人間のトップ棋士を打ち負かし、世界に衝撃を与えました。
* 公立はこだて未来大学の研究チームが、AIに小説を書かせるプロジェクトで「星新一賞」の一次審査を通過させたのもこの時期です(ストーリーの骨格は人間が与えていたそうですが)。
* Amazon EchoやGoogle Homeといった「AIスピーカー」が家庭に入り込み始めたのもこの頃です。
・第4次AIブーム:生成AIの時代へ
そして今、私たちがいるのが第4次AIブームです。2017年ごろに登場した「Transformer」という技術によって、大量のデータの特徴を高速に学習できるようになりました。これを応用して作られたのが、ChatGPT(OpenAI)、Gemini (Google)、Claude(Anthropic)といった「大規模言語モデル(LLM)」です。
文章だけでなく画像や音声にも同じ技術が応用され、今この記事を書いている2026年現在も、AIは現実世界での活用へとどんどん広がっている真っ最中です。
・機械学習は万能なのか?
ここまで華々しい歴史を見てきましたが、機械学習には弱点もあります。それは「学習データを用意した人間に依存する」という点です。
たとえば犬と猫を見分けるAIを作るとき、学習データがたまたま「茶色い犬」と「白い猫」ばかりだったらどうなるでしょうか。AIは「毛が茶色か白かで犬猫を判断する」という、本質とはズレた特徴を学習してしまうかもしれません。これを「過学習」と呼びます。学習しすぎるあまり、個々のデータの偶然の特徴に引っ張られてしまう現象です。
この「過学習」というキーワードは、次回以降に紹介する「分類」や「回帰」の話でも何度も出てくる、機械学習を理解するうえでとても大事な考え方です。
・次回予告
今回は人工知能がどんな歴史をたどってきたかを、ざっくりと振り返りました。次回は、機械学習の中でも代表的な手法である「教師あり学習・分類」について、決定木やナイーブベイズ、SVMといった具体的な仕組みをやさしく解説していきます。
学び始めたばかりの初心者目線で、できるだけ噛み砕いて書いていくので、よければ次回もお付き合いください。