単価交渉の流儀。実力さえ上げれば「単価が上がる」という思い違い。

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「スキルを磨けば、勝手に単価は上がるはず」
もしそう思っているなら、それは大きな間違いです。

恋愛に例えるなら、自分を磨いて待っていれば相手から寄ってくるのは、選ばれる側の特権。
女性側だけです。

フリーランスの単価交渉は、いわば「自分から動かなければ何も始まらない側」の戦略が必要です。

私はこれまで、参画した案件で確実に単価を上げてきました。
中には、参画後に月単価を40万円アップさせたケースもあります。
実力だけでは決まらない、「単価の上げ方」を共有します。

まずは「天井」と「商流」を理解せよ

いくらあなたの実力が抜きん出ていても、その案件の「構造」によって単価の限界値は決まります。
企業で言えば売上です。売上以上の利益は出ません。

自分の「エンドチャージ」を知る
私の例で言えば、エンドクライアント(大企業)が支払っている金額は、
多くの場合、月150万〜180万円程度です。ここが絶対的な「天井」になります。

大企業はリスクヘッジのため、個人事業主や1人企業に直接発注することは稀です。

必ず間に「それなりの規模の会社」が入ります。この商流が1社増えるごとに、中抜き(手数料)として20万〜30万円が引かれます。

2次請けなら: 100万〜120万円前後
3次請けなら: 80万〜100万円前後

新規参画時は、様子見や需給バランスから60万〜80万円程度でスタートすることが多いですが

まずは自分がどの商流にいて、その位置での限界値(天井)がいくらなのかを把握することが、交渉のスタートラインです。

交渉のタイミング:契約更新の「2ヶ月前」が原則

交渉には最適な「季節」があります。
多くの企業では4月に期が変わりますが、交渉すべきタイミングは「2月の頭」です。

フリーランスの契約は3ヶ月刻みが多いため、更新タイミングから逆算して「2ヶ月前」にジャブを打つのが鉄則です。

4月更新なら: 2月の頭
7月更新なら: 5月の頭
10月更新なら: 8月の頭

予算が固まりきる前に意思を伝え、検討の余地を残させることが重要です。
また、前提としてその現場に6ヶ月以上在籍し、十分な「信頼の貯金」があることも欠かせません。

交渉は「恋愛」に似ている

単価交渉の心理戦は、恋愛の駆け引きに似ています。

「替えがきく」と思われたら負け
「この人は、うちの案件以外に仕事がないんだろうな」と思われた瞬間、足元を見られます。

これは技術力だけの話ではありません。
「あの人は職人気質だから、他の案件には移らなそうだな」と高を括られても、単価は上がりにくくなります。

・他では通用しにくいスキルセットだ
・この人なら、すぐに代わりが見つかる

こう思われているうちは、交渉権はありません。

「他でも引く手あまただが、あえてうちの現場にいてもらっている」という状態をいかに作るか。

市場価値の裏付けを持ち、時には「他からもお話をいただいている」という健全な牽制も必要です。

恋愛とは違う「実利」の対話

一方で、恋愛とは明確に異なる点もあります。
それは、「どうすれば目標単価に届くか」を、ストレートに相手に聞けることです。

別れ間際に「俺のどこが悪かったの?」と聞いて答えてくれる恋人はいませんが、仕事ではフィードバックをもらえます。

「単価を〇〇万円まで上げたい。そのために、私は何をすべきですか?」
・開発チケットの消化数を増やすべきか?
・より上流の設計や要件定義に絡むべきか?
・チームマネジメントを担うべきか?

不足要素を明確に聞き出し、実行し、「約束を果たした」という事実を突きつける。

この「目標のすり合わせ」こそがビジネス交渉の醍醐味です。
その場でのアップが無理でも、3ヶ月後の交渉をスムーズにする布石になります。

最後に:自分の価値を「自分で」守る

実力は、単価交渉というゲームへの「参加チケット」に過ぎません。
そのチケットを使い、適切な時期に、適切な構造の中で、適切な心理戦を仕掛けること。

「長く座っていれば、いつか評価される」という年功序列の幻想は捨てましょう。

商流の上の会社は、強力なパートナーであると同時に、限られた売上のパイを奪い合う「ゼロサム関係」でもあります。

自分の報酬は、自分の意志と戦略で勝ち取りにいく。それが、資本主義を生き抜くフリーランスの作法です。

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