働き方は、もう元に戻らない―ホワイト化する社会

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筆者は2010年代前半、全国転勤が前提の銀行に入社し、その後いくつかの職種を転々としてきた。

その経験を通じて、働く環境はこの10〜15年で大きく変わったと感じている。
その象徴の一つが、全国転勤が「当たり前」ではなくなったことだ。

かつては無条件に受け入れるものだった転勤は、
今では選択制となり、選んだ場合は給与が上乗せされる「+α」の扱いになっている。

そして今はそれが「当然」として受け入れられている。
筆者なりの時代の「勤労観」、そして今後の時代の流れを予想したい。

1.共働きの増加と、転勤コストの急上昇

2010年代の前半の銀行員時代、周囲を見渡すと配偶者が専業主婦という家庭がほとんどだった。
それだけの待遇があり、誰も疑問を持っていなかった。

しかし今、筆者の周囲の30代夫婦を見ると、共働きがほぼ前提になっている。専業主婦世帯も存在はするが、明らかに少数派だ。

少なくとも女性側の知り合いに聞いても働いているのが大半であり、一部子育てのために労働から離れている友人もいるが、いずれは復帰する予定だという。

つまり夫婦ともに働く事が前提となっている。
この状況で転勤が発生すると、

・配偶者のキャリアが中断される
・世帯収入が下がる
・子どもの生活環境が変わる

といった負担が一気にのしかかる。

特に近年は、

・物価高
・社会保険料の引き上げ

の影響で、年収1,000万円あっても
特に東京で「余裕のある生活」とは言いにくくなっている。

そう考えると一般的な家庭の中では「転勤は割に合わない」と考えるのは至極当然だろう。

今の時代だと「人権的にどうなんや?」と思うが、当時は全くそんな事は思わなかった。

そして転勤以外も多くの点で「マトモ化」が進んでいる。

2.労働環境の「マトモ化」がもたらした光と影

もう一つ大きな変化は、労働環境が可視化され、改善されたことだ。

インターネットの普及、
特にOpenWorkのような退職者の口コミサービスにより、企業の内情はかなりオープンになった。

筆者が2010年代に在籍していた銀行では、サービス残業が事実上の前提だった。

残業代を20時間以上つけると
上司から「お前、何やってるんだ?短くしろ。」という空気があった。

他支店では
「PCを強制終了すると勤怠時間がつかないから便利だ」
という話も普通に聞いた。

パワハラも大きく減った。
怒鳴られ、人格を否定されるような叱責は少なくなった。

SNS全盛の時代では、録音・拡散・訴訟のリスクがある以上、当然の変化だろう。

個人的には、これは本当に良い変化だと思っている。
「空気に委ねる会社」から
「契約としての会社」へ移行したと強く感じる。

コロナをきっかけに、飲み会文化も大きく後退した。

会社中心だった人生が、プライベート中心へと移った証左だろう。
ただし、唯一の短所もある。

それは、会社に寄りかかる人が増えたことだ。
大企業で正社員になれば、よほどのことがない限り解雇されない。

この制度の中で、
・窓際に収まる
・出世競争が終わった40代以降を「消化試合」として過ごす
そうしたキャリアを選ぶ人も増えた、増えやすくなった。

硬直的な給与制度も相まって、
・頑張っている社員へのリターンは少なく
・頑張っていない社員へのリターンは大きい
という歪みも生まれているように感じる。

3.会社に人生を預けられない時代へ

近年、「黒字リストラ」という言葉をよく聞くようになった。
企業側も、もはや余裕のある時代ではない。

目立って成長しているのは観光産業くらいで、多くの業界が生き残りをかけて必死だ。
個人的には、そう遠くない将来に金銭解雇が可能になる時代が来ると思っている。

そうしなければ、企業自体が立ち行かなくなるからだ。
しかも、その解雇は個人の能力ではなく、部門単位で行われる可能性も高い。

筆者の短い社会人人生の中でも、
・法改正
・技術革新
によって、いくら能力が高くても突然食えなくなる人を何度も見てきた。

変化を前提にしたキャリア設計を
可能であれば、日頃から市場の動向を眺め、今とは全く異なるキャリアを想定しておくのも悪くない。

AIの進展は確かに凄まじいが、
2023年に言われていた「ホワイトカラー消滅」ほど急激には進まないだろう。

おそらく、2026年以降は
2000年代のインターネット普及、2010年代のスマホ普及と同じように、一度落ち着いたフェーズに入る。

だからこそ、
変化に振り回されるのではなく、変化を前提に、自分の立ち位置を選ぶことがこれからの働き方なのだと思う。

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