2025年1月に再独立を果たして以来、私は文字通り「仕事」に没頭してきました。
1日は誰にとっても24時間。
その制約の中で、私は自分のリソースを極限まで効率化することに執念を燃やしてきました。
AIによる議事録作成、スケジュールへの徹底的なタスク分解。
同じ質問には動画資料を秒で返し、マウスを捨ててショートカットを指に叩き込む。
移動時間はグリーン車で朝食を済ませ、家事は代行と最新家電にアウトソース。髪さえも妻に切ってもらい、移動時間をゼロにしました。
YoutubeはGeminiに依頼して要約してもらっていたので、余暇時間を極力圧縮しました。
自他共に認める「効率厨」として、思いつく限りのハックをやり尽くした自負があります。
しかし、その「手段」を突き詰めた先に待っていたのは、得体の知れない「生みの苦しみ」でした。
対クライアントワークの「カンスト」
ゲームの世界では、それ以上レベルが上がらない状態を「カンスト(カウンターストップ)」と呼びます。今の私は、まさにその状態にあります。
もちろん、世の中には私よりスキルの高いエンジニア・コンサルタントは無数にいます。
しかし、「今の自分」がこれ以上の努力を投資して得られる効用(報酬や満足度)は、もはや頭打ちになりました。
恐れ多いながら報酬面だけなら上位5-10%に入っているでしょう。
ただし、稼働時間を切り詰めても、1:1の労働である限り、その上限は見えています。
「上限が見える」ーこれが私の人生の中のキーワードになります。
かつて新卒で入った大手銀行の丸の内ある本社で、
高学歴エリートたちが黙々と作業する姿を見た時、「自分の20年後の結末」を見てしまったような絶望を感じました。今の感覚は、あの時に近いです。
5年も同じ分野にいれば、大抵のことは予想がついてしまう。
飽き性で、先が見えるとワクワクしなくなる私にとって、「5年後も同じことをしている自分」が想像できてしまうことは、一種の恐怖です。
「自分は特別だ」と厨二病になるほど若くはありませんが、「人生こんなもんか」と受け入れるほど成熟はしていないからです。
「見えている課題」から「見えない問い」へ
これまでの仕事は、いわば「アスリート型」でした。
クライアントが提示する納期やバグ、機能実装といった「ルールのある課題」を、自らのスキルで解いていくー
そこには明確な正解と対価がありました。
しかし、ここから先は違います。誰からも頼まれていない、
「社会のどこかに転がっている、まだ言語化されていない問い」を自分で見つけ、価値を投下しなければなりません。
先人たちが示す道は、大きく分けて2つです。
・組織化(Scaling): 自分のOSを他人にインストールし、チームで1:Nの価値を出す。
・プロダクト(Launching): 知見をソフトウェアやメディアという「形」に封じ込め、寝ている間も価値を生み続ける。
過去40年の人生を振り返るに、私は組織化には向いていません。
私の成功体験のほとんどは個人に帰属しており、適性は明らかに「個」にあります。
ならば、向かうべきはプロダクト――SaaSなのか、あるいはメディアなのか。
ここからは自分の趣味嗜好に合わせて試行錯誤をする必要があります。
現実には1年くらい前から動画メディアには挑戦したのですが、しっくり来なくて挫折したことがあります。外注費で60-70万を投資したのですが、成果は今ひとつでした。
またバッターボックスに入らなくてはいけません。
「努力指標」から「成果指標」へのパラダイムシフト
この世界に踏み込むと、採点基準が劇的に変わります。
これまでは「月160時間稼働」といった、時給制に近い「努力(入力)」が評価の対象でした。しかし、これからは純粋な「成果(出力)」のみが指標となります。
どんなに努力しても成果が出なければゼロ。逆に、わずかな閃きが指数関数的なリターンを生むこともある。
現実に私が挑戦した動画メディアは投資60-70万円に対して、成果はゼロ円でした。1円も生んでません。
そして何より、この世界(成果指標)は「遅効性」です。
1〜2年は鳴かず飛ばずで、3年目、5年目に急激に曲線が立ち上がる。
その「潜伏期間」の間、「このままこの世界で頑張って大丈夫なのか?」という疑念と戦い続けることになります。
結びに:ハッカーからアーキテクトへ
極限まで効率化し、1:1の労働をハックし尽くした結果、私の手元には「空白の時間」と「次なるステージへの招待状」が残りました。
1:1の労働は正直楽しいです。
頑張れば目の前の顧客からすぐに感謝されるからです。報酬も毎月入ります。
一方で、成果指標はいつ感謝されるかわかりません。
そしてもはや感謝されるべきなのかもわかりません。
努力が即座に報われない不安はありますが、先が見えないからこそ、ようやく人生に「ワクワク」が戻ってきた気がします。
ハッカーとしての技術を、今度は自分自身のプロダクトという名の「資産」を築くために使っていく。
眼の前のタスクをこなせば得られるのは一種のドーパミンなのかもしれません。
「祈る時間が増えた」というわけではないですが、何も感謝されず、あーだこーだ考えながらA3のスケッチブックを前に事業アイディアを絞る日々です。
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