今では当たり前になった「自動消火」や「温度管理」機能
でも実は、こうした機能が本格的に家庭用加熱機器に搭載されるようになったのは、わずか16年前のことです。
◆ SIセンサーがもたらした加熱機器の進化
2009年、日本では家庭用ガスコンロにSIセンサーの装着が義務化されました。
これは、調理中に電話や来客対応で火をつけっぱなしにしてしまい、火災に発展する事故が多発していたことが背景にあります。
それまでの家庭用ガスコンロには、過熱時に自動で火を止める機能はありませんでした。
この法律の施行をきっかけに、日本の「台所の安全」は大きく変わったのです。
◆ SIセンサーは“安全装置”から“調理支援機能”へ
SIセンサーは、単なる「消火装置」では終わりませんでした。
メーカー各社が工夫を重ね、温度を一定に保つ機能としても進化を遂げました。
たとえば:
・天ぷらやフライの揚げ物で温度をキープ
・厚焼き卵やオムレツが失敗しにくく
・ガスコンロでも自動炊飯が可能に(圧力鍋いらず)
まさに“プロの火加減”を、誰でも使えるようになったのです。
◆ グリルも進化。魚だけじゃない!
ガスコンロのグリルは、もはや「魚焼き器」ではありません。
現代のグリルは、以下のような調理が可能です:
・魚(切り身・干物・丸焼き)を自動で
・トーストもサクッと焼ける
・肉・野菜・お菓子もグリル調理で
・ダッチオーブンやフッ素プレートで本格オーブン調理
・上位機種はスマホアプリ連携で自動調理
家庭用とは思えない進化ぶりです。
◆ IHコンロにも広がる「温度管理」
この流れはIHヒーターにも波及しています。
・揚げ物・焼き物の温度制御
・自動炊飯機能
・グリルにも2枚のプレートが付属し、魚・肉・野菜・お菓子に対応
・こちらもスマホアプリ対応モデルあり
火を使わない安心感に加え、機能性まで充実しています。
◆ 消えていった加熱機器もある
一方、SIセンサー非搭載のガス機器は国内販売できなくなったため、
フランスのロジェールやアメリカのマジックシェフといった海外製ガスオーブン付きコンロが手に入らなくなりました。
また、SIセンサーによって中華鍋を高火力で「煽る」ことも困難に。
一時的にセンサーをオフにできる機種もありますが、プロのような鍋さばきは一般家庭では難しくなっています。
個人的には、この変化に少し寂しさも感じています。
◆ 母とコンロと、時代の変化
実母が70代半ばを迎えた頃、ふと私に聞いてきました。
「最近は、火を消し忘れても勝手に消えるコンロがあるって、本当?」
その時、私は母の家のコンロがまだ古い機種だったことを思い出し、すぐに一緒にお店へ行って買い替えました。
新しいコンロを前に、母はこう言いました。
「これで電話に出て、つい長話になっても大丈夫ね!」
……私はちょっと情けなく、でもじんわりと胸が熱くなりました。
こういう人たちがたくさんいるから、法律が変わり、機器が進化し、そして「安全」が届けられるようになったのだ。
そんなことを、あらためて感じた瞬間でした。
▼あとがき|あなたのコンロ、いつの製品ですか?
もしご実家や長く使っているコンロがあるなら、
「SIセンサーがついているかどうか」一度チェックしてみてください。
使い慣れた機器も、時代の変化についていけなくなることがあります。
火を扱う台所だからこそ、“安全と便利”はアップデートしていきたいですね。