企業形態として一番オーソドックスなものは「株式会社」ですが、少ないながらも「有限会社」という形態も存在しております。”現在は有限会社を新たに設立することはできない”などという話をうっすら聞いたことがあるかと思いますが、具体的にどういった経緯で今に至るのか調べてみました。
まず有限会社を調べてみると、中小企業や家族経営など小規模経営向けの法人形態であり、「出資者(株主、社員)の責任が出資額の範囲に限定されている。」といった説明がなされます。これは例えば自分が100万円を出資したものの借金600万円を残して倒産した場合、個人事業主であれば借金600万円の全責任があり返済義務が生じ、支払い不能な際は財産の差し押さえなどで清算する必要があります。一方有限会社の場合、責任を負う部分は出資した100万円に対してであり、残る500万円は会社の借金であり個人が支払う義務は無く、これを有限責任と言います。
ではこれに関して株式会社は違うのかと言われると株式会社も責任の範囲は有限責任であり、言ってしまえば有限会社も株式会社も出資者数や取締役会の有無などを除くとほとんど同じような会社組織となります。有限会社は有限責任を強調した表現に端を発しており、19世紀より以前は世界的に無限責任(個人事業主のような全責任を負う)が主流でした。しかしそうなると失敗した場合のことを考えるに出資する側のリスクがあまりにも高く、出資者を集めることも難しいため考案されたのが責任範囲を限定する方法でした。
有限会社は日本では会社法によって2006年5月1日以降新たに設立することはできなくなりました。理由としては、①小規模なものでも株式会社の設立が容易になった②そもそも株式会社と特性が似ており区別する必要性もなくなってきた③会社に関する制度の簡素化のためなどが挙げられます。
現在も有限会社を名乗っている会社は会社法施行以前に設立された会社で、厳密には「特例有限会社」と呼称される法律上は株式会社と同じ扱いのものに落ち着いています。
少しダークな話になりますが有限会社は小規模で決算公告の義務がなく、取締役も一人で済んでデータバンクなどにも登録がないことが多いです。つまり追跡調査がしづらくそれ故にダミーカンパニーや法人の名義貸しなど悪いことを考える人にとっては好条件が揃っており規制が入った…なんて説もあったりします。
どこかの誰かは言いました。
「リスクを限定できるからこそ挑戦の自由が生まれる。」と。
出資責任を限定する有限責任は産業や資本主義の発展に大きく寄与した新しい形態だったと言えそうです。世の中はゼロサムに例えられることが多いですが、ほんの少しでいいのでプラスサムで終われる落とし所を目指したいものです。