本を出したい。その本で、何を実現したいですか?

本を出したい。その本で、何を実現したいですか?

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商業出版、Kindle、自費出版……自分に合った出版方法の選び方

「いつか自分の本を出したい」
「本を書こう!」

そう思って、出版企画書を作ったり、原稿を書き始めたりしている方もいらっしゃると思います。

では、その本を、どのような方法で出版したいと考えていますか?

商業出版でしょうか。それとも、電子書籍や自費出版でしょうか。

今は、ひと昔前に比べて、本を出版する方法がずいぶん増えました。

出版社から書籍を刊行する商業出版だけでなく、自費出版、著者も費用を負担するハイブリッド出版、Kindleなどの電子書籍、注文に応じて印刷するペーパーバックなど、さまざまな選択肢があります。

※厳密には、電子書籍やペーパーバックは本の形式であり、商業出版・自費出版は出版の仕組みの違いです。たとえば、AmazonのKDPを利用すれば、個人でも電子書籍や紙の本を出版できます。

これだけ選択肢があると、どの方法がよいのか迷ってしまいますよね。

でも私は、商業出版が必ずしもすべての人にとって最良の方法だとは思っていません。
なぜなら、本を出したい理由は、人によって違うからです。

本を出すことがゴールですか?

例えば、長年の経験や研究成果を一冊にまとめ、形として残したい人。

自分の考えを、まだ出会ったことのない多くの読者に届けたい人。

専門家としての活動をより多くの人に知ってもらい、権威性を高めたい人。

教室や講座で使う教材として、本を作りたい人。

本を出したいという思いは同じでも、その先にある目的はそれぞれ違います。

そして、目的が違えば、適した出版方法も変わってきます。

本は、さまざまな形で活用できる

例えば、全国に生徒さんがいる講師の方が、ご自身の専門知識をまとめた本を作るとします。もちろん、一般の書店で販売する商業出版を目指す方法もありますが、Kindleで電子書籍を出版し、同時にペーパーバックを制作するという選択もあります。

その本を一般向けに販売しながら、講座のテキストとして生徒さんに使ってもらう。あるいは、セミナーの受講料に書籍代を含め、参加者全員に教材として配布する。

そんな使い方も考えられます。
この場合、何万部も売れる本を目指すことだけが成功ではありません。

必要としている人に届き、講座の内容を深めたり、仕事に役立ったりするのであれば、その本には十分な価値があるはずです。

一方、著者のことをまだ知らない人に広く読んでもらいたい場合には、出版社の編集力や販売網を活用できる商業出版を目指す意味があります。
ただし、商業出版は、著者が出したいと思えば必ず実現するものではありません。
出版社も事業として本を刊行する以上、読者層や市場性、販売の見通しなどを検討しますので、著者の思いをそのまま本にするのではなく、編集者と話し合いながら、タイトルや構成、内容を「商品」として利益を出せるよう変更することもあります。

気軽に出版できることと、良い本を作ることは別

出版のハードルが下がったことは、とてもよいことだと思います。
ただ、簡単に出版できることと、よい本を作れることは別です。

AIで作成した文章や、動画の文字起こしをまとめるだけでも、電子書籍の形にはできます。しかし、それが読者にとって価値のある一冊になっているかどうかは、別の問題です。

特に、自分の仕事や専門性を知ってもらうために本を出すのであれば、その内容は著者自身の評価にもつながります。

だからこそ私は、「どうすれば簡単に出版できるか」でなく、「その本を出版することが、本当に著者のためになるのか」「ちゃんと読者に伝わる本になるのか」という視点も大切にしたいと思っています。

出版方法を選ぶ前に考えたいこと

では、どの出版方法を選べばよいのでしょうか。

私はまず、次のようなことを考えてみるとよいと思っています。

誰に読んでほしいのか。 すでにつながりのある人たちなのか、まだ自分を知らない読者なのか。

本を通じて何を実現したいのか。 
知識の共有、仕事への活用、活動の認知、販売収益など、何を重視するのか。

どのように届けたいのか。 
書店で販売したいのか、ネット販売や講座などを通じて届けたいのか。

費用や制作への関わり方をどう考えるのか。
 自分で費用を負担するのか、編集やデザインをどこまで専門家に任せたいのか。

もちろん、目的はひとつとは限りません。

商業出版した本を講座の教材として活用することもできますし、自分で出版した本を名刺代わりと割り切り、その本を配ることで後の仕事につながることもあります。

大切なのは、それぞれの方法の特徴を知り、自分の目的に合った形を選ぶことです。

なお、ハイブリッド出版や自費出版では、費用負担だけでなく、販売方法、流通範囲、在庫、権利関係なども契約によって異なります。出版できるというだけでなく、出版した後のことまで確認しておきたいものです。

企画書を書く前に、考えてみよう

本を出そうと思うと、まず企画書を作り、原稿を書くことから始めがちです。
もちろん、それも大切です。

でも、少し立ち止まって、

「私は、なぜこの本を出したいのだろう?」

と考えてみる。

その答えによっては、作るべき本の内容も、構成も、出版方法も変わるかもしれません。

私はこれまで、著者として、また編集者として、さまざまな本づくりに携わってきました。

その経験から、本を作る際には、原稿のよしあしだけでなく、著者がその本で何を実現したいのかを考えることも大切だと感じています。

商業出版だけが、本づくりの正解ではありません。

どの方法で出版するかを決める前に、まずは本を出す目的を整理してみる。

そして、その目的に合った本の形や届け方を考える。

出版企画書の作成や原稿の診断だけでなく、そうした本づくりの最初の段階からも、ご相談いただければと思っています。

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